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レベル1の時点で異世界最強  作者: ろーたす
集う最強、魔闘祭
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第52話 恐怖を乗り越えて

「ひっひっひ。まさか〝銀の戦乙女(ワルキューレ)〟をこんな間近で見る日が来るとは。綺麗な君の顔が恐怖に歪むの、見てみたかったんだよねぇ」

「・・・」


集中、集中・・・。


「そういえば、王国予選で優勝した奴を応援してたんだって?ひひっ、君にとって特別な存在だったりするのかい?」


ああ、そうだとも。

今私がこの場に立てているのは、これだけの人の前で優勝を目指そうと思えているのは。


今私が生きているのは彼、タローのおかげなのだから。


「クールだとは聞いていたが、さっきから僕の話を全然聞いてくれないな。もしかして、こんなに素晴らしい肉体を持つ僕と話すのが恥ずかしいのかな?」


ふと観客席に目を向ける。

すると、以前言っていた『応援旗を作って全力で応援する』という行為を実際に行っているタローが見えた。


「ふふ、まだ始まっていないのに」

「おぉ?何か言ったかい?」

「ああ、言った」


剣を抜き、魔力を纏わせる。


「勝つのは私だ」


少し前の私なら、こうしてこの場に立った瞬間に震えが止まらなくなっていただろう。


けど、今はもう大丈夫。

まだ男性と話すのは苦手だけど、




───試合中は応援しかできないけど、心は繋がってるからさ・・・なーんて




『それでは!テミス・シルヴァさんVSガチム・クロットさんの試合を始めます!試合────』


いつも傍には彼が居てくれるから。


『開始ィィ!!』

「あまり調子に乗るなよ、世界樹の六芒星!ひははっ、まずは美しい君から食ってやろう!!」

「・・・?何を言っている」


数歩進んで剣を振るう。

距離を詰めてきたガチムという男は自分から私の剣にぶち当たり、そのまま私の後ろの方に吹っ飛んでいった。


「が、あ・・・!?」

「人が人を食べてどうするんだ」


場外には出なかったようだが、地面に落ちた男は数秒間悶絶した後気絶した。


『は、早すぎる!あの巨体を恐るべきスピードで弾き飛ばし、テミス・シルヴァさんが勝利しました!!』


もう一度タローを見る。

ムッ、ベルゼブブとディーネも見に来ているのか。2人と楽しそうに話をして・・・後で文句を言ってやろう。
















▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△













「お疲れテミス!いやぁ、あのゴリゴリマンを一撃で気絶させるとは!可愛いし強いし、やっぱりテミスは凄いな!」

「え、いや、可愛くは・・・」

「可愛いよ、マジで」

「むぅ・・・」


普段は凛としてるけど、照れたり恥ずかしがったりしてる時は途端に落ち着きがなくなって髪を弄り始めるんだよなぁ。


うんうん、そういうとこも可愛い。


「ちょっとタロー。そうやって銀髪女だけ褒めるのやめてよね。そんな事したらきっと調子に乗るわよ」

「とか言ってベルちゃん、ただ嫉妬してるだけだよね〜。そもそもベルちゃん何もしてないし」

「う、うるさいわね!」


俺の両隣に座ってるベルゼブブとディーネがよく分からん言い合いを始めた。マナは俺の膝の上でウトウトしている。


「チッ、このリア充めがぁ!」

「呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪」

「ド変態の分際で・・・!」


ちなみにここは観客席。

左に笑顔が似合う元気な美少女、右にちょっとツンツンしてるけど優しい美少女、膝の上にはついつい撫でてしまう愛らしい女の子。そして、世界中の男達が彼女にしたいと夢見てる銀髪の美少女が目の前に。


そりゃ呪われますわ。


「いや〜、二人共お疲れ様!」


さらにツインテールが良く似合うアイドルのような美少女が追加されました。


「ラスティ、アレクシスは大丈夫だった?」

「うん、もう少しでこっちに戻って来ると思うよ。いやぁ、アレくんがタローくんに吹っ飛ばされた時はびっくりしたよ。やっぱりタローくんは強いね」

「うーむ、そうだろうか」


まあ、レベル2の状態で神獣種を倒せるぐらいステータス高かったのに、今の俺レベル80ですしね。


「それにしても、珍しくテミっちゃんがやる気満々だったじゃない。勝ったら抱いてもらうとか約束してたの?」


そして唐突にそんな事を言い始める問題児のラスティさん。


「はっ!?そ、そんなわけないだろう!」

「タローくん、ご褒美をあげて」

「テミスがいいのなら・・・」

「だ、駄目だ駄目だ!」


顔を真っ赤にしながらテミスが首をぶんぶん振る。その様子は他の人達にとってもかなり癒しになったと思うけど、嫉妬の視線と呪いの言葉が背中に突き刺さってて怖い。


「そうそう、駄目よタロー。抱くのなら私にしておきなさい。毎日何時間でも私はOKなんだから」

「えー、それなら私だっておっけーだもん。私達も大人の階段ちょっとだけのぼろー」

「二人共。そう言ってくれるのは嬉しいけど、そろそろ観客達が暴れ出しそうだから・・・」


ありとあらゆる方向から視線や殺意を感じ、体中から変な汗が流れる。


「テーミースーちゃーーーんっ!!!」

「っ・・・!」


家に帰りたいと思い始めた時、急に聞き覚えのある男の声が響き渡った。


何かと思って闘技場に目を向けると、今試合に出場してたらしいおっさん・・・ハスターがこっちに向かって手を振っているのが見える。


「俺が優勝したらデートしようぜ!」

「テミスさん、さっきの試合でちょっと疲れてるでしょ?席譲ったげるね」

「・・・?ああ、ありがとう」

「おおーい、テミスちゃーん!聞いてるかーーい!?」

「もう、しつこいな・・・」


突然ディーネが席をテミスに譲る。

そして、何度も何かを叫んでるハスターに首を振りながらテミスは俺に身を寄せてきた。


「んん?」

「・・・え、あっ!これはその、違うぞ!?私が座るとディーネが座れなくなるから、半分だけ譲ろうと思って・・・」

「いや、全然いいよ。むしろもっときてほしいくらいだよ」


次の瞬間、俺の頭に石が直撃した。

それと同時に髪を真紅に染めたベルゼブブが本気で会場を消し飛ばそうとしたのを急いで止め、珍しく静かに怒りながら立ち上がったディーネも落ち着かせる。


そして起きてしまったマナの頭を撫でてもう一度寝かせてやり、自分のせいだと思って何度も謝ってくるテミスに悪いのはいい思いをしてる俺だと説明。


爆笑してるラスティにはとりあえず軽くチョップしておいた。

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