赦されざる罪人達
「あたしはさ、あんたの境遇とか、全く、全然、これっぽっちも興味ないの。今が良けりゃそれで良いの。過去を聞かないんじゃない。聞きたくないのよ。他人の過去話なんて聞いてどうしろってのよ。え? 同情してほしいの?涙流して辛かったね……とか言ってほしいわけ? キモッ。バカじゃないの? 頭湧いてる。アホくさ」
一息にまくし立てられ、何も言えずに呆気に取られる真宵。
みいこの知らない一面だ。
「みいこって……そういう性格だったんだ……私、知らなかったよ……」
「何? あたしの性格に何か文句あるの? 表面上だけの付き合いってのは、よくあることじゃない。何ショック受けたような顔してるのよ」
「でも私のこと、心配したって」
「それは言葉のあ、や。それにあれは人前だしー。でも今日で終わりだから。誰があんたみたいなキモい奴のこと、心配するってのよ。仲良くしたがるかっての。マジありえない。罰ゲームで仕方なく友達になってあげてただけだしー」
「そんな……嘘。だってずっと優しくしてくれて、今日も手を引いてくれた」
「だーかーらー、今日でちゃんと正体明かしたでしょうが! あんたってホントしつこいのね、もう。っていうか、にぶっ! じゃあこれでわかる?」
みいこは制服のポケットから紙を取り出して、押し付けた。
「何、これ……“嫌われ者の星屑真宵と友達になる”……?」
「そ。良くできましたー。これでわかったでしょ。元々ここに居場所なんてないんだってこと。だからもう帰れば? ここって辛い思いしてまで来るようなところ?」
それでもまだみいこのことを信じている。
罰ゲームで友達になってくれていたのだとしても、さっきのあの言葉は、本心だと思うから。
それに、自分のことを心配してくれている、心のどこかで友達だって思ってくれていると。
教室に入ると、壮絶ないじめが待っていた。
黒板には真宵への罵詈雑言の数々が書かれ、自分のものだと思われる机の上には菊の花、椅子の上には針が大量にばら撒かれていた。
目眩を起こす真宵の反応を見て、クラスメイトがにやにやと笑っていた。
度が過ぎている。
人のすることではない。
ここにいるのは人の皮を被った、虫けら以下のゴミだ。
最早何も言うことはない。
このまま逃げてしまおう。
「お前ら、何をしとるんだ!」
踵を返すと、目の前から怒号が飛んできた。
思わず耳を塞ぎたくなる大音声で、声の主は怒りを露わにしている。
スーツを着た担任と思しき先生だった。
「星屑は……星屑はなァ……すごく辛い思いをしたんだぞ……それなのに、それなのにお前らときたら……! こんなの人のすることじゃねぇ! お前ら、それでも人間かぁ!」
近年稀に見る物凄く熱い先生だった。
それから数十分ほど立ちながら説教を聞かされた。
「星屑! お前もいじめなんかに負けるんじゃねぇぞ! 強く生きろ!」
力強く肩を掴まれ、否応なしに返事をさせられる。
有無を言わせぬ性質の人だ。
「よし! 良い返事だ!」