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二つのプロローグ


 客室のプライベートバルコニーからの眺望は最高だ。特に四月下旬の晴れ渡った空に加えて海が()いでいる日は、心震せる特別な景色との出会いがあった。

 だが船上でしか味わえない、ゆったりとした贅沢な時間はもうすぐ終わりを告げようとしている。

隣のデッキチェアに横たわっている八神(やがみ)陽菜乃(ひなの)が呟いた。

「もうそろそろね」

 城之内(じょうのうち)(たか)(ひさ)は頷いた。

「クルーズ船での長旅も、今日が最終日だ。先程昼食を済ませたレストランで聞いたが、横浜港へはあと三時間もすれば着くらしい。準備に取り掛かろう」

 最上階に十室しかないレジェンドスイートの中へと二人は戻り、荷物をまとめ始めた。



「所持していた免許証によれば年齢三十四歳、男性。人気の少ない商店街の脇道で背後から刺された模様。現場には例の物が残されています」

 通報により駆け付けたS県警機動捜査隊が、無線で連絡を入れていた。中警察署管内で刺殺体が発見されたからだ。しかも先月から県内と警視庁管内を含め五件続いている。

 既にS県警本部では、警視庁との合同特別捜査本部を設置していた。これらが全て、同一犯による連続殺人の可能性が高かった為だ。理由は全て被害者の背後から心臓を一突きした上で滅多刺しにされていた点と、現場に奇妙な数字が残されていた事が挙げられる。

 例えば今回も、四月二日の夜遅くに死体が発見された際、近くの壁にはD938と暗号とも思われるものが、被害者の血で書かれていた。最初の被害者とみられる二十代後半の女性の場合も、同様な殺され方でD957というアルファベットと数字の血文字があった。 

 さらにDは同じだが数字は952、949、942、940と不連続で小さくなっている特徴があった。被害者は二十代前半から三十代後半と幅広く、男性と女性が入り混じっている。これらが何を意味するのか、本部ではまだ全く掴めていなかった。

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