7月
「何でこんな状況になってるんだろー…」
「原因は100%以上先輩にあるというのにこの現状を理解出来ないのですか」
「えー、だって後輩ちゃんのお腹を触っただけだよ?それなのに顔が変形するほど殴られた挙げ句30分以上の正座は有り得ないよ」
「有り得ないのは先輩の頭です。大体、セクハラで訴えてないだけマシだと思って下さい」
「セクハラっていうのは相手の意思に反して不快や不安な状態に追いこませる様な性的な言葉や行為のことをなんだよ?僕は性的なことをしてないよ」
「先輩は変なところだけ知識がありますが、私に不快な思いを与えていることには気がつかないのですね」
「僕は最高に良かったよ」
「何の話をしているのですか。会話しているんですよ?」
「おー、これでこそ会話同好会」
「知りませんよ。もしもこれが活動内容として正しいのでしたら私は即刻退部届けを出します」
「後輩ちゃんって眼鏡でガリ勉で見た目もスリムでしょ?だから、すっごい細くて骨が当たると思ったんだよね。だけど触ってみたらほよんってしてて僕好みだった」
「それは…女の子に対する侮辱ですし、先輩好みのお腹になれたからって一ミリも嬉しくありません」
「なんだと!?後輩ちゃんには最高のぽよ腹が理解出来ないのか!」
「理解したくも聞きたくもありません」
「これは僕なりの考察だけどきっと全国の人が思っているはずだから。女の子は多少太ってる方が可愛いって!てか、むしろ肉付きいい子はウェルカム!」
「…そのテンションはなんですか」
「分からないの?まあ、良いよ。取り合えず後輩ちゃんに言いたいのはね、絶対に痩せないでってこと。それ以上痩せたら骨になっちゃうよ。だから、太って欲しい」
「無理です」
「ええ!?」
「それは押しつけです。私が生活動作をよりよく出来るスタイルを維持するのを勝手にどうこう言われたくありません」
「く、くく…一理ある…」
「しかし先輩の考えには賛成です。私もガリガリの女の子はどうも神経質な方に見えてしまってアレなのです。だから、少し分かるかもしれません」
「おふ。後輩ちゃんがデレた」
「な、なんですか。いきなり。顔を赤くしないで下さい。別にそういう意味で言ったのではありませんから」
「くっそ、可愛いー!!」
「……ふっ」
「かはっ!!?」
「セクハラとは何かを話し合った直後に抱きつこうとする精神は理解しかねます」
「だからと言って腹パンはないよね!」
「だって、先輩は私に殴られるのを不快には思ってないですよね。だから、現に眉をしかめながらも笑顔を保っています」
「う、くぅ…言われてみれば。僕は後輩ちゃんを感じられれば全て嬉しい…な、なんてことだ!」
「定時なので帰ります」
「そ、そうか。僕は後輩ちゃんに与えられる暴力も蔑みの言葉も何もかも快感に変わるから、後輩ちゃんからセクハラされることは一生ないのか!くそう。一度で良いからセクハラされてみたかったのに…そうだ!後輩ちゃん。今からセクハラ上司とOLゴッコしない?僕がOLで後輩ちゃんがセクハラ上司で…って、後輩ちゃんがいない!!?い、いつの間に…まったねー!!」




