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レベル1の時点で異世界最強  作者: ろーたす
異世界転移、レベル1
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第4話 お手柔らかにお手合わせ

「うーん、いい天気だねぇ」


異世界生活2日目。寝転びながら、俺は綺麗な青空を見上げる。風も気持ちいいし、このまま寝てしまいそうだ。マナもさっきまでは走り回ってたけど、今は俺に寄り添って眠っている。


「こら、タロー。そろそろ始めたいんだけど」

「ん、ああ」


ここは、俺が落下したことによって出来上がったクレーターの近くにある草原。一度手合わせしてみようとテミスに言われ、ついでにギルドで依頼を受注してからここを訪れた。ちなみに依頼は森に生息するキラービーという魔物の討伐である。


「タロー、別に手加減しなくていいからな。私はタローの本気を見てみたいんだ」

「まあ、お手柔らかに」


特に戦闘経験の無い俺が、戦闘の天才相手にどれだけ戦えるのだろうか。流石に女の子を殴ったりなんてできないし、下手したらあの時のドラゴンみたいに吹っ飛ばしてしまうかもしれない。


よし、とりあえず守りに徹するとしよう。


「さて、それでは始めるとしようか」


テミスが剣を鞘から抜いた。銀色に輝く彼女の剣からは、言葉では表せないような不思議な力を感じる。それに、剣を持って構えた彼女は呼び名の通り、『銀の戦乙女(ワルキューレ)』その人であった。


「行くぞタロー!!」


そう言ったのと同時にテミスが剣を振り下ろした。そして、その剣から銀色の刃が放たれる。


ど、どうすれば!?とにかく焦りながらも俺は拳を握りしめ、迫る斬撃を殴ってみた。


「なっ!?」

「うおっ、まじか!?」


向こうでテミスがびっくりしている。いや、俺もびっくりだ。


というか凄いな。この世界は斬撃を相手に向かって飛ばすことが可能なのか。まるでゲームの世界。怖いけど、ちょっとワクワクするじゃないか········!


「ならば─────」

「っ!?」


俺も技を使えるのかなと思っていると、急にテミスが増えた。残像とか、そういうのではない。本当に増えたのだ。


「「「幻襲銀閃トライアングルレイド!!」」」


一人は正面、残りの二人は左右から光る剣を高速で振るう。しかし、それが俺に届く前にジャンプして技を避けることに成功した。


「は、速い·······!」

「人ってこんなに高く跳べるんだなぁ、感動!」

「だが、上に跳んだのは間違いだったな」


真下でテミスが剣を構えた。確かにこの状況はまずい。空を飛べないんだから、彼女の攻撃を躱すことはほぼ不可能だ。


光芒閃ブリッツライン!!」


放たれた斬撃の衝撃は凄まじかった。腹部に彼女の剣が直撃し、閃光が迸ったのと同時に俺の身体は猛スピードでテミスから離れていく。


どれ程吹っ飛んだのだろう。かなり遠くにあった大きな岩に激突した俺は、やはりと言うべきか無傷だった。


「········こ、これが俺のステータスの高さか。ドラゴンを一発で殺せる攻撃力に、世界最強クラスの少女の一撃を受けても平気な防御力。流石に信じざるを得ないか、これは」


脚に力を込める。そして俺は全力で地を蹴った。


「ッ──────」

「おっと!」


殆ど一瞬でテミスの目の前まで移動できた。でもどうしよう、移動できても攻撃することはできないぞ。


「くっ!?」

「攻撃を封じるしかないか」


テミスが剣を振り上げようとしたけど、その前に彼女の腕を掴んで阻止する。


「は、速すぎる········!」

「ちょっと複雑な事情があってさ、俺自身こんな力を手に入れた理由が分からないんだ」

「そう、なのか」


場を満たしていた不思議な力がテミスの中に戻っていく。どうやら手合わせはこれで終了らしい。


「わんわんっ!」

「おー、マナ。終わったぞ」


駆け寄ってきたマナの頭を撫でてやる。するとマナは嬉しそうにぶんぶんしっぽを振った。


「その、すまないタロー。ステータスが高いから大丈夫だと思って、つい本気で斬ってしまった。もし相手がタローじゃなければどうなっていたか········」

「俺は大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」


本当にテミスは優しいな。申し訳なさそうに俯く彼女に無事を伝え、俺はマナを抱きかかえる。


「それじゃあ今日はキラービーを討伐して町に戻ろうか」

「ああ、そうしよう」


意外と戦うのは楽しかった。また機会があれば、こうしてテミスと手合わせしてみたいな。









▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽








「お疲れ様です。これが今回の依頼の達成報酬となります」

「ありがとうございます!」


受付嬢さんから受け取った袋の中には報酬の4000Gが入っていた。ちなみに、1Gで1円と同じ価値ということが判明している。


「よし、これで宿に泊まれるな」

「そうだな。確か1泊1500Gだったと思うが」

「そっかそっか。じゃあこの調子で毎日依頼を達成すれば、この先お金に困ることはないな」


明日もギルドに来るとして、今日はこのお金を使ってテミスにお礼をしようと思う。料理をご馳走してもらい、更に家にお泊まりさせてくれた。だから、どうしてもお礼がしたい。


「それじゃあタロー、今日はどうもありがとう。何か困ったことがあれば連絡してくれ」

「あ、うん。また明日」


テミスがギルドから去っていく。そんな彼女を見送った後、俺は足元に立つマナと目線を合わせる為にしゃがんだ。


「さて、マナよ。俺はテミスにお礼として何かプレゼントしようと思うんだけど、今からちょっと買い物に行こうか」

「わん!」

「よしよし、いい子だ」


マナの頭を撫でてやる。とりあえず町を一周してみようかな。宿がどこにあるのかも聞き忘れたし、頭の中でマップを作成しなければ。


(あれが神狼を従えたっつー旅人か)

ヒソヒソ

(やだ、ちょっとかっこいいかも)

ヒソヒソ

(テミスより強いらしいぞ。一度戦ってるとこを見てみたいぜ)


········凄く視線を感じる。目立つのはそこまで嫌じゃないんだけど、ちょっと恥ずかしいから早く外に出るとしよう。












さて、ぐるりと町を一周してみたが、オーデムは結構過ごしやすい街みたいだ。宿はギルドのすぐ近くにあったし、八百屋とか魚屋とか色んな店があったから買い物にも困らない。


それと、途中でネックレスを買ってみた。値段は2500Gで、魔晶石ってのがお守り代わりになってくれるって言われたから迷わず買った。なんというか、テミスに似合うと思ったからだ。


しかし、お金が無かったのでどちらかと言えば安物である。次はもっと良い物をプレゼントしよう。


「よし、着いたぞ」

「わふっ」


その後、改めて俺はテミスの家に来た。とりあえず玄関の扉をノックして彼女を呼ぶ。数秒後、可愛らしい格好のテミスが外に出てきた。どうやら部屋着に着替えたらしい。


「タローか。どうしたんだ?」

「いやぁ、ちょっと渡したいものがあってさ」


可愛さのあまり緊張しながらも、テミスにさっき買ったネックレスが入った紙袋を手渡す。


「昨日はどうもありがとう。それはお礼、あとこれからもよろしくってことで」


紙袋の中から取り出したネックレスを見て、テミスが笑顔になった。やば、笑顔が可愛すぎてちょっともう········。


「ふふ、ありがとう。大切にするよ」

「お、おう」

「でも、お金が殆ど無くなってしまったんじゃ········」

「明日もギルドに行くから大丈夫だよ。まあ、ほんとはもっといい物を渡したかったんだけどさ」

「いや、嬉しいよ。本当にありがとう、タロー」


うーん、喜んでくれて良かった。ネックレスを大事そうに持ちながら微笑むテミスを見て、俺は心の中で拳を握りしめた。

次回、変人襲来の回

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