14. いかがわしい一人遊び
ベッドの上、大きな枕を抱きながら、愛想美は横になる。
少し考えて、そっと起き、音がしないように静かにドアの鍵を開け、ベッドに戻って再び横になる。
そのドアを見つめながら、
「別にあたしはかまわないんだぞ、星多」
と呟いて、目を閉じる。
もちろん、ドアが開くことはない。
さっき廊下で四人で話した時、星多はほとんど愛想美に視線を向けなかった。
ずっと凛々花の姿を目で追っていた。
凛々花先輩が八割で、ツナが二割、あたしを見ている時間は測定不能。
星多、ほんとにあたしのことをなんとも思ってないんだろうな。
「ま、別にいいけど。あいつが誰を好きだろうと、あたしには、関係ない」
枕に顔を埋める。
「関係、ない……」
改めて言葉に出すと、胸のあたりがつっかえて息苦しくなる。
「あたしは関係ないとこにいるのかなあ。そんなの、やだな……」
壁一枚隔ててそこには星多がいる。
今は何をしているだろうか。寝てる? それとも、いかがわしい一人遊びでもしてる?
あはは。あいつ、むっつりだからな、けっこうありえるかも。
そうだとしたら、きっと凛々花先輩のことでも想像してるのかなあ。
ツナのでっかいおっぱいもチラチラ見てたから、そっちかも。
やだなあ、ほんと、やだ。
どうせ、この世にあたしみたいなチビでぺったんこが好きな男なんて存在しないんだ。
っていうか、あたし何考えてるんだろ、ほんと馬鹿だよね。
「眠れない……もう一回、お風呂にでも入ろう」
愛想美はクローゼットからタオルを取り出すとふらふらと浴室へ向かった。