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レベル1の時点で異世界最強  作者: ろーたす
魔界動乱
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第65話 屍人包囲網

「わーい!タローさぁーーん!!」

「ぐむ・・・」


柔らかいモノが顔面に押し付けられ、呼吸がしづらくなる。もうこの柔らかさを味わうのは何回目か分からないけど、相変わらず良い感触だ・・・。


「会いたかったんだよー。魔界があんな事になっちゃってから、毎日タローさんのことばかり考えてたの」

「い、いきが・・・」

「こ、こら、ディーネ!そんなに・・・む、胸を顔に押し付ける必要なんてないだろう!」


テミスに引っ張られ、ディーネが俺から離れる。あのままだと窒息死してたと思うけど、素晴らしい時間だった。


「相変わらず君は馬鹿だな、ディーネ。サトーのどこがそんなに良いのか僕には分からないよ」

「ふーんだ。ヴェント君の百億倍はかっこよくて優しいもんねー。このまま海に落としちゃうよ」

「すみませんでした」


現在俺達はディーネの魔法で空飛ぶ絨毯と化した海水の塊の上に座り、猛スピードで魔界に向かってる最中だ。


なのに海に落とされたら、今の状態のヴェントならきっと溺れて死んじゃうだろう。


「それよりディーネ。君が生きているということは、テラも無事なんだね?」

「無事だよ。今は2人で生き残った魔族達を集めて魔都をどうやって取り返すか考えてるとこ」


魔都とは?

俺がそう思ったのが分かったのか、ディーネが笑みを浮かべながら説明してくれた


「魔都キルベル。魔界で一番おっきな都市で、第二魔王城が建ってるとこだよ。あ、普段私達が居るのは第一魔王城ね」

「そこが第二魔界に占領されてるのか?」

「うん。第二魔界の全兵力がそこに集中してるから、私達だけで攻めたら逆に全滅しちゃうと思う」

「俺1人増えたところで、国レベルの相手と戦えるかどうか・・・」


『第二魔界』っていうぐらいだから、敵の数は相当多いはず。集団で包囲されてもダメージは受けないだろうけど、一気にまとめて敵を倒す技なんて俺は持ってないしなぁ。


「タローさんの相手は前魔王様、ベルちゃんのお父さんだよ。あの人さえ倒す事ができたら、あとは自分のことを第二魔界の王とか言ってた敵の大将を取り押さえるだけだもんね」

「サタン様は我々とは強さの次元が違う。しかしサトー、同じく別次元の強さを誇る君なら、きっとあの人を倒して魔王様を助け出す事ができる筈だ」


今回の大ボスはベルゼブブの親父さん。

四天王を一瞬で全滅させ、魔王であるベルゼブブですら手も足も出ないレベルの相手。


「おっと、魔界が見えてきたね」

「サトーや神狼は大丈夫だろうけど、テミスが魔界の瘴気を吸うと毒に侵されてしまう。だから僕の魔法で常に君の周囲の空気を綺麗なものにするよ」

「え、ああ、ありがとう」


もしかしたら俺よりも強いかもしれないけど、ベルゼブブや魔界に住む魔族達の為にも頑張らなきゃな。













△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△














「グ、ゲエエ・・・」

「ゴ、ゴガガ・・・」


そんな気持ち悪い声が様々な方向から聞こえてくる。魔界に到着してから僅か1分で、俺達は敵に包囲された。


「なあディーネ。なんかこいつら、ゾンビっぽくないか?」

屍人リビングデッドだね。これが敵の正体。第二魔界に所属する全ての人間と魔族がこの状態だよ」

「それを先に言って欲しかったなぁ」


後ろを見れば、目を瞑りながらぶるぶる震えているテミスが、俺の背中にぴったりと身を寄せている。


幽霊とかが苦手って言ってたけど、どうやらこういうゾンビ系統も無理みたいだ。


「えへへ、へんなにおいー」

「マナちゃん!近付いちゃいけません!」


そしてマナは楽しげにわらいながらゾンビ達に近付こうとしていたので、急いで抱っこしてそれを阻止する。


ほんと好奇心の塊だから、目を離したら何をするか分からない。まあ、そこが可愛いとこなんですけどね。


「こんなのが魔界中をウロウロしてる状況なの。第二魔界の連中が何をしようとしてるのかは分からないけど、早いとこベルちゃんのお父さんを倒してこの人達も一掃しなきゃ」


そう言ってディーネが魔法を放つ。

彼女が生み出した水は槍のように形を変え、じりじりと距離を詰めてきていたゾンビ達の顔面を無慈悲にも貫いていく。


「うえ、まだ動くのか」

「これが屍人リビングデッドの厄介なとこなんだよね。腕を切断しても顔面を吹き飛ばしても、再生はしないけど動き続けるんだよ」


ゾンビなら脳を破壊すれば死ぬもんかと思ったけど、こっちの世界のゾンビはその程度では死なないらしい。


「っ、ぐぅ・・・!?」

「おっと、大丈夫か?」

「あ、あはは、ごめんなさい。まだ完全に魔力が回復してないのに水属性の最上級魔法を使ったりしたから、ちょっと限界が近いかも・・・」

「それなら、あとは俺とヴェントに任せてゆっくりしてなさい」

「君は鬼かサトー!!」


フラフラなディーネを座らせてやり、ボタボタと血を垂れ流しながら動こうとするゾンビ達の顔面をぶん殴る。


どれだけ攻撃してもしばらくの間死なないのなら、遠くに吹っ飛ばせばいいよね。


「よーし、今のうちに進もう」

「ま、待って!ささ、さっきの屍人達はもう居ないのか!?」

「もう大丈夫だよ」


座り込んでいたディーネをおんぶし、目を閉じて怯えるテミスに大丈夫だと伝える。


それから、俺達は何度かゾンビ達に襲われながらもディーネの仲間達が潜伏している場所を目指した。

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