表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【詩集】手になじむ詩

綺麗な貝がら みんな何とかして生きている

作者: につき

綺麗な貝がら


貝がらを拾い集めて

綺麗なものだけを

選ぶように

捨ててしまった

ありふれた言葉

あるいは

手から零れていく

俗で在る故に

生きている言葉


だからわたしは

いつまでも

歯を食いしばることは

出来なくて

嵐に投げ出された

風船のような

頼りなさで


それでも

まだ終わりたくないと

濡れたアスファルトを

踏んでいる



みんな何とかして生きている


群衆の中の

一人だけの白のような

暗い森の中の

独り言もない石のような

豪雨の中の

光り輝く雷のような

勇気を

水切り石にして

流れる大きな川へと投げる

何度も何度も弾けている


誰にも触れさせない

俊敏な猫のような

空へ一筋に伸びる

若葉のような

嘴よりも鋭く光る

猛禽類の瞳のような

誇りを

黒い雨傘にして

巨大な滝の下へと差す

何度も何度も耐えている


遠い星の最初の光たちを

濃い緑色の瓶に集めたような

海の始まりの記憶を

ちいさな桜貝に閉じ込めたような

わたしたちの先祖たちの声を

わたしたちの中に求めるような

眠りを

ランプの灯として

暗やみの洞窟を歩いている

先を知らず歩いている

お読み頂いてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] わたしもまた何とか生きているもののひとりです。やはりまだ終わりたくないと濡れたアスファルトを踏みしめながら。何をあきらめられないのかもわからないままに、いまだに手を伸ばし続けている、それが生…
[一言] 「みんな何とかして生きている」最後の部分で、眠りをランプの灯りにする、という表現が出てきて、安らぎとほのかな胸の高鳴りを感じました。 眠りはただの眠りではなく、新しい世界が始まる合図なのかも…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ