暇つぶしの会話
期待しないように。
特にこれといった変化のない休み時間、僕は前の席で本を読み続ける彼に言った。
『なんか最近つまらないよね。』
彼はけだるそうに本から目を外して僕をみた。
『具体的に言うと?』
『何ていうか、同じ日常の繰り返しというか。』
彼は少し考える。癖である爪を噛みながら。
『これは俺の個人的な考えで、答えとは言えないけどさ、ただお前の感性が乏しいだけなんじゃないか?』
平気でこんなことを言う彼を嫌いではないが内心気持ちが煮えたぎる。
『でもさぁ、僕の感性が育たないのは今の世界や周りを取り巻く環境のせいでもあるよね。つまらないのはこの世界そのものだよ。』
彼はまた考えだす。
『それでもお前は生きてるだろ?他にも沢山の人が生活してる。それは諦めなのか?』
意外な切り返しだ、でも僕は答える。
『それも確かにあるよ。でも大多数の人は[つまらないもの]をつまらないと感じられないんだよ。』
彼は答える。
『[つまらないもの]を感じられない奴は不幸なのか?それは幸せとはイコールでつながってないと?』
『それ自体が個人の感性の問題だよ。僕は不幸だと思う。』
『でもそれは幸福ではないだろ?結局人生が楽しいかどうかは感性の善し悪しだよ。世界が輝いてようが腐ってようが関係ない。
』
『腐った世界でも幸せな人は幸せだってことかい?』
『まぁそういうことだ。その証拠にお前は不幸でも俺は特に不幸を感じない。』
結局何とも言えないけどな、そういって彼は本に目を戻した。
実のない会話だ。この会話自体、くだらない。
ふざけたチャイムの音が休み時間の終わりを告げた。