１２月
「ああーはーやく、こーいこーい。おしょぉーがーつー」
「クリスマスも終わってないのに、もう正月気分ですか」
「クリスマスには夢を持たないことにしたのさ」
「それは小学生以下に放送禁止用語の前触れですか」
「ん？なにそれ」
「この小説を読んでいる小学生以下の方。もしくは、精神年齢小学生以下のサンタを信じている方は、今すぐブラウザバックをお願いします」
「え？ブラウザバック？後輩ちゃん？どうしたの？急に、天井に向かって話し出したりして……」
「先輩が変なことを言って夢を壊した！なんて訴えられても困りますからね、予防です」
「まあ、分からないけど。話しても大丈夫？」
「どうぞ」
「いやー、僕の家のサンタクロースが事故死したらしくてさ、今年からクリスマスプレゼントがこないんだよね」
「……予想を越えてきましたね」
「ん？予想？今日の後輩ちゃん、なんか変だよ？」
「ああ、もう。では、言いますけど。先輩がサンタクロースとは親で、プレゼントは親が買った物ということを先輩が言うと思ったので、私はこの小説の存続の為にも一人頑張ってたんですよ。それなのに、何ですか？死んだ？知りませんよ」
「ええーーーー！！！？？？？？？」
「うるさいです。死んでください」
「さ、さ、サンタさんって……親だったのー！？？」
「そう言えば、先輩はサンタが死んだという嘘も信じる精神年齢小学生以下の方でしたね。まあ、先輩の夢の一つや二つ位壊れても何も影響しませんか」
「じゃあ、僕らの子供のサンタは僕と後輩ちゃんの二人ってことになるのか。なるほど」
「なりませんよ、止めてください。勝手に人を結婚させないでください。自慢じゃないですが、私の家柄は結構良いんですよ？」
「そんな……貧乏人とは結婚出来ないってか？いや待て。お金持ちのお嬢様と下町の貧乏な商人の、許されぬ恋路……良い響きじゃない？」
「先輩は只、許されぬ恋路という言葉が好きなだけですよね」
「よく分かったね。後輩くん」
「急に私の性別が変わったのですが、それは私に親しみを込めて使ったのですか？それとも、私を下と勘違いして使ったのですか？それとも、私が男だと思って使ったのですか？それとも、常識がないのですか？」
「そ、そんな急に言われても……ただ間違えただけなんだけど……」
「私、そうやって自分の身分を考えない人嫌いなんですよ。格上の身分の人を君付けて呼ぶ人は最低です」
「あれ。立場的に僕は先輩で慕われる側だと……」
「先輩が誰しも慕われると思っていたのですか。阿呆ですね。因みに私の友人は茶道部の副部長を努めていましたが、努力が空回りして後輩に嘗められ胃に穴を開けて血を吐きました」
「その子がたまたまなだけで、僕は慕われてるよ！？……ね？」
「……え？」
「ナニその間と、怪訝な表情！おかしいよ！？慕って！お願い！」
「慕う慕わないは、その本人の人間性によって変わりますから残念ですがお願いされても無理です」
「ばっさり！夢を見させて！」
「不可能です。どう仕様もありません」
「じゃ、じゃあ！僕がこのままの顔でイケメンな態度で、格好いい言葉使いで、通り行く女子皆を腰砕けに出来る男だったらどうするのさ！」
「どうするもこうするも、手当たり次第に腰砕けにするなんて、そいつは通り魔よりも怖い犯罪者ですよ」
「た、確かにね……ソイツは怖いや」
「ですよね」
「じゃあ、僕はこのままで皆に愛される存在ということだ」
「ポジティブですね。お疲れ様です」
「うぃーっす。って、何が！？」
「何となく言ってみました。他意はありません」
「そ、そう……どぎまぎしちゃうなぁ」
「はあ。定時ですので帰ります」
「まったねー！！」
