後輩ちゃん日記
いやー。やっぱり後輩ちゃんは今日も可愛いなぁってことを毎日綴る日記兼、監視ノート。
一頁
今日、廊下でメガネで黒髪美女とすれ違った。多分その子は僕の後輩だと思う。なんか、新一年生、みたいな雰囲気を感じたから。
分からないけど、その子に話してみたくなった。真面目そうな変化しない顔を僕という存在全てで歪ませたいとか、そんなヤンデレっぽい理由じゃなくて。勘……って言うの?
うーん。これは日記だから返事してくれる人がいないから、結構寂しいな。まあ、そんな感じ。
取り合えず、あの美女と話をしたい。
そう思った。
二頁
有言実行って調べたら僕のことが出てくると思う。だってさ。今日の僕は凄かったんだよ!誰か見る訳でもないのに僕はハイテンションだけど気にしないでね!?
あの美女のクラスを知ることが出来たんだ!偶々あの子を下駄箱の前で見つけてつけたら、その子が入った教室を見たんだよ。
当然の事だけど僕にとっては重要なんだ。恋とか、恋愛とか、好きとかそんな甘い感情じゃないけど。何故か彼女が気になる。
皆だってそういう気持ちない?……って聞きたいところだけどそういう話題を出せる同級生がいないのが残念だ。
三頁
どうでもいい奴とならその場の雰囲気に合わせて話すことはいくらでも出来るのに。本当に、本当に仲良くなりたい人は話しかけることすら出来ない。
短い人生の中で僕という人格は嫌と言うほど知っていたつもりだけど、こんなにもチキンだったとは知らなかった。
頑張れよ、僕!でも、あの子に嫌われたらどうしようって考えただけで足がすくむんだよ!しかも僕は彼女の一つ上で、彼女にとっては先輩にあたる訳で。
絶対に心を開いてくれる訳がないんだよー……あー、何で早く生まれたんだろう。もう少し母親のお腹の中で眠ってれば良かった。
四頁
取り合えず、髪を染めてみた。別に目立ちたいとかそんな軽い理由じゃなくて、あの子の視界に入る回数を増やしたかったからで。
あの人、変。って思われても良いから僕のことを見て欲しい。幸いクラスメートは僕の表面上の性格を知っているから、黄色くなった髪にたいして触れなかった。
だって僕が触れて欲しいのはあの子だけだし。それ以外の人に褒められても嬉しくないし。うーん、僕は頭が悪いからよく分からないけど、どうやったらあの子は僕に興味を向けてくれるんだろう。
やっぱり、行動あるのみ?
五頁
『あの子と話したい』
これを目的に考えていくと良い方法が見つかった。会話したいんなら会話部を作っちゃえば良いんだ。こんな素晴らしい案を思い付くなんて、僕は凄く頭が良い。
そうすると、問題点。どうやって部活に入れよう。
僕があの子と話したくってうんうん唸ってる内に月日は通りすぎて、新入生を奪い合った部活達はとっくのとうにその戦を終わらせていた。あれ、僕って文才があるんじゃないか?
こんなにも長い言葉を書けるんだから……って、そんなこと書いてる場合じゃなかった。つまり今新しく部活を作るのは不審なんだよ。だけど話したいしー……まあ、良いか。
何とかなるよね。頑張れば。
六頁
あれ、あの女の子のことを可愛いってつづるための日記だよね?今んところストーカー日記にしかなってないけど、良いよね。誰か見る訳じゃないし、僕の自己満足だし。
取り合えず進展して彼女のことを書きたいんだけどー。誰よりもそんな願望はあるんだけどー。うわー。めんどくさーい。でも会話したーい。ジーレーンーマー。
とにかく。
動かなきゃ何も始まらないし、最初は声をかけることから始めよう。なるべくいつもみたいなキャラで。軽い言葉使いで、心身への被害が一番少なくて済む方法で。
七頁
取り合えず彼女のことを勝手に後輩ちゃんと呼ぶことにした。まあ、後輩だしね。名前を知れたは良いけど、知ってるってバレたら僕のことを嫌いになるだろうから、忘れておこう。
今、こうやって日記を書きながらも、後輩ちゃん後輩ちゃんと呟いている。あ、僕気持ち悪いね、どうでも良いけど。
後輩ちゃん、後輩ちゃん。可愛いね。あ、後輩ちゃんが可愛いのか。うん、可愛い。後輩ちゃん、可愛いね。




