5月
「グッモーニン!後輩ちゃん!」
「突っ込みどころ満載な歓迎結構です。まず、1つ触れて良いですか?」
「どうぞー」
「今は放課後。つまりは午後ですからグッモーニンは間違っています。そして、2つ目。今日の日付を何日だと思っていますか?」
「5月6日でしょ?」
「良かったです。先輩と私の暦の数え方が違っているのかと思いました。そして、3つ目。何故今日部活があるのですか」
「うーん。後輩ちゃんは大胆だなぁ。昨日、後輩ちゃんと会話できなかったから続きをしようと思って」
「なるほど。4つ目は何故先輩が新聞紙のかぶとを被っているのかというのだったのですが、必要なかったみたいだすね」
「合理化だね」
「5つ目は、いつも部活がある日は下駄箱に手紙を置いてるじゃないですか。そのメッセージが『大至急!』だったのには何の意味があるのですか?」
「あー、特にないよ。ごめんごめん」
「って、そんなんで済むと思っているのですか!?」
「え!何で怒ってるの?」
「私は1ヶ月に1回の部活だから仕方がなく出ているっていうのに何故回数を増やすのですか!」
「嫌なの!?」
「嫌に決まってるじゃないですか!」
「えぇ!?」
「…いえ、少し言い過ぎました。早く家に帰らなくちゃいけない用があるのです」
「じゃ、じゃあさ。僕も妥協して月に3回の活動にするから、ね?」
「何故そんなにも活動したいのか分かりません」
「後輩ちゃんと会話したいから」
「は?」
「後輩ちゃんと毎日一緒にいたいから」
「先輩?」
「でも、それが無理なのは分かってるから妥協するよ」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい。先輩。自分が言ってることの意味を理解してますか?」
「勿論」
「はぁ…って、喘いでませんからね」
「後輩ちゃんは段々僕のことを理解してきたみたいだね」
「先輩といるのは本当に疲れて、面倒で、人間らしくて嫌いなんですが、私も妥協してあげます」
「本当!?」
「定時の5時を4時に変えてくださったら週に1度の部活にしても良いです。って、泣かないで下さい!」
「ぅえー…本当、なんだね?…嬉しくって、うれしくってぇぇえー」
「全く、先輩は泣き虫なんですから。今日位は撫でてあげても良いですよ」
「わーい!」
「きゃ!涙はどこに消えたんですか!?嬉々として抱きつかないで下さい!撫でることすら出来ませんよ!?」
「ふっふーん。柔らかーい」
「この、変態がっ!!」
「…かはっ。愛の暴力だね」
「違います。言うことの聞かない下等生物への躾です」
「でも良いんだー。これから週1で会えるから、もう寂しくない!」
「なら、離してくださいっ」
「んー、名残惜しいけど仕方がない」
「それでは。いつもの様に部活がある日は下駄箱に紙を入れといて下さい」
「もっちろん。またねー…って、昨日の続き出来なかったじゃん!?僕だけ張り切ってこのかぶとを被ってるのが恥ずかしいよ!」




