12月
「流石、師走ですね。忙しく日常が過ぎていきます」
「しわす?しらすの間違い?」
「阿呆ですね。師走は12月ですよ。睦月、如月、弥生……って呼び方、当然先輩は知らないですよね」
「しっ、知ってるよー」
「では、どうぞ」
「ちょうげつ、ようげつ、りくげつ、よー」
「ラップ調にしても間違えは間違えです。大体、読み方が違います。ちょうげつではなく、ながつきです」
「そんな些細なこと分からないよー。ドラえもんとドラエもん位気づきにくいミスだよ」
「会話の上では理解出来ないボケを入れるのは止めてください。あと、私の中で、ドラえもんに関しては些細な事と捉えれる程甘い認識ではないです」
「確かにね。って、ドラえもんにどんな壮絶な過去が!?」
「どう仕様もない屑であるのび太を見放さず、側にいて力を貸すドラえもんの姿は私の目指すべき理想像なのです」
「あれ?何で?」
「ご自分で分からないですか?のび太と先輩は屑加減がよく似ていることを」
「ああなるほど。僕がのび太のように屑人間だから、後輩ちゃんは、屑なのび太の世話を甲斐甲斐しくするドラえもんのようになりたいんだね」
「おめでとうございます。満点です」
「やったー……って、ちょっと意味が分からないよ!!!?」
「はい、どうしたんですか?」
「僕とのび太が似ている!?え!?僕はのび太のようにドラえもんを呼んだことなんてないよ!?」
「そこ以外はのび太です。運動神経も悪く、テストで零点取り、妙に手先は器用で、友達が少ない……ほら、のび太と先輩は似てますよね?」
「ぼ、僕は……のび太と違ってしずかちゃんのような彼女がいないもん……」
「可哀想ですね。安心してください、しずかちゃんもドラえもん同様ただのボランティアです」
「のび太の周り、他人ばかりだね!?」
「ここでリアルの世界に戻ると、先輩の周りには他人ばかりですか?」
「あ、後輩ちゃんという名の恋人がいた」
「死んでください」
「くそう!僕の人生は何てツイてないんだ!」
「今更です。先輩は先輩として生まれた以上、罪を背負っているのですからツイている筈がないです」
「あ、後輩ちゃんという名の恋人がいた。ツイてるね☆」
「死んでください」
「後輩ちゃんがおねだりするなら死んでも良い☆」
「痛いです。最近ホシ記号乱用し過ぎではないですか?見てて痛いです」
「僕も個人的には☆とか♥とかが入ってる小説とか読む気にもなれない位嫌いなんだけど、なんか、ノリで使っちゃった」
「そこで使う気持ちは分かりませんが、嫌う気持ちは分かります。確かに私も横文字小説に多用される音符記号とかは、出てきた瞬間に読む気が失せます」
「そうそう。なんか、萎えるのね。そういう軽い表現が入ると」
「あと、妙にネット用語を多用するのも好みません。好きなのは好きなんですよ。適時適度に使う方のは読めます」
「wwwwww とか(*≧∀≦*)<ヤバッとか、もう意味が分からない。いや、理解は出来るよ。でも、それらを使う意義が分からない」
「やっぱり、私はそこそこに堅苦しい本が好きみたいです」
「僕は、とにかくエロくて気の狂ったエロい幼女が一人でも登場するなら、どんな物語でも良いや」
「大抵の本が無理ですね。あと、どれだけエロを推してるんですか。一部のコーナーに限られてきますよ」
「出来れば僕の誕生日はそんな感じのエロい本が欲しいです。後輩ちゃんが一人で顔を赤らめながら「ど、どうしよう。こんなえっちな本を店員さんに渡せないっ!」とか恥ずかしがって、中々買えなくてエロ本コーナーをうろうろするのを心から切望します」
「こんなにも屑な長文は初めてです」
「そういう時は「わ、私ハジメテだから優しく教えてください……」と上目使いで聞くんだよ?」
「…………」
「あれぇ!?後輩ちゃんが溝虫でも見るかのような目で僕を蔑んだ後、無言で部室を出ていったぞぉ!?」
「丁寧な状況説明ありがとうございます。定時ですので帰ります」
「どーいたしまして!まったねー!」




