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外伝 私の名は

この話は泉の森一週間目くらいのことです。過去編というか外伝というか。そんな感じです。本編の細かい内容に触れています。


「そういやあんた名前思い出せないの。」



樹々の間を陽光がすり抜ける。爽やかな昼下がり。春の風が心地よかった。



濡れたように光る金髪と澄んだ青い眼をした女は私に話しかけてきた。



彼女はティア。水の女神だ。泉の女神とも言うらしい。私の師匠でもある。あの日、何も知らない幽霊の私を拾ってくれた人だ。この女神の美しさは三千世界あらゆる世に通ずる。※本人談



そういや確かに。



別に気にしていなかったが、生前の名前が思い出せない以上、何か代わりになる名が必要だろう。呼び方が無いとこの先不便だろう。



「私が名前をつけてあげようか?」




「良いのか?」



うーん。自分の名前を適当につけたらダメな気がする。こっちの世界での言葉の意味は私の常識と異なるかもしれない。今は不思議なことに会話が通じているのだが。思わずしてDQNネームになったら大変だ。



「もちろんいいわよ。そうねー、あなたにはどんな名前がいいかしら。」



ムムムムーと師匠は悩み始める。



そんな師匠を一回放っておいて私は魔法の基礎を練習することにした。



これからするのは全属性覚醒のため、ひたすら沢山の魔法を唱える。



属性ごとに得意不得意は個人差がある。勉強やスポーツと一緒だ。私の場合、歴史は得意だったが数学は苦手だった。もっともこの世界じゃ歴史を覚えていても意味はないだろう。学校の勉強は社会では使えないってよく聞くけど

まさかこういう意味だとは思ってもいなかった。うん。


私が得意な属性は水。苦手なのは火と雷。他は普通。



聖属性に関しては修行不要らしい。元々聖属性を私は宿していたらしく、それに加えて神の分身ともいえる肉体を持っている。私と同じくらい純度が高いわ…って、師匠が言ってた。まあほとんど今は使われない属性だからそんなに意味は無いんだけどね。でもこのおかげであの日受けた魔法を相殺できたのは幸運だった。



それでは苦手を克服するとしよう。



手を前に広げる。意識を集中。体の中にある何かを使うイメージ。



想像しろ。燃える炎を。メラメラと揺れる命の灯火。



イメージし、放つ。イメージして、放つ!



「おっ。来たか?」



私の手の上には 小さな火が燃えている。今にでも消えてしまいそうだ。



「えっと、これを維持出来るように、魔力を送る…。」



湿気って火は消えた。いつもこうなる。もー。



水に適正のある魔力を持つ者は、火の魔法が苦手な傾向があるらしい。魔力自体が水っぽいのか、致命的に相性が悪い。今みたいに維持しようとして魔力を送りこむと湿気って消えてしまう。



雷もやってみる。雷は維持がとても難しい。



「ひゃうっ。」



一瞬静電気がパチっとして思わずびっくりして魔法の構築を中断してしまう。なんか変な声が出ちゃった。




はあ、今度は火を…。




ボッカーン!大爆発!!







なんてことだ。師匠の話によると、水魔法の使い手が火と雷それぞれ使ってると爆発が起こるそうだ。原因はよくわからないと言ってるが、もしかしたら水が電気分解されそれが火でボッカーン。なのかな。魔法の世界に科学持ってきてんじゃねえよ。



私は爆発のせいで土や水やら色々かかって汚れたので泉で水浴びをしていた。



もうこの体のは大分慣れた。肌は透き通るように白くもちもちで胸は小さいが膨らみがある。生前は胸筋を元気な時は鍛えたこともあったが、それとは別物の食感だ。なんか変な感じ。他にもこの体について言いたいことはあるが割愛。



泉の浅瀬に体を沈める。身体が小さくなって精神年齢が低くなったのか、それとも生前の反動からなのか、泳ぐのが楽しい。ああ、もちろん今は全裸だよ。服は魔法で師匠が作ってくれたのを普段は来ている。私の意思で着脱可能。思うだけで着替えれるのだから、良い時代になったものだ。



「おや〜〜〜?何を楽しそうに泳いでるのかなー?」



ざっぷーんと音を立て、師匠が泉にダイビングしてくる。って、あんたも素っ裸になったのか。私も成長したらあんなグラマーにまるのかな。邪魔そうだな、アレ。



「そうそうあんたの名前!決めたわ!小さい私だからティアミスよ。決定!」



「なんだそのケーキみたいな名前。ってかミスってなんだよミスって。私は失敗作か!」



「いーじゃない!語呂が良いのよ語呂が!私も長く生きてるけどこれは革命的ね!決定!はい決定!言っておくけどあなたに拒否権はないわ!あなたは私の眷属だし。私はあなたに対して命令権があるってこと!オーホッホッホッホ!!」



どうやらこの師匠は女神ではなく悪魔らしい。



「それにしてもティアミスちゃん可愛いわねー。流石私。ねえ、ちょっと触っていい。」



悪夢が忍び寄る。



「嫌だ。…ちょっとまってなにその手の動き。」



「フフフ、それえーーー!」



「キャッ。ちょ、そこダメ、どこ触って…あっ。」



「ここ?ここ?モミモミ。モミモミ。」



「やめてくすぐったい?!やぁっ!」



こ、このっ!



その後、抵抗を試みるも敵わず、滅茶苦茶にされてしまった。






あともう一つ。私はティアミスという名前になったが、師匠は後から自分の名前が入ってるのが少し恥ずかしくなってまた一週間が経つ頃にはあんたとかあなたとか呼ばれるようになった。なんだそれ。













読んでいただきありがとうございます。是非評価と感想をお願いします。今回でひとまず泉の森は終了です。次回から新しい内容へ入ります。

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