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レベル1の時点で異世界最強  作者: ろーたす
集う最強、魔闘祭
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第54話 戦乙女VS夜殺の影

「おっす、テミスちゃん。デートの準備はしてきたかな?」

「いえ、今日も夜はタローと祭りに行くつもりなので、デートの準備はしていません」

「まーたサトーの野郎とかい」


私の前に立つハスターさんが、顎を弄りながらため息混じりにそう言う。


「俺は何年も前からテミスちゃんのことが大好きなのによぅ」

「・・・それ、別の女性にも言っているのを見たことがありますが」

「い、いやいや。俺はずっとテミスちゃん一筋なんだぜ?」


まったく。いつまでそんな事を言うつもりなのだろうか、この人は。


「まあいいや。アレクシスに勝ってたのには驚いたけど、テミスちゃんに勝って準決勝に進み、俺があいつを叩き潰してやる。そしたらテミスちゃんも俺に惚れるはず!」

「惚れません」


剣を鞘から抜き、切っ先をハスターさんに向ける。もう既に準決勝に進んだタローに勝ち、優勝して私の〝想い〟を伝える為に。


「勝つのは私です、ハスターさん」

「いいねぇ。普段は可愛いけど、そういうところがかっこいい。ならばこの〝夜殺の影(ファロール)〟、全力で君の相手をさせてもらおう」

『お待たせしました!それではユグドラシル魔闘祭二回戦二試合目、テミス・シルヴァさんVSハスター・カーティルさんの試合を開始します!両者、準備はいいですね!?』


魔力を纏い、意識を集中させる。


『試合、開始ッ!!』

「先手必勝!」

「っ・・・!」


しかし、試合開始と同時にハスターさんが放った糸が体に巻き付いて身動きが取れなくなってしまった。


よく見ればその糸は闘技場全体に張り巡らされており、恐らく無理矢理動こうとすると肉が裂けてしまうだろう。


「俺の蜘蛛の巣に掛かった獲物は、動けない状態で背後から迫る死に怯えながら一生を終える。戦場を生き抜く為に習得した技の数々、遠慮なく使わせてもらうよ」

「そうですか。ならば私も」


───幻襲銀閃トライアングルレイド


「本気で挑みます」

「むっ、そうか!魔力で生み出した分身なら、糸で体を刻まれながらでもダメージを気にせずに巣を破壊できる・・・!」

瞬光螺旋突ライトニングスティンガー!!」


分身に張り巡らされた糸を全て切断させ、ハスターさんが驚いている隙に全力で突きを放つ。


「はははっ、当たらんよ!」

「速い・・・!」


それをハスターさんはあっさりと躱し、恐るべき速度で背後に回り込んできた。


だが、それは予測済みだ。


光芒閃ブリッツライン!!」


振り向きざまに全力で剣を振るう。


「駄目だね。その程度のスピードじゃあ、この俺にその剣が届くことはない!」

「ぐっ!?」


しかしそれは躱され、力強く首を鷲掴みにされた私はそのまま地面に叩きつけられた。


「はっはっは。おっさん、こういうの得意だからさぁ。このままあんなことやこんなことをしちまおうか!」

「へ、変態・・・!」

「うおぅっ、変態じゃないもん!」


魔力を放ってハスターさんを真上に弾き飛ばし、その隙に立ち上がって一旦その場から離れ、急いで体勢を立て直す。


「逃がさねえぜ!」

幻襲銀閃トライアングルレイド!!」

「おっと、またそれか」


分身を生み出し、着地と同時に私に向かって駆け出したハスターさんに攻撃するように魔力を通じて命令する。


しかし、攻撃がハスターさんに届く前に分身は首を斬られてあっさりと消滅してしまった。


「くっ、やはり強い・・・!」

「これでも一応世界樹の六芒星なんて呼ばれてるわけだしねぇ。どうだいテミスちゃん、惚れただろ?」

「だから惚れないと言ってるでしょう」

「ふーん。てことはあれか、やっぱりテミスちゃんはサトーのことが好きってことか」

「っ!」


突然そんな事を言われ、顔が熱くなる。


「そ、それは・・・」

「顔真っ赤だぜ?」

「うぐ・・・」


駄目だ駄目だ。

今は戦闘に集中しなければならないのに、タローのことを考えるのは駄目じゃないか、私。


「君ほどの美少女から好意を寄せられるとは。他の子らにも相当好かれてるみたいだし、まじで何者なんだよあいつは」

「・・・」

「ま、正直世界樹の六芒星全員が束になっても敵わないような化物には違いねえ。あいつにべったりなショートカットと長髪の美少女2人、そして獣人のちびっ子。どいつも有り得ねえぐらいの魔力を持ってたしな。そんな奴らに囲まれても動じない化物だ」


ハスターさんが魔力を纏う。


「そいつを狩れば、世界一強いのは間違いなく俺になる」

「無理ですよ」

「ん?」


同じように、私も剣に魔力を纏わせる。


「その前に貴方は私に負けるのですから」

「・・・ぷっ、あっはっはっは!」


来る。

ようやく本気を出してくるか。


「やっぱり君は美しい!!」

幻襲銀閃トライアングルレイド───」


恐ろしい速度で駆け出したハスターさんに、生み出した分身を動かして攻撃する。


先程よりも数倍多く魔力を与えているので、スピードや筋力も本体の私と同じレベルまで上昇している分身2人。


それが彼の相手をしてくれている間に、この二ヶ月で習得した新たな技の発動体勢に移行した。


「むっ、何をするつもりだ・・・?」

「──────」


剣を掲げ、目を閉じる。

そして体内に流れる魔力を剣に集中させていく。


「こいつはヤバそうだ。悪いけど阻止させてもらうぜ、テミスちゃん!」


分身が1人消滅した。

ハスターさんがこちらに向かってくるのが分かる。しかし、もう1人の分身でハスターさんの動きを食い止める。


「チッ、一旦離れるしか・・・!」

「無駄ですよ」


その隙に私は剣を地面に突き刺し、集めた魔力を一気に地面へと流し込む。


「この技の攻撃範囲はフィールド全体です」


フィールドとほぼ同じ大きさの魔法陣が地面に出現し、光が闘技場を照らす。


「おいおいまじか────」

「照らせ、〝滅光陣リュミエールセルクル〟」


それは、空から見れば極太の光線のように見えただろう。私が放った奥義はハスターさんを呑み込み、空へと向かう。


これを人相手に使ったのは初めてだが、恐らくかなりのダメージを与えられたはず。


「まだだァーーーーッ!!」

「ええ、そうですね」


ハスターさんが光の中から飛び出してくる。しかし、それは予測済みだったので焦ることなく剣を構え、


光芒閃ブリッツライン!!」

「がっはあ!?」


全力で技を放つ。

流石は夜殺の影(ファロール)。彼は咄嗟にダガーでそれを防御したが、そのまま彼は吹っ飛んで壁に激突した。


「ぐ、はは。しばらく見ない間に強くなったな・・・」

「それは、タローのおかげです」

「またあいつか・・・勝てねえわけだ」


ハスターさんが崩れ落ちる。

良かった、これで次は────


『そこまで!勝者はテミス・シルヴァさん!美しき戦乙女が、最強の暗殺者との激闘を制しましたァ!!』

「「「うおおおおーーーー!!!」」」


タローとの決戦だ。

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