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レベル1の時点で異世界最強  作者: ろーたす
渦巻く陰謀、恋心
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第23話 王都アルテアにて

「ねえねえアレくん、あたしお腹空いちゃったな〜」

「さっきから何度そう言うんだお前は」


ここは王都アルテア。

俺・・・アレクシス・ハーネットは、現在煩い馬鹿女を連れていつものように賑わっている街中を歩いている最中だ。


「ていうか、なんであたしまで一緒に言いに行かなきゃいけないのさ」

「お前もケルベロスと交戦したからだ」

「タローくんとテミっちゃんだって戦ったじゃんか〜!」

「わざわざあの二人を王都に呼ぶ必要はないだろう。それに、報告するのは俺達だけで充分だ」


やがて、俺達は王国に存在する冒険者ギルドの王都本部へとたどり着いた。普段からここを利用しているので特に何も気にすることなく中へ入り、そして向かったのはギルド長室。


「む、待っていたぞ馬鹿夫婦」

「毎回それを最初に言うのをやめてくださいギルド長」


部屋の中に居たのは、眠そうに書類に目を通していた王都ギルド長ソンノ・ベルフェリオ。


初めて彼女を見た人は確実に子供だと勘違いしてしまうだろう。そのくらい低身長のギルド長だが、年齢は俺よりも上だ。


紫色の長髪はいつも通りボサボサで、服装もギルド長に相応しくないほど乱れている。


「くぁ・・・眠い。もう面倒だからここにある書類全部捨てていいか?」

「駄目です」

「あーくそ、ギルドマスターなんてやってやれるかっての」


もう知らねーと言いながら持っていた書類を雑に放り投げ、ギルド長が机に突っ伏す。


「んで、ラース周辺で起こってた異変の原因、又は元凶を突き止めたのか?」

「聞いてよソンノさん!その異変の元凶、これまで戦った相手の中でも別格だったんですよ!」

「別格だって?そんじゃあなんだ、自然現象とかじゃなかったのか?」


少しだけ興味が湧いたのか、ギルド長が顔を上げる。目の下のクマさえなければ可愛らしい子供にでも見えたのだろうな。


「神獣種が出現したんです」

「・・・あ?」

「あの山、ラースは魔犬ケルベロスが封印されていた場所。その山頂で、封印されていたはずのケルベロスが出現したんですよ」


それを聞き、ギルド長はニヤリと笑った。


「詳しく話を聞かせろ」












▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△













「なるほど。集まったメンバーでケルベロスと交戦し、撃退することができた・・・と」


興味深そうに話を聞きながら、ギルド長は指先を俺に向けてきた。


「嘘つくなよ、アレクシス。お前、ラスティ、テミスだけで神獣種を倒せるものか」

「いや、それは・・・」


ケルベロスを倒したのは、タローという次元の違う強さを誇る男だが、その情報が漏れれば恐らく彼は普通に暮らせなくなるだろう。


だから、俺はそれをギルド長にも言うわけにはいかない。あのテミスと神狼マーナガルムが心を開いた男の人生を滅茶苦茶にするわけにはいかないのだ。


「・・・まあいい。テミスに聞けば分かることだ」

「なっ!?」

「少しの間留守にする。アレクシス、お前はその辺に散らばってる書類を整理しておけ」

「ま、待ってくださ────」


転移魔法と呼ばれる魔法がある。

一度行ったことがある場所へ瞬時に移動することができる空間干渉系の上位魔法だ。


それを普通に使うことができるギルド長ソンノ。俺よりレベルは低いが、総合戦闘力ならば彼女の方が上。


面倒なことになるから言うなとギルド長に言われているので、そのことは俺とラスティ以外の人間は知らない。


そして、そのせいで俺が六芒星最強などと言われているが、《怠惰の魔導王(ベルフェゴール)》ソンノ・ベルフェリオこそが真の六芒星最強の実力者なのだ。


「あらら。タローくんとテミっちゃん、大丈夫かなぁ」

「大丈夫だと信じておこう」

「そんじゃああたし、お腹空いたから家に帰りますねっ!」

「待て。お前も書類整理を手伝え」

「うえぇ・・・?」











▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△












「た、タロー!早く何とかしてくれっ!」

「ちょっ、掴まれると動けない!」


どうも、佐藤太郎です。

現在リビングに出現したデカいクモを捕獲して外に逃がそうと思ってるんだけど、ムカデ・黒光りするG・クモが苦手なテミスが半泣きになりながら抱き着いてくるので動きづらい。


あー、後でまた恥ずかしがってしばらくまともに会話してくれなくなるんだろうなぁ。まあ、そんなテミスも可愛いんだけど。


「ご主人さま、マナがつかまえてあげよっか?」

「駄目だ!もしかしたら毒を持ってるかもしれない!マナが噛まれでもしたら、俺は床ごとこいつを叩き潰してしまうかもしれないんだ・・・!」

「そーなの?」


日本に居た頃はクモっていい奴だなと思ってたけど、この世界には魔物なんてのが存在する。


こいつがその一種だった場合、とんでもない毒を持ってる可能性もあるからな。


「あ、動き出した」

「もう無理だっ!!」

「へ───」


パニックに陥ったテミスがバランスを崩し、抱き着かれていた俺は彼女と同時に倒れ込んだ。その拍子に俺が彼女を床に押し付けているみたいな体勢になってしまい、すぐ目の前にあるテミスの顔がみるみるうちに赤く染まっていく。


「・・・なんだこの状況は」


やっべええええと思ってたら、急に向こうから声が聞こえたのでそっちに顔を向けると、眠そうに目を細めている小さい女の子が立っていた。


そんな不審者の可能性がある女の子の前では、クモを素手で捕獲して喜んでいるマナが。


あー、うん。

ほんと何なんだこの状況は。

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