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5月
「さぁて、今日は待ちに待ったこどもの日だよー!」
「恐らく高校生にもなって待っているのは先輩だけだと思います」
「だから特別感ってのがあるんじゃないか!」
「さも当然の様に言ってますが違いますから」
「理屈はどうだって良いんだ!楽しければ良いのだー」
「先輩はバカボンのパパですか」
「ってことは天才ってことかな!?」
「真逆の意味で捉えて下さい」
「もうっ、後輩ちゃんったらい、け、ず」
「いけずの意味を理解してますか?」
「のー」
「だと思いました」
「さぁて!こどもの日の今日は僕だけのお祝い事なんだから、後輩ちゃんも祝う準備して!」
「はぁ…って、何ですか。この兜」
「勿論、僕が作った新聞紙のかぶとだよ」
「無駄に凝ってますね」
「ひどーい」
「先輩って手先が器用なんですね。こんな精巧に作られた新聞紙かぶとは初めて見ました」
「それは光栄だなぁ」
「それでは、お先に失礼します」
「って、ええ!?まだ定時にすらなってないのに!?」
「先輩はもっと自分の学力を自覚してください。このままでしたら留年ですよ」
「ううっ。僕のことを考えてるんだね。じゃ、またねー」




