表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1の時点で異世界最強  作者: ろーたす
集う最強、魔闘祭
48/257

第46話 レベルアップは洞窟で

「おらあッ!!」

「ブオオオオ!!?」


殴ったゴーレムの体が粉々に砕け散る。

バラバラと音を立てながら地面に降り注ぐゴーレムだったものを見ながら俺はとある現象が起こるのを期待したけど、何秒待ってもそれが起こる気配はない。


「レベル上がんねええええ!!!」


そう、レベルアップ演出が起こらないのだ。


今俺が居る場所は、王国屈指の危険迷宮と呼ばれる『デインジャラスの洞窟』という迷宮。


かなり強い魔物ばかり出現するから、世界樹の六芒星のテミスですら1人で最深部まで進むのは時間がかかるらしいんだけど、そんな場所で魔物を倒しまくってるのに全然レベルアップしない。


「やはり、タローのステータスは私達とは何かが違うのかもしれないな。まだレベル50なのだから、1ぐらいはレベルが上がってもおかしくはないと思うんだが・・・」


ゴーレムを剣で真っ二つにしたテミスがそう言う。ということは、この先俺がレベルアップする確率って限りなく低いんじゃないだろうか。


「魔闘祭出場は無理かもなぁ」

「そんな、まだ二ヶ月時間はあるのだから・・・あ、いや、タローは予選に出場しなければいけないのか」

「俺の分も頑張ってくれ、テミス。応援旗とか作って観客席から全力で応援するからさ」

「そ、それは恥ずかしいから・・・」


テミスが出場したらきっと盛り上がるだろうな。舞う様に剣を振るうテミスを、興奮しながら食い入るように見る男性達。


・・・想像したらムカついてきた。


「ご主人さま、おまつりいかないのー?」

「お祭りはマナ達と楽しむつもりだけど、魔闘祭には出場しないというか、出場できないかな」

「マナ、ご主人さまがたたかってるとこみたいなぁ。テミスおねーちゃんといっしょにおーえんするよー?」

「何があろうと出場するから待っててね。ご主人様、死ぬ気でレベル上げするよ」


おっと、テミスがやれやれとでも言いたそうに俺を見てる。そりゃマナが応援してくれるんだし、出場しないわけにはいかないでしょう。


「しかし、ここでレベルアップしないとなると、何処ならば効率よく経験値を得る事ができるだろうか」

「別の国行くとか?」

「それは良いかもしれないな」


なんて言いながら、次々に現れるゴーレムをバッサバッサ斬っていくテミス。さっきから何回もスカートが捲れて水色のパンツ見えてるけど黙っておこう。


「ねえねえ、ご主人さまー」

「んー?」

「あのね、あっちからとってもいいにおいがするよ。マナ、おなかすいてきちゃった」

「お腹空いたのか。お菓子とか持ってきてるけど、それよりあっちにあるものの方が気になるのかな?」

「うん」


マナが指さした方に顔を向けてみたけど、あるのは何の変哲もないただの壁と地面に生えてる雑草ぐらいだ。


「・・・ふむ、どうやら強力な結界が張られているようだな」

「え、まじで?」

「何の為に存在しているのかは分からないが、タローですら気付けないレベルの結界だ。しかし、自慢する程のことではないが───」


テミスが壁に手を置く。そして彼女が壁に魔力を流し込んだのが何となく分かった瞬間、直前までただの壁だった場所に俺がギリギリ通れるぐらいの小さな穴が出現した。


「おおっ!?」

「結界の解除は得意なんだ」


か、かっけぇーーー!!


「わざわざ結界を張ってまで隠したかったものがこの先にあるのかもしれない。先に進んでみるか?」

「ああ、行こう」


お宝かなぁ。それとも、マナがいい匂いがするって言ってたから美味しい食べ物でもあるのかなぁ。


まあ、これはレベルアップ作業とかしてる場合じゃないよな。そう思いながらマナに穴の先に進もうかと言ったら、とんでもなく可愛い満面の笑みを浮かべながら抱きついてきた。


いやね、もうほんと幸せだわ。















△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△














「うーん、何も無い」

「かなり高位の結界だったんだが・・・既に見破られ、隠していたものは誰かに持ち出されたのかもしれないな」

「あの穴通るの大変だったのになぁ。しょーがない、戻ってレベル上げを再開するとしますか」


穴の向こう側に来てみたけど、残念なことに何一つ置かれてなかった。こっちに来て良かったって思えたのは、テミスのスカートが尖った岩に引っ掛かって捲れ、またパンツが見れたってことぐらいかな。


「・・・いや、これは」

「ん?」

「そこか」


とりあえず向こう側に戻ろうと思った時、急にテミスが壁目掛けて剣を振るった。


すると、壁が砕け散ってかなり奥へと続く道が現れ、さらに大量の魔物が中から飛び出してきたではないか。


「ミィィィィ!」

「うおっ、なんだこいつら!」

「まさか、〝メタりん〟か・・・!?」


テミスが魔物を見てめちゃくちゃびっくりしてる。見た目は何度か討伐したことがある〝スラりん〟というスライム型モンスターにそっくりだけど、こっちは体の色が銀色だ。


「とてもラッキーだぞ、タロー!生きているうちに一度遭遇するかしないかとまで言われている超希少モンスターが、こんなにも現れるなんて!」

「レアモンなのか」

「ああ!剣を弾くほど体は硬いが貰える経験値量は世界一で、倒せばきっとタローもレベルアップする筈だ!」


珍しく興奮してるテミスがとても可愛いからしばらく見ていたいんだけど、今の話を聞いてこいつらを無視することはできない。


とりあえず俺は、崩れた壁の向こうへと逃げ去ろうとしたメタりんとやらのうち一匹を捕まえ、ちょっと可哀想だけど地面に叩きつけて倒した。


すると、懐かしの体が光に包まれる現象が起こったので俺はテンションが上がってジャンプし、天井に突き刺さってしまった。


「だ、大丈夫か?」

「ああ、勿論」


頭を引っこ抜いてテミスの隣に着地し、メタりん達が逃げていった穴に顔を向ける。


「結界を張って隠そうとしたのはメタりん達だったのかもしれないな。それとも、この先に本命の宝が隠されていて、メタりん達はたまたま住み着いただけか・・・」

「どちらにせよ、こんな最高のイベントをスルーするーわけにはいかないよな」

「一応警戒しながら先に進もう」


はい、残念なことに俺のダジャレは思いっきりスルーされましたとさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ