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レベル1の時点で異世界最強  作者: ろーたす
1章 英雄の息子
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02.新たな環境

クレハとは学年が違うので一旦別れ、俺はこの前の全校集会で発表された教室に向かった。


【ⅡーA】


ここで間違いないだろう。俺が教室に入ると既に大半の生徒は席に座っており、全員の視線が一斉に向けられ一瞬焦る。


しかし顔には出さず、黒板に貼られた座席表を確認してから自分の席へ。


ラッキーなことに、俺の席は教室の一番端である窓際の一番後ろだった。ここならある程度何をしていてもバレないだろう。


「やあやあ、英雄の息子君。久々やなぁ」

「おっす。席順が適当で良かったよ」


椅子に座れば、隣の席に座る少女が笑顔で話しかけてきた。顔見知りなので特に緊張したりはせず、俺は少女に返事する。


「妹ちゃん、入学したんやろー?写真みせてもらったけどめっちゃ可愛かったし、早く会いたいわぁ」


東方地方出身であり、独特な話し方をするこの少女。


俺が一年の頃最初に知り合ってからずっと仲のいい、所謂親友のような存在。


リース・アリスロード。


黄緑色の髪をポニーテールにしており、元気で明るい性格なので友達が多い。


なのにやたらと俺に絡んでくるのは少々不思議だが、ある意味一番話しやすい友達なのでそれなりにありがたい。


「それにしても、また同じクラスになるとは思わんかったな。ウチ、こう見えて結構びっくりしてるで」

「ああ、そうだな。とりあえず、今学期もよろしくってことで」

「ってそうや。この前、マナ先輩が先生になったんやっけ?」

「むぐっ、そうなんだよなー」


今朝、猛スピードで家から飛び出していったマナ姉。その理由は、先生達が集まって行う職員会議に遅刻しそうになっていたからだ。


ああ見えてマナ姉、獣人だから多少は寿命とかが違うみたいだけど、現在人間年齢だと19歳らしい。


去年までこの学園に通っており、卒業と同時に先生になることが決まった。


それは何故か。


三年間、マナ姉はダントツで学園トップに君臨していた超天才学生だったのだ。


魔法の扱いで彼女に並ぶ者はおらず、それどころか運動神経も抜群。テストは常にオール満点で、毎年行われる魔法学園美少女コンテストでは三年連続優勝。


つまり、普段の姿からは想像できないほどの完璧超人天才少女であり、学園のほうから是非先生になってくれと何度もお願いされたという。


「頭は良くても基本馬鹿だから。かなり天然だし、クレハと一緒で心配だ」

「あははっ、優しいなぁ」


と、リースが笑っている最中に教室の扉が開いた。まだ来ていない生徒がいたのかと思って前に目を向けると────


「え、えっと、おはようございます!」

「はあっ!?」


思わず叫んでしまった。


俺の声を聞き、入ってきた人物は一度こちらを向いて、笑顔で手を振ってからクラス全体を見渡す。


「うん、皆来てるね。緊張するけど頑張らなくちゃ········」


授業中の居眠り、教科書を読んでいると見せかけて別の本を読む、サボる、早弁etc..。


俺が今年も行おうとしていた数々の行為が、今現れた人物によって全て阻止されるというのは考えなくても分かることだ。


「今年からこの学園の先生になりました、マナ・シルヴァです。この前まで生徒だったから先生としてはまだまだ未熟だけど、よろしくね。あ、担任だよ!」


次の瞬間、教室が湧いた。


当然というべきか、騒いでるのは男子共だ。あれほどの美少女が一年間担任の先生になったんだから。


「うっわ〜、やっぱり可愛い人やなぁ」

「俺の自由な学園生活が早くも終了した········」


今日は授業が無いから自己紹介とかを済ませたらすぐ帰れるけど、明日からどうやって過ごすかを今日中にしっかり考えなくては。












◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










「兄さん、今日は沢山お手紙を貰いました。魔法学園では新入生にお手紙を渡すのですか?」

「チッ、早速クズ共が動き出したか!」


まだ読んでいないという大量の手紙全てを確認する。やはり、中身はクレハに愛を伝えるラブレターだった。


数十人に告白されたことに気づいていないクレハ。よし、この手紙は全て俺が預かっておこう。


「思った通り、やっぱりクレハちゃんはモテモテだね。おっぱいが大きいとモテるのかなぁ」


などとマナ姉は言っているが、学生の頃はこの人も信じられない数の男子から告白されていた。


卒業式の日なんか、学年の大半の男子から告白されたという伝説まで残していったほどだ。


つまり、胸の大きさなど関係ない。


思わず守ってあげたくなるようなマナ姉の容姿は、どんな男でも必ずときめかせてしまうのである。


「というかユウ君、授業中寝たりしないでね?せっかく頑張って魔法学とか教えるんだから」

「正直教えてもらっても意味がないんだよなぁ。俺が使う武器、これからもこいつだしな」


じとーっと見つめてくるマナ姉に、俺はベッドの上に置いていた剣を手に取り見せる。


「東方地方で使われている、凄まじい切れ味を誇る俺の〝愛刀〟だ」

「う、うん、それは知ってるけど········」


剣や槍、鎌や槌など様々な種類がある武器。それらに自身の魔力を纏わせ斬撃を飛ばしたり衝撃波を発生させたりする行為も、一応世間では魔法と呼ばれている。


俺の母は〝剣聖〟と呼ばれる地上最強の剣士なので、弟子として母に色々教わりながら、俺も剣聖の称号を得るため頑張っているんだが。


まあ、現実はそんなに甘くはない。


常にクレハやマナ姉と比べられ、落ちこぼれだ何だと言われ続けて早数年。


今ではそれにすっかり慣れてしまい、何を言われても特に気にすることは無くなった。


別に俺は、炎や水の魔法などを使えなくても、剣聖の弟子というだけで充分誇らしいのだ。


「ユウ君が学園に通えているのは、お父さんとお母さんがお金を払ってくれてるからだよ?恩返しのつもりでしっかり勉強しなきゃね」

「うっ、分かってるよ········」


マナ姉のこういう所はお姉ちゃんっぽいなといつも思う。子供っぽいけど意外としっかりしているので、口にはしないが俺は割とマナ姉を尊敬している。


というか、この若さで先生になったりオリジナルの魔法を開発したりする別格の存在だ。誰でも尊敬するだろうな。


「あー、でも面倒だな。明日は休もうかな·········」

「だ、駄目だってば!明日は基礎魔法学から教えていくから、絶対出席すること!」

「クレハー、助けて」

「姉さん、兄さんを困らせないでください」

「えっ、クレハちゃんユウ君の味方なの!?」


何やら味方してくれるらしいクレハとマナ姉の言い合いが始まったが、内容は可愛らしいものなので置いておく。


とにかく、明日から本格的に授業が始まる。


あのクラスで仲のいい友達は今のところリースだけなので、とりあえず皆と仲良くなれるように頑張るとしよう。

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