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レベル1の時点で異世界最強  作者: ろーたす
渦巻く陰謀、恋心
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第21話 テミスの苦手なものとは

「はよー・・・」

「おはようタロー。丁度朝食を作り始めようと思っていたから、先に顔を洗ってくるといい」


異世界で迎える何度目か分からない朝。

まだスヤスヤ寝てたマナを起こさないように部屋から出た俺は、1階でエプロン姿のテミスにそう言われたのでとりあえず洗面所に向かった。


いやー、テミスのエプロン姿は何度見ても良いですなぁ。めちゃくちゃ似合ってるんだもの。


「ほんと、テミスに感謝だな」


こうして家に住まわせてくれて、しかも朝ご飯まで作ってくれて・・・。テミスは絶対いい奥さんになる。


顔を洗いながら、呑気にそんなことを考えていた時だった。


「きゃあっ!?」


そんなテミスの悲鳴が聞こえたのは。


「どうした!何かあったのか!?」

「う、うぅ・・・」


急いで台所に向かったら、テミスが床に座り込んでいた。いつもとは様子が違い、半泣きになりながら俺を見上げてくる。


それが可愛いと思ったのは内緒な。


「む、む・・・」

「む?」

「ムカデが・・・」


テミスが指さした方を見ると、デカいムカデみたいなやつがわしゃわしゃ動き回っていた。


「・・・虫が苦手なのか?」

「ぜ、全部ではないが、ムカデ・ゴキブリ・クモだけは絶対に無理なんだ・・・!」


どうしたものかと思った時、ムカデがテミスに向かって動き始めた。それに気付いたテミスが震えながら俺の足にしがみついてくる。くっそ可愛いんだけどどうしよう。


「よしよし、俺に任せなさい」


どうやらムカデはテミスを狙ってるみたいなので、置いてあった紙でムカデを捕まえ、袋の中に放り込む。


「テミス、もう大丈夫だぞ。紙に包んでこの袋の中に閉じ込めたから」

「無理無理!無理だ!き、きっとその袋を食い破ってくる!」

「はは、大丈夫だって」


テミスは虫嫌いかぁ。漫画とかに出てくるヒロインの中ではよくある設定だったけど、こうして実際に見ると頼られてるって感じがするし可愛すぎな。


「ううぅ〜〜〜!」

「ち、ちょっと、ほんとにもう大丈夫だから」


半泣き状態のテミスが離れてくれない。

いや、いいんですよ?なんつーか、ギャップを感じてすごいドキドキはしてる。


でもね、袋の中でムカデが動き回ってるから早いとこ何とかしたい。


「ん・・・?」


そんな時、突然向こうからマナが走ってきた。

しかしテミスは気付いていないようで、ぶるぶる震えている彼女の背後に立ったマナは、長い白髪をまるで井戸から出てくる誰かさんっぽく前に集め始める。


そして、表情は見えないけどテミスの肩を叩いた。


「えへへへー」

「っ〜〜〜〜〜〜!!!」


多分びっくりしたんだろう。

振り返って飛び上がったテミスはそのまま気絶した。













▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△











「なーる。テミスは虫と幽霊が無理なのかぁ」

「うぅ、恥ずかしい・・・」


あの後急いでテミスの寝室に運んだのだけれど、意外とすぐにテミスは目を覚ました。


そして気絶したことを思い出したのか、赤くなってる顔を隠すように布団で顔を覆う。


「そうだ!む、ムカデは!?ムカデはどこにやったんだ!?」

「熱湯をかけて駆除しといた」

「はぁ、良かった・・・」

「にしても、幽霊が苦手だなんて意外だったよ。さっきのはマナのイタズラだったけど、一人暮らししてた時は結構怖かったんじゃないのか?」

「普段は意識していないから大丈夫なんだが、怖い話を聞いた日の夜はちょっと・・・」


テミスがこんだけ怖がるってことは、一応この世界にも幽霊的なのは存在するんだな。


テレビとかは無いけど、多分小さい時に親から話を聞かされるんだろう。


「これから虫とかが出た時は俺に任せてくれ。幽霊が怖い時も・・・まあ、俺が近くにいるようにする」

「あ、ありがとう」


ほっとしたような表情を浮かべながら布団から顔を出すテミス。あー、こんなのを見てると守ってあげたくなるよなぁ。


「しかし、あんな姿を見られたというのは少しショックなんだが・・・」

「うーん、半泣きテミスも可愛かったぞ」

「な、何を言っているんだ」


もう落ち着いたのか、テミスが上体を起こす。


「無理しなくていいぞ?」

「ふふ、大丈夫だ。心配させてすまない」

「そっか。なら今日は俺が朝飯作るよ」

「え?」

「毎回テミスに作ってもらってちゃ申し訳ないしさ。たまには俺に任せときなさい」


俺がそう言うと、テミスはありがとうと言って微笑んだ。











▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼











「いや〜、今日もいい天気ですな」

「ですなー!」


昼過ぎ。

特に理由もなくマナを肩車しながら外を歩く。

今となってはすっかり見馴れた町並みだけど、こうしてると意外な発見があったりするもんなんだよなぁ。


「あ、きょーかいだよ!」

「教会だなぁ」


マナが指さした方向には、一度だけしか足を踏み入れたことがない教会が。


「ご主人さま、きょーかい行こっ!」

「いいよ。でも、暴れたりしちゃ駄目だぞ?」

「はーい」


可愛いマナが行きたいと言ったならどこにだって行ってやろう。俺は何の用もないけどそれなりに大きな教会の中へと足を踏み入れた。


「・・・ん?」


なんか向こうでシスターさんが何かしてる。

泣いてる子供の手を持ってるみたいだけど・・・なんかその手が光ってんな。


「よし、これでもう大丈夫ですよ」

「わあっ、ありがとう!」

「どういたしまして」


泣き止んだ子供がシスターさんに手を振りながら走ってくる。このままだとぶつかってしまうので横に避けたら、子供を追って顔をこっちに向けたシスターさんと目が合った。


「あ、ども」

「ふふ、こんにちは」


おおう、よく見たらシスターさんめっちゃ可愛いし。


「さっきのって何やってたの?なんか泣いてたちびっ子を泣き止ませたけど」

「〝回復魔法〟を使って傷を癒してあげてたんです」

「回復魔法・・・?」


それって、RPGではお馴染みの味方の体力を回復させたりする地味なようで絶対に欠かせないあの魔法か?


「それって教えて貰ったりできる?」


あ、なんか無意識にそんなことを言ってしまった。

でも、もし覚えれたら今後かなり役に立つと思う。テミス達が怪我しても、その場で傷を癒してやれるわけだし。


「私でよければ、是非」

「おお、ありがとう!」


シスターさんの手をとって礼を言う。

ステータスを見た時に魔力も9999以上だったし、頑張れば多分回復魔法の一つや二つ覚えられるはず。


魔法の使い方なんて全く分からんけど、とりあえず頑張ってみますかぁ。

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