化学室
「失礼しまーす」
私は先生の後に続いて
化学室へと足を踏みいれた
化学室は薬品の独特の
匂いがする。
みんなはこの匂いが
臭いとか嫌だというけど
私はこの匂いが
嫌いじゃない。
先生は近くにあったいすに腰を下ろした。
私も先生につられ
向かい合って座った。
「迷惑かけてごめんな」
そう言って先生が
苦笑いをする。
「迷惑だなんて
思ってません!!
本当無理しないで下さい」私はそう言って先生を
見つめた……
静かな化学室。
こうやって先生と向かい合って話していると
ドキドキするな……
ドキドキと言っても
藤田と話しているときの
ドキドキとは
ちょっと違う気がした。
「梓ありがとうな」
そう言って優しく微笑む
先生…
私は先生のその笑顔を見てとても安心した。
「先生!!理科教えて?」
「は……?」
「わからないとこあって
教えてほしいんです!!」
そして私と先生との
勉強タイムがスタートした
本当はこのとき
私すごく緊張した。
先生といっても男の人…
二人っきりで男の人と
話すのは初めてだったから私わざと
話を反らしたんだよ……
「それじゃ私戻ります!
今日は
ありがとうございました」
あれから
30分は経っただろうか?
私は笑顔で先生に
お礼を言って化学室を
後にした……
「先生
元気そうでよかった…」
私は独り言を呟きながら
階段を掛け降りた。
「お、矢沢!!」
私が振りかえると
そこには……
「藤田…」
「お前
何ニヤニヤしてんだよ!!
変なの〜」
藤田はそう笑って
私を追い越して行った…
え……?
私ニヤニヤしてた?
恥ずかしい……
私は赤く染まった顔を
抑えながら
またしも藤田のことを
考えてニヤけてしまった。