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レベル1の時点で異世界最強  作者: ろーたす
渦巻く陰謀、恋心
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第28話 第一種危険人物

「んー、あれが王都なんじゃない?」

「分からんけど、とりあえず行ってみよう」


みんな〜!今、俺空飛んでるよ!

ってまあ、ベルゼブブさんが黒い翼をバッサバッサさせながら飛んでおり、俺は彼女に肩を掴まれてるだけなんだけども。


ちなみに、翼は服で覆われてるから見えてなかっただけみたい。それを羽ばたかせるのが面倒だから、普段移動したりする時は魔法で浮遊してたとのことだ。


「そーいやさ、なんで今日は魔法を使って飛ばなかったんだ?」

「そういう気分だったからよ」

「なるほど」


ベルゼブブが俺を掴んだままゆっくりと地上に降り立つ。王都らしき街は少し離れた場所にあるんだけと、近くで降りるとベルゼブブが魔族だってバレちゃうからな。


「オーデムを出てから一時間くらいか。思ったよりすぐに見つかったな」

「私が全力で飛んであげたからよ。ふふん、感謝しなさい」

「ありがとうございまァす!!」

「なんかムカつくわね・・・」


とりあえず、ここから歩いて向こうに見えてる王都らしき街を目指すとしよう。














▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△











「なーんだ。城があるけど、魔王城の方が大きいじゃないの」

「ここが王都か。すごい賑わってるな」


さっき歩いてる人に聞いたらここは王都とのことだったので、俺達は無事目的地に辿り着くことができた。


道を歩いている人達はオーデムの倍以上もおり、建っている家もちょっと豪華に見える・・・気がする。


向こうの方にある白くて大きな王城にはこの国の王様が住んでいるんだろう。やっぱ王様って、白い髭が目立つ老人なのかな。


「なんかジロジロ見られるんだけど。私が魔族だって気付かれてるんじゃ・・・」

「いや、単純にベルゼブブが可愛いからだろ」

「え、可愛いって、そんな・・・」


何を照れてんだこいつは。


「タロー以外にそんなこと思われても、別に嬉しくないし」

「・・・」

「あら、どうしたの?」

「思ったんだけどさ、俺のどこが好きなんだ?別に良いとこなんて無いと思うんだけど」

「全部好き。優しいとこも強いとこも、ぜーんぶね」


・・・あーもう、何なんだよこいつは。

そんなこと言われたらなんか照れるし、嬉しいに決まってる。


「あれ、タローくん?」


若干赤くなってるであろう顔をベルゼブブから逸らしてると、急に誰かに声を掛けられた。


今の聞き覚えのある声は、もしかして・・・。


「ラスティか」

「やっほー・・・ってあり?テミっちゃんとは違う女の子とデート中だった?」

「デート中というか、なんというか・・・」


向こうから歩いてきたのは、この前ラースという山を調査した時に知り合った、世界樹せかいじゅ六芒星ろくぼうせいの一人であるラスティだった。


ツインテールが良く似合うアイドルのようなラスティと数日ぶりに会話した俺だけど、急に後ろからベルゼブブに服を引っ張られたので振り返る。


「誰・・・?」

「一緒に山を調査した友達だよ」

「ふーん」


少し不機嫌そうな顔でラスティを見つめるベルゼブブ。まさかとは思うけど、俺とラスティがそういう関係だと誤解されてるんじゃないだろうか。


「そういやアレクシスは?」

「んー、ちょっと騎士団の人と話してる」


おい、何をしてるんだ夫は。


「とんでもないことが起こってね。それについて今後どうするかを話し合ってるよ」

「とんでもないこと?」

「うん、実はね・・・」


キョロキョロと周囲を見渡し、ラスティが少しだけ顔を近づけてくる。それを見てベルゼブブがムッとしてるのがチラッと見えた。


「第一種危険人物のハーゲンティって男がいるんだけど、そいつが今日脱獄したんだって」

「へえ・・・って、誰だそいつ」

「《邪蛇王ザッハーク》ハーゲンティ。あたし達と同じ世界樹せかいじゅ六芒星ろくぼうせいの一人で、ずっと監獄に閉じ込められてた男なの」

「六芒星の一人?なんか悪さでもしたのか?」


それを聞いたラスティの表情が険しくなる。


「うん、あいつは最低なクズ野郎だよ。テミっちゃんの両親を殺害し、何人もの人を利用してテミっちゃんを精神的に追い詰めてあの子の心を支配しようとした。つまり、テミっちゃんが他人と関わるのが苦手になった原因」

「・・・は?」

「アレくんが今話し合ってるのは、ハーゲンティをどうやって見つけ出すか。それと、どうやって捕らえるかについて。また被害が出る前に、絶対捕まえなくちゃ・・・」


テミスの両親を殺害した?

それに、テミスを精神的に追い詰めたって?


「おいおいおい。それって、そのハーゲンティって奴がまたテミスのとこに行く可能性が高いんじゃないのか?」

「そうだね。もし今ハーゲンティがオーデムに姿を現してたら、テミっちゃんだけじゃ対処できないと思う。一応ハーゲンティも六芒星の一人だし」

「は、早くオーデムに戻らないと」

「安心しろ。通信器でオーデムのギルドへ連絡を入れておいたから、誰かがテミスの家へ向かってくれているはずだ」


そんな声が聞こえたので振り返ると、後ろに居たのは燃えるような赤髪が目立つ男だった。


「アレくん。話はもう終わったの?」

「ああ、奴は王国騎士団が総力を挙げて捜し出すとのことだ。勿論俺も協力させてもらうが」


立っていたのはアレクシス。

世界樹の六芒星の中で一番強く、大剣を使うパワフルな男だ。


「まさか奴が逃げ出すとは思っていなかった。このことはテミスに言わない方がいいかもしれない」

「アレクシス。大丈夫っていっても、そのハーゲンティって奴は一応世界最強の一人なんだよな?もしテミスのとこに行ってたとしたら、ギルドにいる人なんかじゃ手も足もでないだろ」

「ああ、そうだろうな。だからこのあと俺はオーデムに向かうつもりだ」


このあとって、今すぐ行かなきゃ手遅れになるかもしれないじゃないか。


「ベルゼブブ、その・・・」

「もう、折角ここまで来たのに。自分で走ればいいじゃないの」

「空から地上を見下ろすと、どこに町があるのか見えやすいだろ?」

「・・・じゃあ、次はちゃんとデートしてね」

「分かった。約束するよ」


俺がそう言うと、ベルゼブブは俺の服を掴んで飛び上がった。下でアレクシスとラスティが何か言ってるけど、風の音で全然何言ってるのか分からない。


「しょうがないから魔法で飛んであげる。オーデムの場所はもう覚えてるから、10分あれば着くはずよ」

「おう、ありがとな!」


俺のお礼を聞いたベルゼブブは少しだけ満足げに頬を緩ませ、そしてオーデム目指して猛スピードで飛行を開始した。

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