12月
「じゃじゃーん。僕の日記でーっす」
「いくつか質問したいのですがまず一つ。このタイトルは何ですか」
「あ、後輩ちゃん日記?センス良いでしょー。気に入ってるんだよね。さすが、僕と後輩ちゃんの決勝」
「…………はあ」
「いったあああああああああ!??????ど、どうして急に鈍器を振り回しているの!?っていうか、そのバットは何処から取り出したの!?」
「先輩が変な行為をすると踏んで、常に部室に装備してあります」
「うううっ。僕の大事な顔がボコボコに腫れてるじゃないか……」
「大丈夫です。二週間後には元に戻ってますよ」
「あ、そもそも僕らは顔出ししてないから、腫れても膿んでもどうってことないね。残念だなー、皆様にこのイケメンフェイスをお見せできないなんて」
「戯言を吐く余裕があるのなら死んでください。なくても死んでください」
「デッドオアデッド!!?アライブさせてよ!!アライブを!!」
「私は位が高くないので、そんな事は出来ません……」
「ここは照れる所じゃないと思うんだけどなあ!!」
「とにかく、死んでください。そして、この日記を処分しなさい」
「無理。それは、僕と後輩ちゃんの思い出だよ。消せないよ」
「思い出は記憶に残ってるでしょう。それとも、先輩ごと消して欲しいのですか?」
「後輩ちゃんなら出来そうでコワイ」
「なら後輩ちゃんにあげるよ、それ。捨てるなら後輩ちゃんがやって。僕にはそれをこの世から消すなんて惨いことは出来ない」
「……私なら捨てれないと思っているのですか?」
「うん、後輩ちゃんはなんだかんだ、僕が大好きだからね」
「仮に私が捨てなかったとしても、私の両親に見つかれば、この世から消されるのは先輩ですよ。そのリスクを背負えるんですか?」
「うん。後輩ちゃんのためなら、死ねる」
「安い命ですねー……仕方がないですね。もらいますよ」
「うわぁ!やったー!」
「ただ、普通の日記なのに六法全書並みに重いのには腹が立ちますけど」
「僕の愛情です」
「あああああ、今すぐ燃やしたいです……」
「燃やさないで!?落ち着いて!!落ち着いて!!」
「ふー……では、重くて帰るのが遅くなりそうなので、ここらで」
「ん。またねー」




