11月
「あ、こんにちは。……先輩、どうしたんですか?二ヶ月程見ない間に筋骨隆々のイケメンになってるじゃないですか!!!きゃぁあっ!!……ごぶぉぁべぇへっ!!!?????」
「ちょっとそこ、二ヶ月ぶりだからって私を詐称しないでください。殺しますよ」
「前までは訴えますよ。だったのに、今や殺しますよ。だもんな……後輩ちゃんが成長していって僕は嬉しいよ」
「この変化を成長と呼ぶのは先輩位のものですよ」
「てか、初っぱな早々の後輩ちゃんのローキックが地味に肋に入って死ぬ程痛いんだけど、どうすれば良い?」
「死ねば痛みもなくなります」
「そっかぁ!なるほど!」
「ですが、私の近くで死なないでください」
「え、それって……僕が死ぬと泣いちゃうから?それなら早く言ってよね!もう!!」
「違います。私に容疑をかけられるのが面倒だからです。ついでに、私のアリバイが鉄則の時に死んでください。人に迷惑かけずに死んでください」
「こんなにも死ねと言われたのはハ・ジ・メ・テ☆」
「それ、クラスメートの女子がやってましたが、影で男子にボロクソ言われてましたよね。何故それをわざわざ私にしましたか?」
「なんとなく」
「でしょうね」
「で、後輩ちゃんに前回の部活で渡された宿題を答えてきたんだ!!この紙に書いてあるから読んでよ!」
「一、二週間部活が休みになるかと思ってはいましたが、まさか二ヶ月経っても答えが出ないとは考えてもいませんでした。それでは、確認します」
「どう?」
「…………」
「ねえ、どう、どう?」
「どうもこうもありますかね?この文章、何を思って書いたんですか?私はYou are funny boy.と言ったのですが、この紙に書かれているのは全く違うのは、私に喧嘩を売っているんですか?」
「ええ!?違うよ!!よーく見て!最初に和訳してるよ!そこから、和訳に対する僕の想いを書き連ねていっただけで!!」
「どこをどう聞き間違えれば、I love you.になるんですか。それに対する答えがMee to.って、伝えたいことは分かりますがつづりを間違えています。正しくはMe too.ですが心底気持ち悪いです」
「僕も愛しているよ、ってことを伝えたいだけだったのにそれすらダメだったの!?」
「当たり前です。書き直しにすると面倒ですから止めてあげますが、先輩は自分の英語が酷いことを自覚してください」
「そぉりー」
「日本語で言えばつづりのミスがバレないと思ったんですね。幼稚な発音ありがとうございました」
「そ、そういう後輩ちゃんの英語はどうなのさー!」
「I hate you.」
「流暢!!って……ヘイトって嫌いって意味だよね?さすがの僕でも理解できるよ!?」
「Shut up loser.」
「分からない!分からないけど罵倒されてる!?」
「意味は分からなくて良いですよ。それともまだ続けたいですか?」
「い、いや……これ以上やったら僕の頭が英語の世界になっちゃうから止めとくよ」
「むしろ嬉しいことだと思いますけどね。それでは、部活は終わりということですね。失礼します」
「う、うん……って!!また、騙されたぁぁあ!!またね!!!」




