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桜の簪の誓い  作者: 白百合三咲
5/11

彩花の婚約者

みやこから彩花に書かれた手紙はどれも彩花に対する賛美が書かれていた。

「ゆきちゃん、これ。」

えりがゆきに紙を手渡す。

「警察から借りてきた。彩花ちゃんの鞄の中から発見されたようだ。」

その手紙は彩花がみやこから受け取った最期の手紙だった。日付は2日前。事件があった前日だ。


「私の妹彩花ちゃんへ

 婚約おめでとう。わたくしは貴女の妹としてこんなにも嬉しいことはないわ。素敵な殿方の隣で幸せに暮らしている貴女の姿が目に浮かぶわ。

 だけど大事な妹がいなくなってしまうのは寂しいわ。貴女の気持ちはわたくしと一緒。今日の放課後貴女の待つ桜の木の下へ行きます。貴女が学校を去るその日までわたくしは貴女のお姉様ですわ。

       大正10年4月10日高山みやこ」


彩花の部屋、そしてえりが警察から借りてきた手紙のおかげでみやこは犯人じゃないと確信が

ついた。

「でも誰が彩花さんを?」

「分からない。だがそれを突き止めるのが僕の仕事だ。」



帰り際に彩花の両親に挨拶をしようとするが母親が青年と話しているのを見つける。

「麻斗さん?」

ゆきはその青年を知っているようだ。

「ゆきちゃん彼を知っているのか?」

「ええ、彩花さんの婚約者よ。」

麻斗は公爵家の長男で今は帝都の美術大学で西洋画を学んでいる。少女雑誌に挿し絵を投稿していて彼の絵は女学生だけでなく大人の女性にも人気がある。

「それにしてもなかなかの美青年だな。」

「ええ、麻斗さんと彩花さんは社交界一の美男美女と言われていたわ。美青年と言ってもえりちゃんには負けるけど。」

「それはありがとう。」



「やあ、ゆきさん」

麻斗がゆき達に気付く。

「ごきげんよう。」

「ゆきさんこちらの方は?」

「えりちゃん。私の従姉妹です。」

「初めまして。小宮えりです。探偵をしています。」

「探偵ですか?」

一瞬麻斗の表情が変わる

「そうですよ。彩花さん殺した犯人を」

「ゆきちゃん。」

えりに遮られる。

「すみません。」

「ゆきさん構いませんよ。僕も犯人をいち早く見つけてほしいです。そうだ」

麻斗は名刺を差し出す。

「もし僕にできることがあれば連絡ください。」

「ありがとうございます。ところで麻斗さん事件があった時間どちらにいましたか?いや、すみません。決して疑ってるわけではありませんが一応参考にと。」

「その時間ならこちらに彩花さんの御宅にいました。その日は食事に呼ばれていて。」

「彼ならいらしてましたよ。」


彩花の母がやって来る

「わたくし麻斗さんとテラスでお茶を飲みながらお話していましたもの。彼にお茶を入れた女中もおりますので聞いてみてはいかがかしら?」




 その後女中にも話を聞きゆきとえりは小風家を後にした。

「えりちゃん、麻斗さんいい人だね。」

ふと隣を歩くえりを見るが彼女は真顔で黙っている。

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