表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛こそ必要悪で正義  作者: 社容尊悟
生徒と先生
6/12

赦されざる罪人達

「あたしはさ、あんたの境遇とか、全く、全然、これっぽっちも興味ないの。今が良けりゃそれで良いの。過去を聞かないんじゃない。聞きたくないのよ。他人の過去話なんて聞いてどうしろってのよ。え? 同情してほしいの?涙流して辛かったね……とか言ってほしいわけ? キモッ。バカじゃないの? 頭湧いてる。アホくさ」

 一息にまくし立てられ、何も言えずに呆気に取られる真宵。

 みいこの知らない一面だ。

「みいこって……そういう性格だったんだ……私、知らなかったよ……」

「何? あたしの性格に何か文句あるの? 表面上だけの付き合いってのは、よくあることじゃない。何ショック受けたような顔してるのよ」

「でも私のこと、心配したって」

「それは言葉のあ、や。それにあれは人前だしー。でも今日で終わりだから。誰があんたみたいなキモい奴のこと、心配するってのよ。仲良くしたがるかっての。マジありえない。罰ゲームで仕方なく友達になってあげてただけだしー」

「そんな……嘘。だってずっと優しくしてくれて、今日も手を引いてくれた」

「だーかーらー、今日でちゃんと正体明かしたでしょうが! あんたってホントしつこいのね、もう。っていうか、にぶっ! じゃあこれでわかる?」


 みいこは制服のポケットから紙を取り出して、押し付けた。

「何、これ……“嫌われ者の星屑真宵と友達になる”……?」

「そ。良くできましたー。これでわかったでしょ。元々ここに居場所なんてないんだってこと。だからもう帰れば? ここって辛い思いしてまで来るようなところ?」

 それでもまだみいこのことを信じている。

 罰ゲームで友達になってくれていたのだとしても、さっきのあの言葉は、本心だと思うから。

 それに、自分のことを心配してくれている、心のどこかで友達だって思ってくれていると。


 教室に入ると、壮絶ないじめが待っていた。


 黒板には真宵への罵詈雑言の数々が書かれ、自分のものだと思われる机の上には菊の花、椅子の上には針が大量にばら撒かれていた。

 目眩を起こす真宵の反応を見て、クラスメイトがにやにやと笑っていた。

 度が過ぎている。

 人のすることではない。

 ここにいるのは人の皮を被った、虫けら以下のゴミだ。

 最早何も言うことはない。

 このまま逃げてしまおう。


「お前ら、何をしとるんだ!」

 踵を返すと、目の前から怒号が飛んできた。

 思わず耳を塞ぎたくなる大音声で、声の(ぬし)は怒りを露わにしている。

 スーツを着た担任と思しき先生だった。

「星屑は……星屑はなァ……すごく辛い思いをしたんだぞ……それなのに、それなのにお前らときたら……! こんなの人のすることじゃねぇ! お前ら、それでも人間かぁ!」

 近年稀に見る物凄く熱い先生だった。

 それから数十分ほど立ちながら説教を聞かされた。

「星屑! お前もいじめなんかに負けるんじゃねぇぞ! 強く生きろ!」

 力強く肩を掴まれ、否応なしに返事をさせられる。

 有無を言わせぬ性質の人だ。

「よし! 良い返事だ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ