2月
「先輩、どういうことですか?」
「えっ?どうしたの、後輩ちゃん急に……今日部活あるなんて言ってないけど?」
「そうです、言われてませんよ」
「え、っと、後輩ちゃんが昼休みに僕の教室に来るなんて珍しいね。って言うか初めてだよね」
「ですので、早く教室から出てください。変な目で見られます」
「あ、はい」
「……やっぱり、私、あの日やらかしましたよね」
「あの日?」
「大晦日です。甘酒呑んだじゃないですか」
「ああ、まあ、ねぇ」
「それで、やらかしたから活動しなくなったんでしょう?」
「へ?いや、まあ後輩ちゃんとあの日は関係あるけど、あれで後輩ちゃんを嫌になって活動しなくなったとかそんなんじゃないから」
「ほ、んとう、ですか?」
「うん。あの日、後輩ちゃんが僕に言った記憶ある?」
「甘酒呑んだら責任取る辺りでぶっつり切れてます。再開したのは、翌日の午前2時に母親に叩き起こされてからです」
「あの日ね、後輩ちゃんにテストで100点取る約束したのさ」
「それは、合計点数の話ですか……?いくらなんでもハードルが低すぎるかと……」
「違うよ!?いくらなんでも、9教科で合計100点って、僕屑人間じゃん!留年しておいてさ!そうじゃなくて、どれかの教科でさ!」
「え、先輩が、ですか?」
「うん。約束したからね。ご褒美として後輩ちゃんからちゅーしてもらう約束もしたしね」
「流石にいくら酔ってても私はそんな軽い発言はしません。嘘ですね」
「バレマシター。うん、嘘。だけど、同好会も休止する位勉強に力入れてるのは本当だよ」
「変に決めなければ今の台詞で胸をトキめかせてあげても良かったんですけどね。無駄にターン&ウインクを挟んでくるので感動とか消えました」
「あーっ!!!勿体無いことをした!!」
「嘘ですよ。少し、トキめかせてあげます」
「トキメキとかって後輩ちゃんの許可を取る式なんだね。初めてだよ」
「先輩がいつになく本気になるからです。本気姿の先輩は格好良くないこともありません」
「でへへ~~」
「人が珍しく褒めてるんですからシャキッとしてください。だらしない」
「だってさぁ、思い返せば当初同好会を嫌がってた後輩ちゃんが一ヶ月活動がなかっただけで血相変えて僕の教室まで来てくれたんだよ?スゴい進歩じゃない?」
「そっ、それは、ただ先輩を心配しただけです」
「心配だって~嬉しいな~。踏まれて骨を折られたあの日が懐かしいよ」
「いつですか」
「後輩ちゃん日記に書いてあるから今度見せるね」
「なんてこの世の将来にとって何の意味を持たない日記を書いてるんですか。気持ち悪いです。見せられた瞬間に先輩ごと着火します」
「大体の人の日記が意味ないと思うよ。しいて言うなら、冤罪を掛けられた人の日記位かな。自分のアリバイとか動機とかを証明出来るし。って、僕を燃やさないで!?」
「キャンプファイアーの如く先輩を囲んでマイムマイムを踊ってますから、心配しないでください」
「え、踊る後輩ちゃんとかレアじゃん。監視カメラ付けとくね」
「燃え盛る人の前で踊る後輩ちゃんを心配するよ、とか言いましょうよ。相変わらず想像を越えますね。燃えたら監視カメラの映像なんて確認出来ませんよ?」
「知らない人に憑依して見る」
「執念ですね。怖いです」
「因みに、後輩ちゃん日記を全部合わせるとライトノベル4冊分になります」
「中途半端な例えでどれ位凄いのか伝わってきません」
「ニュアンスで僕の愛を受け取って」
「曖昧な告白ありがとうございましたー。またのお越しは二度とお待ちしておりませんので、そのまま自害することをお勧め致します」
「丁寧だけど、ありがとうって感謝されてる気がしないよ!?」
「気のせいです」
「そういや、大分話戻るけど。後輩ちゃんって何処の生まれ?」
「……生まれは北海道ですが、父親の都合上様々な県に移り住んできました。それが何か」
「やっぱり。今度、甘酒呑んだ時に監視カメラ付けてみるから後輩ちゃん確認すると良いよ」
「えっ?何で、ですか?」
「言わなーい。あっ、もうそろ昼休みおわるよー。良いの~?」
「ちっ、屈辱的ですが帰りますよ」
「舌打ちした!?したよね?まったねー!」




