2時間目
三題噺もどき―はっぴゃくにじゅうきゅう。
ガタガタと窓が揺れる。
最近、天気は良くて晴れているのに、風が強いせいでその温かさの恩恵を感じられない。もう少し大人しくしてくれればいいのに。
「……」
窓際に座っていると、どうにも外の景色が気になってしまう。
手元では小さくなり始めた消しゴムをいじっている。
……今はそんな事をしている場合ではないのだけど。
なにせ、授業中だ。
私の嫌いな数学の授業中。
「……」
カツカツと、時折チョークで黒板を汚しながら何かを書いていく。
回りの人は、数人ほど眠っているが……さすがにこんな早い時間の授業で眠くなることは私はないな。まだ2時間目だ。まぁ、つまらない授業であれば眠くはなるが。
「……」
しかし数学は嫌いだが、この先生は割と面白いのだ。
こうして、生徒が幾人か寝ていることを、自分のせいだと言う。授業がよくないんですねとか言い出す。別に起こすわけでもなく放置している。淡々と授業を進めていく。授業内容は何をしているのか正直理解が出来ないけど。数学という教科は嫌いなのだ。
「……」
いいのかそれでと思うが、まぁ、実際ドライな人なんだろう。生徒のためを思えば、寝ていれば起こすのがいいことは分かっている。けれど、起きないのなら、寝るのなら、勝手にしてしまえと言うことだろう。それで成績にどう影響が出ようが、自業自得だと言うことだろう。そこまでではないかもしれないが。
よく聞くじゃないか。怒ってくれる人が居るうちにって。
「……」
まぁ、声もそれなりに優しいと言うか……眠気を誘うような感じではあるよな。
心地よく響くのだろう。いい声というわけでもないのだけど、不思議と。だから、昼食後の授業とかに数学が入ってくると私も割と眠くなる。
「……」
しかし今日も何をしているのかよく分からない。
教科書の該当ページを見ているのだけど、何がどうしてこうなるのか全く理解が出来ない。
何……今何をしたのだ。どうしたらそこがそうなる?
「……」
今この状態で、3年生になったらどうしたものだろう。もう今更だけど。
だってもう、気づけば2月はあと1週間しかない。このままアッと言う間に3月が過ぎて、春休みを迎えて、それが開ければ3年生だ。……恐ろし。
「……」
図形の証明とかなら得意なのだけど、もう小学生の頃から算数が嫌いだったからな。数時が苦手なんだろう。証明はどちらかと言うと国語の問題だと思っている。違うけど。
頭にたくさんの疑問符を浮かばせながらも、とりあえず板書をしておく。
あとで、あの子に聞いてみよう。あの子は数学得意なので。教えるのも上手い。
「……、」
一端、板書を終え、シャーペンを机に置く。
ふと、外の景色がまた視界に入った。
「……」
我が校は道路を挟んだ反対側に、テニスコートがあるのだけど。
その隣には、小さなハンドボールコートのような場所があって。
そこで、今日は体育をしているクラスがあったようだ。
「……」
体育は基本、女子と男子で分かれて行われる。
そこに居たのは、女子。
サッカーをしているようだった。
丸いボールを追いかけながら、あちこちへ走りまわっている。
「……」
その中に、あの子がいた。
今日は、この時間に体育があったのか。
表情までは見えないけれど、まぁ、楽しそうにしている。あのクラスは基本的に全員の仲が良いように見える。中身を知らないから断定はできないけど。
「……」
ポニーテールを揺らしながら、ボールを追いかけたり、なぜかゴールキーパーのところでサボったりしている。袖をまくっているけど、寒くないんだろうか。外に居て動いていれば暑いものなのかな。風で冷えそうなものだけど。
「……」
楽しそうだなぁ。
「……」
「……」
「……」
「……。」
昼休みまであと2時限もあるんだなぁ。
お題:春休み・サッカー・消しゴム




