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暗殺メイドは醜いオークに蹂躙されたい

【コミックス第1巻が2月15日発売!】

「醜いオークの逆襲 同人エロゲの鬼畜皇太子に転生した喪男の受難」

のコミックスが、いよいよ明日発売です!


どうかあとがきまでご覧くださいませ!!!

■イルゼ=ヒルデブラント視点


「ふあ……」


 朝……と申しましても、まだ夜も明けておりませんが、私は軽く欠伸をすると、素早くメイド服に着替え身支度を整えます。

 ルイ様の一日のお世話をするためには、ほんの僅かでも気を抜くわけにはまいりません。


 万全の準備を整え、ルイ様には素晴らしい一日を送っていただきませんと。


「……よし」


 鏡に映る自分の顔を見つめ、頷きます。

 ルイ様に恥ずかしい姿を見せるわけにはまいりませんので、身だしなみには人一倍気を遣います。


 特にルイ様は帝立学院内において、未だに『醜いオーク』などという誹謗中傷を行う輩がおりますので、一番お傍に仕える私が足枷になるわけにはまいりません。


 ……いいえ、違いますね。

 本当は、誰よりもルイ様に『綺麗だ』と思っていただきたいからに他ありません。


 実家であるヒルデブラント家再興のために身売りしてお仕えすることになったあの日、ルイ様はこの私のことを慰み者としてではなく、専属侍女として、あの御方の師として求められました。


 紆余曲折を経て、今ではルイ様の恋人としてお傍にいることができる。

 まさかこのような未来が待っているなどと、あの時の私は思いもよらないでしょうね。


「ふふ……」


 嬉しさのあまり、私は思わず口元を緩めてしまいます。

 思えばルイ様はずっと、この私のことを気にかけてくださり、とても大切にしてくださいました。


 本来皇族にとって、侍女など使い捨ての存在に過ぎません。

 気分次第でお手付きをされたり、場合によっては簡単に命を奪われてしまうことも珍しくはないでしょう。


 実際、帝国の影として仕えてきたヒルデブラント家の歴史において、そのようなことは幾度となくあったと記録されております。

 そういう意味でも、私ほど幸せな者はいないでしょう……って。


「物思いにふけるのは後にして、早くルイ様のもとへまいりませんと」


 ええ、ええ、この朝の貴重な時間を無駄にするわけにはいきません。

 一日の時間はとても有限で、何より今は私にとって最も大切な時間なのですから。


 ということで。


「はああああ……! やはりルイ様の寝顔は、世界一です……!」


 気持ちよさそうに眠るルイ様のご尊顔を眺め、私は思わず感嘆の声を漏らしてしまいます。

 きっと窓ガラスには、とてもだらしない私の顔が映っていることでしょう。


 ですがそれは仕方ないというもの。

 ルイ様のような愛くるしく、思わず抱きしめてしまいたくなるようなお顔を前にして、平常心を保つことができる者などいるはずがありません。


「ふふ……今日も柔らかくて、まるで焼きたてふかふかの白パンのようです」

「う、ううん……」


 私が白くて柔らかい頬を指でつつくと、ルイ様はくすぐったそうにして寝返りを打ちました。

 なんということでしょう。ルイ様はこの私を尊死させようとお考えなのでしょうか。


 もちろん、私は望むところです。

 幸せ絶頂のまま死を迎えるなど、これに勝るご褒美はないと言えるでしょう。


「……いえ、今の私はその程度では満足できません」


 ええ、そうですとも。

 ルイ様の恋人である以上、ただ寝姿を眺めるだけで満足するわけにはまいりません。


 私はその先、さらにその先へと進みたいのです。


 一度はルイ様に慰み者であることを拒否されてしまいましたが、私としましてはこの御方であればむしろ滅茶苦茶にしていただきたいと思っております。

 幸いなことに、ヒルデブラント家には諜報のために必要な技術として、様々なその……え、ええと……せ、性技といいますか、そういったものがあります。


 なので、こちらの技術を駆使すれば、きっとルイ様にご満足いただけるとともに、ますます私のことを必要としてくださるのでは……と、少々あさましく卑しいことを考えている次第でして……って。


「何を考えているのですか、私は!」


 いけません。つい暴走してしまい、欲望に支配されてしまうところでした。

 これではヒルデブラントの名を汚してしまいます。


 あくまでも主のために命の限り尽くし、幸福を味わっていただくことこそがヒルデブラント家の使命。ルイ様の恋人となったことで、少々浮かれてしまっていたようです。


「ですが、きっとルイ様も女性を求めておられるに違いありません」


 ルイ様は十五歳。女性に対して興味をお持ちになるのが普通です。

 ならば、今のうちから女性について学んでいただくことはとても大切なこと。そう……これは恋人として、専属侍女として、何より教官として、導かなければなりません。


「こほん……そ、そういうことですので、まずは肌に触れ合うところから始めるのがいいでしょうね。ええ、きっとそうです」


 私は咳払いをした後にそう呟くと。


「で、ではルイ様、失礼いたします……」


 ルイ様を起こさないようにゆっくりとシーツをめくり、私は静かにベッドの中へと入ります。

 中はルイ様の体温で暖かく、心地よくて幸せで、すぐに眠ってしまいそうになりますが、そういうわけにはまいりません。


 何よりこれは、ルイ様への性教育の一環なのですから。


「ええと……こう、でいいですよね……」


 ルイ様の胸に手を置き、ゆっくりと寝衣のボタンを外します。

 ですが、思うようにいきません。しかも手まで震えるという体たらく。


 とはいえ、これは仕方がないというもの。

 何せこの私も、殿方にこのようなことをしたことがありませんので。ええ、処女ですが何か? 悪いですか? 悪くありませんよね?


 それにしても。


「ルイ様のお身体、とても引き締まっておりますね……」


 これも私との特訓の賜物だと思うととても嬉しく思いますが、逆にこうして触れることで、嫌でもルイ様は男なのだと認識させられてしまいます。

 私、は……。


「ルイ様……」


 ルイ様の胸に頬を寄せ、彼の温もりを……鼓動を感じます。

 トクン、トクン……いえ、なんだかやけに早いように思うのですが……って。


「デュ、デュフフ……」

「っ!?」


 なんということでしょう。

 ルイ様が、既に目を覚ましておられるではないですか。


「その……いつから?」

「……ベッドの傍で、ハイライトの消えた瞳で僕を見下ろしているところから」


 なるほど、つまり最初からということですね。


 私はどうしようもなく恥ずかしくなり、シーツで火が出そうになるほど火照った顔を覆い隠しました。


 もう、お嫁に行けないです……。

お読みいただき、ありがとうございます!


前書きでもお知らせしましたが、『醜いオークの逆襲』のコミックス第1巻は明日発売!


首都圏の一部の店舗では、既に発売しているところも!


また、各店舗では、以下の特典もございます!!

・ゲーマーズ様  :描き下ろしブロマイド

・メロンブックス様:描き下ろしイラストカード

・ComicZin 様  :描き下ろしイラストカード


がうがうアプリでも話題の『醜いオークの逆襲』を書店でお見かけの際は、どうかお手に取ってご覧くださいませ!!!


詳しくは下記まで!!!

双葉社様HP:https://www.futabasha.co.jp/book/97845754207770000000


さらにさらに、小説版『醜いオークの逆襲』の3巻も発売決定!

web版のその先が気になる方は、どうぞお楽しみに!!!

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▼8/19に書籍第1巻が発売します! よろしくお願いします!▼

【余命一年の公爵子息は、旅をしたい】
― 新着の感想 ―
あとがき的にもうWEB版は更新しない感じです?
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