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レベル1の時点で異世界最強  作者: ろーたす
異世界転移、レベル1
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第6話 迷惑な風が吹き荒れる

「だ、誰だ君は!」

「風で窓がガタガタ音立てるから、うるさくて眠れない通りすがりの佐藤太郎だ」


緑髪の男がテミスから離れて何か言ってきたので、とりあえずそう返しておく。まあ、それよりもテミスが大丈夫なのかが気になるので、俺は倒れているテミスに駆け寄った。


「ど、どうしてここに········?」

「窓の外見たらテミスが走っていくのが見えてさ。焦ってるように見えたから追ってきたんだ」


手を差し出し、テミスを立たせてやる。


「ところで、あの頭の上で野菜を栽培してる男は誰なんだ?」

「誰が頭上野菜栽培マンだ!これは髪の毛!地毛だッ!!」

「おお、そうなのか。で、誰だお前」


そう聞くと、男は不敵な笑みを浮かべて腕を広げた。


「僕は魔王軍四天王の一人、《暴風》のヴェント!邪魔をするのなら容赦無く消すぞ、人間!」

「っ、避けろタロー!」

「え─────」


急に横から殴られたかのような衝撃が腕に走り、俺は吹っ飛んだ。


「ウインドハンマー!」


さらに真上から何かが俺にぶつかり、そのまま地面に叩きつけられる。まさか、これは魔法というやつか?しかし特に痛くはなく、少し踏ん張れば立ち上がることができた。


「なっ········!?」

「どうした?」

「何故立ち上がれるんだ!?」

「え、立ったら駄目か?じゃあもう一回寝転びますね」


寝転んで空を見上げる。でも、風のせいで砂埃が舞って何も見えないんだけども。


「ば、馬鹿にしてるだろお前!」

「おう」

「認めた!?」


服が汚れるからやっぱり立とう。それにしても、どうやらあの男が風を発生させてたみたいだな。テミスを追い詰めてたから、一応かなりの実力者なんだろう。


それに、魔王軍四天王って言ってたよな。まるでゲームの中の世界。人類の宿敵がこの世界にも存在するってわけか。


「わん!」

「ちょっと待ってな。あいつ追い払ったら、もう窓がガタガタ鳴らなくなるぞ」


しっぽを振るマナを抱え、テミスのところに連れていく。


「タロー、あの男と戦うつもりか?」

「おう。よく分からんけどあいつはテミスにいらん事をした。つまり敵だ」


マナをテミスの足元に降ろし、向こうにいる男、ヴェントに顔を向ける。


「一体何者なんだ君は!僕のテミスとどういう関係なんだ!」

「僕のテミス?」

「ち、ちがっ、あの男が勝手に言っているだけで········!」


後ろからそう言われた。なるほど、敵は変人ってことか。どうせこの風も、女の人のスカートが風でぶわぁってなるのを期待して発生させてるんだろうな。


「どういう関係なのだと聞いているんだ!」

「テミスは俺の恩人だ。そして、俺の大切な友達」

「ふざけるなよ人間!君程度の男はテミスに相応しくないんだよバーーーーカッ!!」


風を発生させながら、ヴェントが俺に向かって勢いよく駆け出した。拳を握りしめてるから多分殴るつもりなんだろう。


「こっちの台詞だ野菜星人。よくも俺の友達を傷つけたな。お礼に今から俺が料理してやるよ!」

「うお─────」


迫ってきた拳を掴み、そのままヴェントを全力で真上に投げ飛ばす。それから背後のテミスに顔を向け、安心させるつもりで俺は笑った。


「悪いなテミス。できるだけすぐに終わらせる」

「あ、うん········」


何故か頬が赤くなっているテミスから、遥か上空に見えるヴェントに目を向ける。そしてかなり高い位置まで飛んでいったヴェント目掛けて跳躍すると、すぐに追いつくことができた。


「ば、馬鹿な!君からは全然魔力を感じないのに········!」

「その魔力というのがよく分からないんだよな。いや、待てよ。手合わせした時にテミスから感じたやつか?」


こいつからも気味の悪い何かを感じるんだよな。もしかすると、その魔力というものを利用して魔法とかを使っているのかもしれない。


「タイラントストーム!!」

「うおっ!?」

「ははは!無様に落ちろォ!!」


凄まじい風が吹き荒れる。このままでは確実に地面に墜落してしまうので、俺は咄嗟にヴェントの足を掴んだ。


「え、ちょ」

「一緒に落ちようじゃないか」

「ふざけるなァァァッ!!」


暴風を身に浴びた俺の身体は、そのままヴェントと一緒に猛スピードで地上へと向かっていく。その数秒後、二人仲良く地面に激突した。


「がはっ········!」


隣でヴェントは血を吐いたけど、俺は全く痛くもないので立ち上がり、もがいているヴェントに顔を向ける。


「口から吐いたケチャップで味付けか。俺、サラダはドレッシングで食べたいんだけどな」

「舐めるなッ!!」


何かが首に直撃した。でも、俺の首には傷一つ付かない。


「し、真空の刃が効かない········!?」

「正直自分でも怖いよ。あの高さから落ちてもノーダメージなんだし」

「まさか君もテミスと同じ《世界樹せかいじゅ六芒星ろくぼうせい》とやらなのか!?」

「全然違うけど。なんの二つ名も称号も持たないただの一般人さ」


俺がそう言うと、ヴェントは何かを呟いて突然ふわりと浮き上がり、そして俺をギロりと睨みつけてきた。


「君はここで消しておいた方がいい気がする。いや、確実に消しておかなければならない存在だ。もう手加減はしない。僕の最大魔法でその身体をグチャグチャに引き裂いてやる········!」

「死ぬなら楽に死にたいなぁ」

「吹き荒れろ、冥界の風!」


あちこちに竜巻が出現し、ヴェントを中心にこれまでで一番強い風が吹き荒れる。なるほど、確かに最大魔法に相応しいかもしれないな。


「ディザスターストームッ!!」


そう思っていたら、ヴェントが風魔法を放ってきた。超広範囲を薙ぎ払いながら、災厄の風が凄まじい速度で迫って来る。しかし、ここで逃げるわけにはいかない。


「あのさ、俺の後ろにはテミスとマナも居るんだからさ」

「なっ────」


街規模の竜巻にしか見えない魔法の中を突っ切り、向こうで浮かんでいるヴェントの目の前で手を上げる。


「テミスのこと好きなんだったら、俺を倒す事と同時にテミスの事も考えろよな!!」

「ごぶあっ!?」


ムカついたので強めに頭を殴ると、ヴェントは顔面から地面にめり込んだ。その衝撃で地面は砕け散り、吹き荒れていた風が唐突に消える。


「ば、けものめ········」

「ん?」

「覚えていろ化け物め!次こそは必ず君の顔を歪めてやる!」


やり過ぎたかもしれないと少し心配していると、額から血を流しながら急にヴェントは立ち上がり、猛スピードで俺の前から飛び去った。やっぱり魔法って便利なんだなぁ。


「ま、逃がさないけどな」


あっちの方に飛んでいったな。よし、追いかければ多分敵のボス───魔王の所にたどり着けるだろう。









▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽










私はベルゼブブ。偉大なる大魔王サタンの娘で、亡き父に代わって新たに魔王となった者よ。


十分後に人間へ宣戦布告する予定なのだけれど、少し気になることが一つ。我ら魔王軍にとって驚異となるであろう《世界樹の六芒星》とやらの一人を消しに行ったヴェントがなかなか帰ってこない。


何かあったのかしら。もしも逆に負けて消されたのだとしたら、敵は四天王を上回る実力者ということになるわね。


「ふふ、まあいいわ。どれだけ強くても私の敵じゃないもの」


さて、そろそろ宣戦布告の準備をしましょうか。


「べ、ベルゼブブ様!!」

「きゃっ!び、びっくりした・・・。何よ、生きてたのあんた」


急に窓からヴェントが入ってきた。全身傷だらけで頭からは血を流しており、恐らく敵に負けたのだと思われる。


「どうかしたの?」

「ば、化け物が!化け物が僕を追って走ってきてるんです!」

「化け物?それって暴走した魔物か何か?」

「違います、人間です!」


········へえ、面白い。


普段は冷静なヴェントをここまで慌てさせるなんて、どれ程強い人間がここへ来るのだろう。ふふ、宣戦布告の前に少しだけ楽しませてもらおうかしら?その人間を痛ぶっている映像を、人間達が住む街の上空に映し出すのもアリかもしれないわね。


「正門に兵を集めなさい。そしてその人間を殺さずに捕らえ、私の前に連れてくること。いいわね?」

「わ、分かりました·······!」


ヴェントが謁見の間から出ていく。さーて、ちょっとは私を楽しませてちょうだいね、人間──────


「よし、着いたか」

「ッ!?」


余裕を持って玉座に腰掛け直した瞬間、突然天井が崩壊し、瓦礫と共に落下してきた黒髪の男が私の前に着地した。まさか、この男がヴェントが言っていた人間か?


「もしかして君が魔王?あれ、思ってたのと違うな········」

「うるさいわね。すぐに肉塊へ変えてあげるわ、愚かな人間········!」

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