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レベル1の時点で異世界最強  作者: ろーたす
渦巻く陰謀、恋心
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第24話 魔導王がやって来た

「そ、ソンノさん!?」

「久しぶりだなぁテミス。なんだお前、男苦手なんじゃなかったっけ?あれか、付き合ってんのか?」

「ち、違いますけど・・・」


紫のボサボサ髪を掻いている女の子相手に何故か敬語で喋るテミス。ということは、一応二人は知り合いってことだな。


「なあテミス、この幼女は誰なんだ?」

「おいこらクソガキ。こう見えて27歳なんだぞこの野郎」

「えっ!?」


全然見えないんですけど。


「タロー、この人はソンノ・ベルフェリオさん。王都ギルドのマスターで、世界樹の六芒星の一人なんだ」

「なんですと」

「それで、ソンノさん。どうしてここに?」


まさかの六芒星の一人だった幼女・・・じゃなかった。ソンノさんにテミスがそう聞く。


すると、ソンノさんは俺に顔を向けてきた。


「・・・ふーん、なるほど。お前が魔犬ケルベロスを倒したわけか」

「え!?」


なんでそれを知ってるのだろうか。

あ、テミスが王都ギルドのマスターって言ってたな。てことは、アレクシスとラスティから聞いたのかもしれない。


「へえぇ、面白いな。実に興味深い。六芒星が三人居ても倒せない神獣種を倒すことができる化物か。テミスとの関係も気になるし、少し話を聞かせろ」

「待ってください!タローはこの件に関係していな────」


話を進めようとするソンノさんにテミスがそう言った次の瞬間、突然猛スピードで向こうに置いてあった包丁が飛んできた。


何事かと思ったけど、ソンノさんが魔法で飛ばしてきたっぽいからとりあえず包丁を素手で掴む。


「────っ!」


少し遅れてテミスがこっちに顔を向ける。それだけ今の攻撃が速かったってことだ。


「今のに反応できるんだ。テミス、反応が遅れたお前より強いんじゃないか?」

「そ、それは・・・」

「次は本気で魔法を使って試させてもらうぞ。私は眠いんだ。話を聞いてさっさと帰りたいんだよ」


ソンノさんの身体から魔力が溢れ出す。

黙ってたらほんとに魔法ぶっぱなしそうだなこの人。仕方ない、とりあえずステータスのことは言っておくか。













▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△












「レベルは2。なのにステータスは最新の測定石をぶっ壊す程の壊れっぷり・・・か」

「面倒なことになりたくないから黙ってたんですよ。自分でもなんでそんなにステータスが高いのかよく分かりませんし」

「私は言いふらさないさ。こんなに面白い話、他の馬鹿共には聞かせたくないね。言えば確実に研究者共がお前を調べようとするだろうし、いつか世界に牙を剥く存在になるかもしれないと世間から冷たく扱われるようになるかもしれないぞ?」


なるほど。

オーデムの人達はみんな黙っていてくれてるけど、他の場所だと危険人物だと思われてしまう可能性もあるのか。


「俺だけあーだこーだ言われるのはいいんですけど、テミス達にも迷惑かけてしまうかもしれませんしね。だから、俺のステータスについてはどうか秘密にしておいてください」

「ああ、面倒だけど約束しよう。んで、お前ら付き合ってんのか?」

「だ、だから!付き合っていないと言ったでしょう!」


隣に座ってるテミスの顔は真っ赤だ。

単純に付き合ってると言われて恥ずかしいだけなのかは分からんけど、付き合ってないって即答されると結構悲しい。


「じゃあなんで・・・えーと、名前なんだっけ?」

「タローです」

「タローが家の中に居るんだよ。お前、男苦手って言ってただろう?洗脳でもされてんの?」

「さ、されてません。タローは住む家が無くて、ずっと宿の部屋を借りて過ごしていたので、私の家に呼んで同居することにした。それだけですよ」

「いやいや、だからなんで苦手な男と同居してるんだよ」

「う、それは・・・」


ソンノさんの質問が止まらない。

とりあえずテミスを助けようと思ったけど、さっきのクモと戯れてるマナが見えたので急いでマナのもとに向かった。


「こらこら、毒あるかもって言ったじゃないか。噛まれるかもしれないんだぞ?」

「えへへ、ごめんなさーい」


クモを窓の外に逃がし、マナを抱っこして椅子に座り直す。すると、ソンノさんにお前ら凄いなと言われた。


「その子、お前らの子供だったのか」

「ち、違います!この子は神狼マーナガルムの子供で、タローに懐いて────あ」


やっちまったみたいな顔でテミスが俺を見てくる。


「なるほどなぁぁ。魔犬だけじゃなくて、神狼とも戦っていたのか。しかも、獣人化が可能なのかぁ」

「た、タロー。どうしよう」

「まあ、この人になら言っても大丈夫だろ・・・多分」


とりあえず俺は膝の上に座ってるマナについて説明した。それを聞き終えたソンノさんは、興味深そうにマナの顔をじっと見つめる。


「・・・?どーしたの?」

「いや。神獣種がまだ子供だからといって、人間に懐いたという記録は残っていないから驚いただけだ」

「マナはご主人さまのこと、だいすきだよ」

「俺もマナのこと大好きだぞ〜」


可愛すぎたから頭を撫でる。

すると、そんな俺を見たソンノさんが呆れたような表情を浮かべた。


「うわぁ、子煩悩かお前」

「だって可愛いんですもん」

「そんな感じでテミスも愛してやれよ」


そう言ってソンノさんが立ち上がる。

それに対してテミスは顔を真っ赤にしながら何か言ってるけど、ソンノさんは眠そうに欠伸してるだけで全く聞いてない。


「なあ、子煩悩。お前今暇か?」

「タローっす。まあ、暇ですね」

「眠いけどこれだけは見ておきたいからなぁ。準備を済ませたら外集合な」

「え、何がですか?」


どういうことかは分からないけど、ソンノさんは外に出ていく。テミスもよく分かってないらしく、とりあえず外に出ようと言われた。


「どこかいくのー?」

「うーん、どうなんだろ」


マナを抱っこしたまま外に出た瞬間、急に景色が切り替わる。驚いて周囲を見渡せば、心地よいそよ風が吹く草原に俺は立っていた。


「っ、まさか・・・」


テミスの視線を追うと、膨大な魔力を纏っているソンノさんが、ふわふわと宙に浮いていた。


「マーナガルムをテミスに預けな、タロー」


そう言われたので、抱っこしていたマナをテミスに預ける。


「お前の強さ、今私に見せてみろ」

「まじですか」

「まじだよッ!!」


突然俺の周囲に黒い穴が何個も出現し、そこから大量の鎖が飛び出してきた。それが俺の全身に巻き付いたのを見たソンノさんが魔法を唱える。


「その状態でこれを防げるか?」

「っ、なんかやばい気がする」


キィィンと耳鳴りのような音が響く。

その直後、視界が真っ白になった。同時に凄まじい衝撃を身に受けたけど、鎖が巻き付いてるから俺はその場から吹っ飛ばない。


「なるほど、今のが効かないのか」

「頑丈なもんで」

「なら、こいつはどうだ?」


ソンノさんがニヤリと笑った瞬間、俺の右腕に何かが当たった。反射的に全身に力を込めて鎖を粉砕し、急いでその場から離れる。


「うお、初擦り傷・・・」


右腕を見れば、肩が少しだけ切れていた。

あんな高いとこから落ちても無傷だったのに、遂に俺もダメージを受けてしまったのかぁ。


「タロー、大丈夫か!?」

「ああ、大丈夫だよ」


俺の怪我を見たテミスが駆け寄ってこようとしたけど、それを手で制する。


ソンノさんがどんな魔法を使ってるのかは分からないけど、今俺に近寄るのは危険だ。


「お前、ほんとに化物なんだな。今のは本気で腕を落とすつもりだったんだが」

「ええ?そりゃ危ないですって」

「まあいい。久々に楽しいと思ってるぞ、私は。もっとお前の実力を見せて────」


まだ戦闘を続けるみたいなので、とりあえず俺も反撃しようと思った時だった。


紅い雷がソンノさんを襲ったのは。


「やっと城を抜け出せたから遊びに来たのに、タローに何してんのよあんた」

「あ?誰だお前は」


雷の直撃を受けたソンノさんは無傷。そんな彼女の前に、真紅に染まった髪をなびかせながら少女がふわりと降り立つ。


「よくもタローに傷を負わせたわね。絶対許さない。死んで詫びるがいい、人間」


ちょっと待て。

まさかのベルゼブブさん乱入!?

次回、怠惰の魔導王VS紅魔王の回

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