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桜の簪の誓い  作者: 白百合三咲
6/11

桜の木の絵の少女

 週は開けて月曜日。事件から3日が経過した。未だ警察も犯人を見つけてはいない。


 ゆきは手掛かりを探るべく中庭の桜の木の下に向かった。だけどその日は先客がいた。

彼女はゆきと同じく袴で椅子に座りキャンバスを立て掛け絵を描いている。

ゆきはその絵を見て驚きを隠せずにいた。

絵には桜の木の下で微笑む少女が描かれていた。絵の中の少女は彩花そっくりだ。


「素敵な絵ね。」

ゆきは少女に話かける。

「あ、ありがとうございます。」

少女の名前は実咲。2年生だそうだ。美術倶楽部に所属している。

「これ、彩花さん?」

「はい。彩花様素敵な方でした。音楽室を通るといつもピアノを奏でていて。そのお姿があまりにも輝かしくて。今度出す展示会の絵に描かせてほしいってお願いしたんです。」 


ゆきもそんな話は聞いていた。下級生から絵の被写体になってほしいと頼まれたと。彩花は快く承諾した。

しかしそのすぐあの事件が起こってしまった。

実咲は彩花の供養にとこの絵を出展することした。






 


 

 「そんな娘がいたのよ。えりちゃんどう思う?」

学校帰りゆきはえりの事務所に立ち寄る。ゆきは助手として事件の調査をすることにした。

「そうか、じゃあ行ってみるか?」

「でもその娘犯人かな?だって彩花さんを慕ってたんだし。動機がないわ。」

「僕の推理はこうだ。」


 えりが言うには実咲は彩花とみやこが仲良くしてるのを羨ましく思ってた。それで彩花を殺害したと。

「だとしたら殺すのをみやこ先生じゃない?彩花さんと親しくなりたいなら邪魔なのはみやこ先生なんだし。」

「ゆきちゃん、凶器につかわれたナイフ覚えてるか?」  





 翌日ゆきはえりを連れて学校の美術室へと向かった。

美術倶楽部の部員達はここで活動している。

美術室にはすでに実咲がいた。一人キャンバスに向かって、絵の具で色を塗っていた。

「こんにちは。」

えりが実咲に声をかける。

「あの、どなたでしょうか?学内は男性は生徒の身内以外立入禁止なんです。」

「実咲ちゃん、この人は女の人よ。」

ゆきが説明する。

「嘘でしょ?」

「本当だ。小宮えり。探偵だ。学校から依頼を受けてやってきた。」

えりは実咲の描いている絵に目をやる。

「なかなか素晴らしい絵だな。この少女は誰かに似てるようだが?」

「彩花様です。あら、いけない。」

実咲は色を塗った部分をパレットナイフで削る。色がはみ出した部分を削っているのだ。

「実咲ちゃん、事件の凶器に使われたのもパレットナイフだったんだ。知ってたか?」

「はい、知ってます。私第一発見者なんです。」

事件があった次の日の朝、実咲は彩花と約束していた。キャンバスと絵の具を持って待ち合わせ場所の桜の木の下に行ったら彩花が死んでいた。

「えりさん、私を疑ってるのですか?」

「そういうわけじゃない。ただ」

「ただ何ですか?」

「君は彩花ちゃんとみやこ先生の仲をどう思っていたんだ?」

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