表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

132/144

今度はミネルヴァ聖教会へ

「それでは、お世話になりました」


 帰りのゲートの前で、見送りに来てくれたジル先輩とフランチェスコ国王、マッシモ王子にお辞儀をした。


「う、ううん! こちらこそ、迷惑ばかりかけてごめんね?」

「あはは。もう終わったことなんですし、いいじゃないですか」


 申し訳なさそうにするジル先輩に、僕はおどけながら笑ってみせた。

 ジル先輩からの告白を断ったことへの、負い目を隠すかのように。


「あ、そうだ。イルゼちゃん、ちょっと……」

「はい」


 イルゼが、手招きするジル先輩に連れられて二人でコソコソ話をしている……というか、嫌な予感しかしないんだけど。


「っ!?」

「ね? 悪くないと思うんだけど……」


 ……あの二人、何の話をしているんだろう。


「うふふ……ジルベルタ先輩、どこか吹っ切れたように見えますね」

「っ!? ナタリアさん!?」


 いつの間にか僕の背後についた聖女が、耳に息を吹きかけながらささやいた。

 そういうの、本当にやめてもらえないですかね? ぞわぞわするんですけど。


「ところで……実はルートヴィヒさんに提案があるのですが」

「提案、ですか……?」


 打って変わって真剣な表情を見せる聖女に、僕も姿勢を正した。


「帝国にお帰りになられる前に、例のイスタニアの件について今後を含めて教皇猊下(げいか)を交えてお話をしたいと思いまして」


 なるほど……元々ミネルヴァ聖教会は、イスタニア魔導王国の『魔導兵器』をずっと警戒していた。

 なら、今回の件を含め、教会には色々な情報が集まっているかもしれないし、お互いに情報共有するにはちょうどいい。


 それに、イスタニアの全容についてできる限り把握した上でオットー皇帝に話をしたほうが、より動きやすいだろうからね。


「分かりました。僕からも是非、教皇猊下(げいか)とお話しをさせてください」

「うふふ、ルートヴィヒさんならそうおっしゃっていただけると思っていました」


 聖女が、パアア、と笑顔を見せた。

 この反応を見る限り、ひょっとしたら僕が断ることも想定していたっぽいな。それが二つ返事で受け入れたから、嬉しかったのかもしれない。ちょっと可愛くない? メインヒロインの一人だから当たり前だけど。


「ルイ様、失礼いたしました」

「ルー君お待たせ!」


 ちょうど聖女と話が終わったところで、イルゼとジル先輩が戻ってきた。

 満足そうな表情を浮かべているジル先輩を見て、僕としては二人の会話の内容がメッチャ気になります。


「イルゼ、どんな話をしていたのか、教えてくれない?」

「申し訳ございません。こればかりは、ルイ様にもお話しするわけには……」


 言葉どおり申し訳なさそうに深々とお辞儀をするイルゼ。

 余計に気になるけど、さらに追及して嫌われるのも嫌だし……ぐ、ぐぬぬ……。


「では、帝国に帰り……」

「あ、そのことだけど、その前にミネルヴァ聖教会の本部に行くことになったから」

「そうなのですか……?」


 イルゼは、僕の後ろにいる聖女を見やる。

 その表情は、どこか不服そうだ。


「はい。イルゼさんも、ルートヴィヒさんを狙ったあの国(・・・)のことが気になるでしょう?」

「……そういうことであれば」


 イルゼは(うやうや)しく一礼する。

 やっぱり、イスタニアについて気になるよね。


「となると……ゲートを繋げる先を帝国からボルゴニアに変更しないと」

「え? ルー君、ボルゴニアに行くの?」


 あ、ジル先輩には話してなかった。

 ということで、僕は聖女との話を説明すると。


「むう……だったら、ボクもルー君達と一緒に行くよ!」

「え!? ジル先輩もですか!?」


 ええー……どうしよう。告白断ったから、メッチャ気まずいのに……。

 僕は『それってどうなんですか?』という思いを込めて、フランチェスコ国王を見ると。


「うむ、そうしたほうがよいだろう。我等ガベロットに対し、イスタニアが牙を()いたのだ。なら、それがいかに愚かであるかを分からせる(・・・・・)意味でも、な」

「おう! んなもん、イスタニアの野郎どもには血で償わせるに決まってんだろうが!」

「もちろん、“ガベロット式”でね!」


 はい、ここでも“ガベロット式”が出てきました。

 メッチャ気になりますけど、絶対にろくなものじゃないと思うので、僕はあえて触れませんけどね。


「あ、あははー……まあいいか。それじゃ、ボルゴニア経由でラティア神聖王国に……ミネルヴァ聖教会に向かおう」

「「「おー!」」」

「……おー」


 僕達はゲートの上に乗り、フランチェスコ国王とマッシモ王子に見送られながら、ボルゴニアへと転移した。

お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼8/19に書籍第1巻が発売します! よろしくお願いします!▼

【余命一年の公爵子息は、旅をしたい】
― 新着の感想 ―
[一言] さて何を話したのだか。 まあ、今のままだと「あの国」だけが共通の敵になりそう。ゲームの設定では弱小国扱いだったと思うけれど、実はそこにラスボスが湧いていたりするのかな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ