表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1の時点で異世界最強  作者: ろーたす
魔界動乱
72/257

第70話 究極の殴り合い

「ウエェアアアァァッ!!!」


叫び声と共にサタンが太郎に襲い掛かる。

放たれた大砲のような強打は、例え世界樹の六芒星クラスであろうと一撃で葬ってしまう破壊力。


それを太郎は避けようともせずに片手で受け止め、続いてサタンが繰り出そうとした蹴りを足の裏で防ぐ。


「あんな奴に操られてんじゃねえよ」

「シネエエエエエエエ!!!」


距離をとったサタンが放った紅い稲妻が、家屋を焼きながら太郎に迫る。


まるで合計八つの紅蛇。

畝りながら暴れ狂う大魔法を、ある時は素手で弾き、ある時は舞うように躱しながら、太郎は一気にサタンとの距離を詰めた。


「その程度かあんたは!」

「黙レェェーーーーッ!!!」


拳と拳が激突し、地面が弾け飛ぶ。その瞬間に、ベルゼブブですら目で追うことができない別次元の殴り合いが始まり、轟音と共に魔都中で爆発が起こる。


(相手はこれまで戦ってきた中でも別格、手加減すればベルゼブブ達が巻き込まれるのは確実だ。けど、ベルゼブブの前で父親のサタンをボコボコにするのは────)

「存在ソのモノを消シテくれルわあァァ!!」

「いや、遠慮はなしか・・・!」


強烈な蹴りが顔面にめり込み、サタンは派手に吹っ飛んだ。それでもやはり太郎は手加減しているらしく、瓦礫の山に突っ込んだサタンはそれを吹き飛ばしてすぐに地を蹴り、再び太郎に攻撃を仕掛ける。


「何をやってるんだサタン!それでもきみは魔王か!?ほらほら、早くそいつをぶっ殺せ!!」

(まてよ、サタンはあいつの魔法で屍人として蘇った。なら、あいつを無力化できたら魔法の効果は失われるんじゃ)

「っ、何故私を見た!」

「お前を黙らせようと思ってな!」


サタンを地面にめり込ませ、太郎はネクロに接近する。


「今回一番悪いのはお前だ!ベルゼブブを傷付けたお前を、一発や二発殴っただけで許すつもりはないぞ!」

「フン、今の私には魔界の最高戦力だった男が味方している。君の強さはよく分かったけど、大罪を背負った魔王には勝てないさ!!」


ネクロがサタンに魔力を送る。その魔力を自分の魔力へと変換したサタンは、凄まじい力を解き放って太郎を吹き飛ばした。


「っ、魔力の暴走・・・!?」

「初代魔王は〝憤怒・嫉妬・傲慢・暴食・色欲・怠惰・強欲〟と名付けた七つの魔力を自在に操ったという。その中の一つ、憤怒の魔力をそこのサタン君は持っているのさ!」

「七つの大罪?よく分からんが、今サタンはその魔力を解放したってことだな」

「怒りを莫大なエネルギーへと変換するサタンの魔力、憤怒!この力は、いくら君であろうと防ぐ事はできないぞ!」


紅い魔力がサタンの全身を覆う。それを見た太郎はサタンの動きを止めるために駆け出したが、彼よりも速くサタンは魔都を駆け抜けた。


「ハハハハハっ!まさに天災!これこそ私が追い求めていた究極の力ァ!今私は、神罰の使徒(ネメシス)最強の座を手に入れた!!」

「全テ消シ飛べエエえェ!!!」

「ちょ、私も巻き添え食らっちゃうから場所を考えて魔法を使えよ馬鹿!!」


完全に理性を失ったサタンがあらゆる場所に魔法を撃ちまくる。残っていた建物もそれでほぼ全て爆ぜ、最早キルベルは都市があったのかも分からない程荒れ果てていた。


「だが素晴らしい!さあ、我らに逆らう愚者に裁きの鉄槌を!」

「裁き?特に悪い事をした覚えはないけど」

「ッ!?」


煙の中から太郎が飛び出す。服は魔法を受けてボロボロになっているが、太郎本人は無傷。それに衝撃を受けたネクロは慌ててサタンの背後に隠れる。


「君は不死身か!?」

「世界の裏側でテレビを見てる女神様に、世界を救う仕事を任されちまってな。身体はちょっと頑丈にできてんだ」

「ぐっ、私を守れサタァン!!」

「怒りを魔力に変える、か。サタン、お前は何に憤怒してる。主人を傷付けようとしている俺に?さっきからぎゃあぎゃあ騒いでるそこの馬鹿に?それとも、大事な娘を傷付けてしまった自分にか?」

「ダマれサトーオオオおォオ!!!」

「悪いけどな、俺だって魔力が暴走しそうになる程ムカついてんだよ・・・!」


互いの拳が互いの顔面にめり込む。

その衝撃でネクロは吹っ飛び、巻き起こった風に乗って瓦礫が空に舞い上がった。


「す、凄い・・・」


被害が及ばない場所で戦闘を傍観していたベルゼブブが、圧倒的な力を振るう彼等を見てそう呟く。


彼女は自身の魔眼で他者のレベルやステータスを覗くことができ、既に父であるサタンのレベルも確認済みだ。


レベル1800。


自分の4倍以上のレベルと強さを誇る父を相手に、友達を傷付けられたという理由で闘う太郎。


「ああ、やっぱり貴方は・・・」


別にいいと思っていた。彼が幸せなのならそれでいいと。しかし、やはり無理なようである。


「好き、好き好き好き・・・大好き」


そう呟いた直後、凄まじい魔力が魔界を駆け抜けた。


「コレでェ、終ワりダァァ・・・!!」

「ああ、終わりだ」

「スカーレットォォ─────」


魔界の空が紅く染まる。

同時に魔都上空に超巨大な魔法陣が出現し、空高く飛び上がったサタンは最大の魔法を地上目掛けて解き放った。


「ノヴァァァァァッ!!!!」

「いい加減目を覚ませ、馬鹿親父ッ!!!」


地を蹴り跳んだ太郎は、ユグドラシルから授かった膨大な魔力を拳に集中させ、迫る大魔法を全力で殴る。


そして、放たれた太郎の魔力は紅き絶望を消し飛ばし、サタンの全魔力と共に天空の魔法陣を破壊した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ