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第1話 出会いの季節

春。それは出会いの季節。学生達は期待と不安を胸に新たな学園生活に思いを馳せる。

街が色づく中、都立・桜聖(おうせい)学園に1人の少女が憂鬱気分で入学する。


(ひじり) (さかずき)です。自分を出すのが苦手ですが仲良くしてくれると嬉しいです」

私は聖 杯。ふざけた名前に私の住む世界ではやたら目立つ白い髪を押し付けた両親を恨めしく思っている。

両親は私が物心つく前に事故でなくなり、児童養護施設で育って高校になり今日から一人暮らしとなった。

この名前と髪で無駄に目立ち、昔から人付き合いが苦手で自分の殻に閉じこもってきた。

そんな普通の人なら関わろうとしない私だったが・・・


「オイ!聖だったか?俺の女になれ!」


入学式の次の日。クラスメイトに自己紹介をした後の昼休み。

浮足立ったクラスから抜け出しトイレから帰ってくるところ。

何故か私は目の前の赤髪イケメンチャラ男に告白?されている。壁ドンされながら・・・


「えっと・・・怖いのでお断りします・・・」


丁重にお断りをした。

こんな目立つ彼と付き合おうものなら目立つなんてものではない。

すでに物凄く目立っている。


彼の名前はたしか阿久津(あくつ) 真央(まお)

見た目のインパクトで同じクラスと名前だけは覚えているが他の情報が一切頭に残っていない。

なぜ私に興味を持つのだろうか・・・。


「はぁ!?俺は魔王だぞ!?俺の女になれば何不自由ない生活が出来るのに断るヤツがいるのか!?」


なんか突然、魔王とか言い出したこの人。

怖い・・・これは関わっちゃいけない系の人だ・・・。


「いえ、遠慮しときます・・・」


私の緊急アラームが全力で鳴ったので、その場から急いで立ち去った。

午後のオリエンテーションはずっと阿久津くんから視線(ガン?)が飛んできていた・・・


キーンコーンカーンコーン


その日最後の授業も終わり放課後がやってきた。

皆が連絡先を交換し合っているなか私は極力関わらないように静かに帰ろうとしたが


「ちょっといいかな?」


声がかかる。本来1日に2度も声がかかることなど滅多にないはずなのだが、今日は厄日なのだろうか。


「はい、なんでしょうか・・・」

「そんなに困った顔されるとはね。もしよかったら連絡先を交換してもらえないかな?」


帰ろうとした私を遮ったのは黒髪さわやか系イケメンの男子だった。

彼の名前は(ひかり) 公聖(こうせい)

昼間の阿久津くんほどではないが身長が高く、話しやすそうなオーラをしていた。

だが、これだけモテそうなイケメンに声を掛けられると目立つので困るというか・・・。


「えっと・・・。どうして私に声を?」

「君がすぐに帰ろうとしていたからね。クラス内でなにかあったら場合に一人くらいは君の連絡先を知ってる人がいたらいいかなって」

「それなら・・・。これが私のRINEのIDです」

「ありがとう。これで一歩前進って感じかな」

「一歩前進って何が?」

「こっちの話さ」


昼間の赤髪男のせいで警戒度が上がっていたが、思った以上にまともな理由であったため承諾した。

なんだこのさわやかさ、反則だろう。最後の一言が気になったが・・・

そんなことを思っているとクラスの中心でワイワイしていた阿久津くんがこちらに向かってやってきた。


「聖!!俺にも連絡先教えてくれ!!」

「え?イヤですけど?」

「なんでだよ!?ゆ、公聖のヤローには教えたんだろ?」

「なんか怖いし・・・。光くんに教えたからそれでいいかなって・・・。」

「光はなんて言ってお前に連絡先を求めた?」

「えっと、クラスで何かあった時の緊急用に知りたいって」

「そんな役だったら俺が適任だろ!こうして今俺はクラスの中心にいる!何かあればすぐに俺の耳に入るぞ!」

「それはたしかにそうですが・・・」

「ちょっと真央さん!僕だって友達くらい今日作りましたから大丈夫ですよ!」

「うるさいぞ公聖!!!」

「なんかよくわからないので帰りますね」

「いや、待て待て待て!コラ!帰るな!!!」


私は2度目の逃亡をして帰路へ着いた。


「初日から疲れた・・・これからあの二人と同じクラスなのか・・・」


小さな憂鬱を抱え長い1日が終わった。


  ☆


「クッソー、とりあえず魔王ってのを出してみたがこの世界では逆効果だったな。結構な確率で惹かれると思ったんだが」

「僕としては惹かれるどころか引かれてて安心したよ。アナタのおかげで第一印象は悪くない感じにできたよ」

「勇者・・・お前それでも本当に勇者か?まぁいい学園生活はまだ始まったばかりだ!必ず我が手に落としてやるぞ聖杯よ」

「負けませんよ魔王、いや今は真央さんか」


勇者と魔王、二人の学園生活が今始まる。

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