10月
「今は何月だ!?」
「外の気温は寒くなり始めたはずなのに、約1名は暑苦しいのでよく分かりません」
「ふっふっふ。10月だよぉ!」
「知ってます。近づくな」
「そんなつれないこと言わないの。10月と言えば、秋!」
「…はあ。もう少しで雪が降りますけどね」
「秋と言えばぁ?」
「……」
「っだ!?何で今、ビンタしたの!?」
「…?イラついたからに決まってるじゃないですか」
「ほ、ほう…なるほど。愛の鞭だね」
「何も分かってませんよ。はい、秋と言えば何ですか?」
「よく分かったね!秋と言えば読書だよ!」
「何も言ってませんが2度目の活動は読書になるということですね。なら、簡単そうですね」
「僕がそんな簡単なのをすると思うんじゃない。今回の活動内容は読書感想文を書く!だ」
「もはや、会話とか関係ないですよね」
「その読書感想文を書いたら各自発表するのさ!これなら会話になるだろう」
「発表と言ってる時点でそれは会話じゃないです」
「うぁー。揚げ足取るんじゃない」
「で、何の本を読むのですか」
「無視は止めてくれるかなー?僕が用意してきたのを読もうと思っているんだけど、どれが良い?」
「えー。タイトルからして危険な臭いがします」
「ん、どれが?」
「<完全犯罪実録>とか<母との秘め事>とか<ゾンビの作り方>とか…こんなタイトルの本を私が読みたいと思ったのですか?」
「うん」
「これらは読みたくないんですけど他に本はありますか」
「んー。他のジャンルはちょっと、見せられ…ないかな?」
「何故顔を赤くしているんですか。どんなジャンルのものを持ってきているんです?照れるようなものですか?」
「それを、僕が言うのはちょっと…」
「そんな恥ずかしがられると内容が気になるんですけどタイトルだけでも教えてくれませんか」
「…聞く?」
「聞いてみます」
「…わんにゃん大戦争」
「……」
「あー、恥ずかしい!!」
「くねくねしながら照れないで下さい。気持ち悪いです。それとわんにゃん大戦争のどこに羞恥心を抱くのか一ミリも理解出来ません」
「え、恥ずかしくないの!?」
「むしろ先程見せられた本の方が恥ずかしいと気がついて下さい」
「こ、後輩ちゃんはちょっとずれた人なんだね。いや、僕は人格を否定しないから後輩ちゃんはそのままで良いよ!」
「失礼ですね。その言葉そのまま先輩にお返しします」
「え…」
「何故固まるのですか。気色悪い」
「もう一回言って」
「先輩にはそんな性癖があるのですね。気色悪い。そんな先輩なんて死ねば良いのです」
「ひゃあっふうぅぅぅーーっい!」
「い、いきなり抱きつかないで下さい。先輩の悪臭が移ります」
「後輩ちゃんは可愛いなぁ!何だかんだ、僕のことを罵りながらも『先輩』って呼んでくれるなんて…僕、嬉しいよ!」
「先輩としか呼びようがないじゃないですか。そんなに喜ぶのなら『ゴミ』、『クズ』とでも呼んであげます」
「…ありがとう」
「私は罵ったはずですが何故凄く喜んでいるのですか。なら、そんな呼び方しませんよ」
「うぅー。残念だけど呼んでくれる後輩ちゃんはやっぱりk…あふぅっ!!?」
「ふう。大きな毒虫を駆除しました」
「ぐ、ふぅっ…まさかその可憐な右足が僕の股間を強打するためにあるとは知らなかったよ…ぐ、ぐぐ…」
「そのためではありません。しかも、金的をされたのなら大人しく黙って下さい。ニヤニヤしないで下さい」
「人格を破壊されるほどの痛みを後輩ちゃんが…はぁはぁ、ぐへっ」
「このまま先輩は活動出来るとは思えないのでお先に失礼します」
「僕を踏む必要はあったのだろうか…でも、嬉しいから良いや。それじゃ、またねー」