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聖騎士になった少年

「なんだよ、これ……」



 朝目覚めたら、洗面所の鏡に映る自分の顔の横に不思議な文字列が浮かび上がっているのが見えた。



 山本平太 17歳 聖騎士セイバーLevel1

【HP】20/20

【MP】30/30

【攻撃】8

【防御】5

【すばやさ】10

【魔法攻撃】23

【魔法防御】14

【魔法発動速度】0.5shot/second

【使用可能魔法】火(C)・水(C)・雷(B)

【一般スキル】剣技(B)・幸運(S)・鑑定(C)

【SPスキル】ステータス非開示・弱点感知・時間遅延(10秒)・精霊の加護

【武器】なし

【防具】なし

【称号】主人公



 何度も目をこすった。そして頬を叩いてみて、それが幻でないことを確認した。



「え? これマジで? はぁ!? ステータス表示されてるんですけどw これ俺なの??」



 そのステータス表記には見覚えがあった。俺のやり込んでいるゲーム【デスティニー・ラグナロク】の、まさにそのまんまだった。



 初めて見るのは、【SPスキル】のステータス非開示と【称号】の主人公だ。そんなものはゲームになかったはずだが、しかし俺はそれどころじゃなかった。



「すげぇ! SランクスキルがLevel1からいきなり備わってやがる! 時間遅延まであるし、雷魔法なんていつ覚えたんだよ! しっ、しかも聖騎士って、半端ねぇぞこれっ、こんな初期ステータスありえないだろ! どうなってんだよ!」



 俺がゲームをやっていたときは、Level34まで育てたのにBランク程度の魔法やスキルしか備わらなかった。初登録の時にランダムに与えられた平凡なキャラではその程度だったのだ。



 そもそも【デスティニー・ラグナロク】というオンラインゲームは総プレイ人口1000万人を超える超人気MMORPGだが、そのあまりの難易度のため、いまだ完全攻略した者はいない。



ゲーム作成者は不明。世界観の広大さは尋常ではなく、どこから攻略していけば良いのか分からないほどだ。世界トップランカーは徒党を組んで全力で完全攻略を目指しているが、それでも攻略パーセンテージは20パーセントにも満たない。



 ネトゲ廃人の俺がLevel24まで育てるのに軽く800時間はプレイしてきた。しかし攻略するにつれて敵が強くなりすぎて、あるいはストーリーが難解になってきて、どうしても先に進まなかった。



ごくまれに出現する激レアキャラを運良く最初のプレイヤー登録のときに引けば、それだけで世界的に注目される。上級職で出現確率0.001パーセント。リセマラはできない設定になっている。そしてなおかつ、この低確率である。



 しかし本作では、そのさらに上、最上位職というものの存在が確認されている。1000万人のうち、わずかに6名のプレイヤーがその最上位職として生まれ、猛威を振るっていた。



 最上位職は未確認も含めて推定7つあるとされる。たしか、日本のトップランカーは聖弓士アーチャーだった。プレイ中継で何度もその能力の高さに驚かされた。俺の使っていたしょぼい剣士ではとうていたどり着けないステージで戦っていた。


 

 俺は全身が震えていた。自分の名前の横に、未確認とされていた最後の最上位職 聖騎士の文字が刻まれているのを見ると、震えが止まらなかった。



「と、とんでもないことになった……」


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