第一話 三人の出会い
『まゆまゆ、そろそろこのゲームも飽きちゃったし、他のに移らない?』
友達から送られてきたチャットを見たとき、私はそれほど乗り気じゃなかった。
高校二年の頃から、勉強のあいまに楽しんでいたMMORPG「幻想奇譚グリムノア」――略して『幻グリ』。そこで育てたキャラクターはそれなりに愛着があったし、ゲームの勢いは最盛期より落ちていたけど、まだ活況が続いていたので、他のゲームを始めたいとは思っていなかったからだ。
だけど、受験を終えて、大学の入学式を控えた春休み、私には外に出る予定がなかった。
受験勉強に高校三年間を捧げたからというのは言い訳にできないけれど、卒業旅行をする友達もいなくて、『幻グリ』にログインすれば友達がいるというのは嬉しかった。私はぼっちじゃない、情けなくもそう思って安心できたからだ。
その友達が、ほかのゲームを始めるという。それなら私も、少しくらい触ってもいいかなと思い始めた。合わなかったら戻ってくればいいのだから。
私のゲーム選びの基準は、まずキャラだった。好みのキャラクターがいると、とことんはまる。だけどキャラが合わなければ興味を惹かれない。そして私は男性キャラよりも、かわいい女の子のキャラに惹かれることが多かった。
『他のって、どういうゲーム? 公式見てみたいんだけど』
聞いてみると、友達はすぐにリンクを送ってくれた。
「エターナル・マギア」。βテストを終えて正式サービスを始めたばかりのMMORPGで、キャラクターのデザインも私好みだった。
戦闘システムにPSがある程度影響するのも良かった。戦闘にゲーム性が乏しいと、大学から帰ってきたあとにプレイしていたら、寝落ちしてしまうことがありそうだから。
ページを見ているうちに、ゲームシステムや世界観のところまで手が伸びて、気が付くと15分ほど経っていた。公式の掲示板を開いて少し見ていたところで友達からメッセージが来て、その音で我に返る。
『どうだった?』
そう聞かれた私は、そこまでネトゲをやりこんでいない友達の方が先にこのゲームを見つけたことに少し悔しさを感じつつ、キーボードをかちかちと叩いた。
『すごく面白そう! 私もアカ作ってくる~』
『うん! ログインしたら連絡してね、会わせたい人がいるんだ!』
――そう言われたときに、少し失敗したかなと思ったけれど、すでにダウンロードしていたクライアント・プログラムのインストール画面を見ながら、ゲームが楽しそうならいいかなとぼんやり考えていた。
◆◇◆
―― Eternal Magia ――
エターナル・マギアのキャラクターを作って、初めてログインしたその翌日。
私は家族での朝食を終えて、シェットランド・シープドッグのココアと遊んであげたあと、自室のパソコンデスクの席について、しばらくログインせずに躊躇していた。
友達の言っていた会わせたい人というのは、最近できたばかりだという、彼女の恋人のことだった。
同じ学校の男子で、卒業式の後にメールで告白されて付き合うことになったらしい。彼に誘われて『エタギア』を始めたというだけなら、私はそこまで憂鬱な気分にはならなかった。
けれど、友達の彼氏がもう一人の男性キャラを連れてきていて、その中の人も同じ学校の男子だった。
――こいつ、今彼女いなくてさ。良かったら友達になってやってよ。
自己紹介もそこそこに、友達の彼氏にそう紹介されて、私はしばらく何を言えばいいのか分からなくて、考えた末に『ごめん、ちょっと家族に呼ばれてるから』とログアウトしてしまった。
(はぁ……カップルで始めたなんて聞いてないし、私をほかの男子に紹介するなんていうのも、相談してからにしてほしいというか、望んでないというか……彼女がいないから友達になってほしいって、やっぱりそういうことかな……どうしよう)
男の人に興味がないといえば嘘になるけど、今はゲームを純粋に楽しみたい。せっかく面白そうなゲームなのに、オフのことまで配慮しながらプレイしたくなかった。
その友達の彼氏が私に紹介してきた人は、同じクラスで、話したことはないけれど派手な交友関係のある人だった。
そんな人が、勉強とクラス委員の仕事くらいしかしてこなかった私に興味を持つ理由がわからない。友達は『今日はログインできる?』と聞いてきているけど、ログインしたら友達は彼氏のパーティに入っているので、私もそこに入らないと、付き合いが悪いと思われてしまう。
(それに私、自分の名前と絡んでるキャラ名つけてるし……マロン☆まゆ、適当につけるんじゃなかった……)
自分の名前の一部をキャラクターネームに使ったほうが、没入感がある。友達も自分の名前をもじった名前にしていたから、さほどこれまでは問題があると思わなかった。下手をしたら、友達が私の名前を伝えてしまっているかもしれないし、気にしても仕方がないけど――。
(……まあいいか、実際に顔を合わせるわけじゃないし)
作ったキャラをすぐに消すのもしのびないので、私はそのままログインすることにした。友達には私のログイン状況が伝わってしまうけど、「ちょっと一人でレベル上げするね」と連絡すればいい。
◆◇◆
エターナル・マギアの魔術系の職業はたくさんあって、私はそのうちの『黒魔術師』を選んだ。
ログインすると、ゲームの開始地点でもある『皇都パルテオン』のポータル広場に出た。ここのポータルを利用して、ほかの大陸に移動したりもできるらしい。
エターナル・マギアには5つの大陸と、3つの島国がある。私がいるのは世界地図の中心に位置する『レグナガン大陸』というところだった。
一つ一つの大陸が物凄く広くて、まだ未開のダンジョンがたくさんあるという。それでもまだ未実装のエリアが多く残っていて、運営はこのゲームで30年戦う気だともいわれていた。MMORPGが30年も続いたら、ギネスに乗ってしまいかねない。
私は開始時に持たされたお金で杖とローブを買って装備していた。友達はレベル上げのためにPLまでしてくれると言っていたけれど、こうなると彼女の力は借りづらいので、しばらく地道に進めてみることにする。
魔術師ギルドで初級魔術師はスキルを30まで上げられるそうなのだけど、スキルを上げるためには魔術を使うか、クエストをこなさないといけない。開始時にスキルポイントを振って黒魔術レベル1は使えるので、私はチュートリアルとして用意された薬草摘みのクエストを受けることにした。
皇都の外に出て、東の森に向かう。私と同じように初心者プレイヤーが歩いていて、前のゲームを始めたばかりの頃のことを思い出す。
「あ……なんかかわいいのが出た。フェイクラビット? うさぎじゃないの?」
画面に独り言を言ってしまう癖はなんとかしたい。こんなとき一緒にプレイしてくれる人がいたら、自分のことを変だと思わずに済むのに。
ラビットにファイアボールを撃ち込んでみると、二発で倒せた。しかしマナが減りすぎて、キャラクターが肩で息をし始める。
フェイクラビットの肉がドロップしたので見てみると、食べるとライフが徐々に回復するという効果だった。マナ切れは、座って回復するしかない。
(戦闘はキャラがよく動いて楽しいけど、ソロは大変……)
他の新人プレイヤーが数人で魔物を叩いているのを見て、私も混ぜてもらいたくなってしまう。友達の力を借りれば、今ごろクエストをゴールしていたかもしれない。
「……あ」
そうこうしているうちに、座っている私の近くに、男性のキャラが近づいてきていた。
◆ログ◆
・ガルガン太郎:こんにちは
・マロン☆まゆ:こんにちは
挨拶をされたので、オウム返しではあったけれど返事をする。すると男性キャラが一歩近づいてきて、アイテムを渡してきた。
◆ログ◆
・《ガルガン太郎》から「マナポーション」を差し出された。受け取りますか?
私が低レベルの魔術師だからか、事情を察してポーションを渡してくる。少し考えたけれど、私は厚意に甘えて受け取ることにした。
◆ログ◆
・マロン☆まゆ:ありがとうございます!助かりました!
・ガルガン太郎:どういたしまして
・ガルガン太郎:もしよかったらパーティ組みませんか
・ガルガン太郎:俺も始めたばかりなんで
野良でパーティを組むこと自体は、前のゲームでもよくしていた。助けてもらったお礼もあるし、正直を言って助かると思ったので、私は快諾の返事を入力する。
◆ログ◆
・マロン☆まゆ:こちらこそ、よろしくお願いします!
・ガルガン太郎:わかった
・ガルガン太郎:それじゃ、行こうか
・ガルガン太郎:呼び方、まゆちゃんでいい?
(……うーん?)
――そして薬草摘みのクエストを終えないうちに、『ガルガン太郎』さんが私にどこ住みかを聞いてきて、さらに音声チャットを申し込んできたので、私はマイクがないからと断ることになるのだった。
◆◇◆
私はネットゲームの楽しみ方を間違えているのだろうか。
相手が男の人だからといって、音声チャットを申し込まれたくらいで下心を疑うのはよくない。そう思うけれど、会ってから5分でそう言われると、どうしても身構えてしまった。
けれど私が理想とするゲームの楽しみかたをするには、どうやら女性であることは伏せた方がいいみたいだと思える。最初に声をかけられたあと、3人に声をかけられて、そのうち一人にまた音声チャットを申し込まれてしまったからだ。
(女の子かもしれないけど、話してみないとわからないし……自分の声を聞かせるのは、あまり好きじゃないし)
それならネトゲじゃなくてオフラインで遊べばいいと言われてしまいそうで、自分の社交性のなさが悲しくなってくる。
『彼女いないから友達に』という言葉さえなかったら、今ごろ違う楽しみ方ができていたかもしれない。私は別に魅力的な女性でもないのに、自意識過剰すぎて嫌になる。
(はぁ……やっぱり前のゲームに帰ろう。私には移住できなかったよ)
皇都に戻ってクエスト報告をしたら、ログアウトしよう。
――そう決めて、薬草を集め終えて帰ろうとしたときのことだった。
◆◇◆
・あなたは凶悪な魔物の気配を感じた……。
・《ダブルホーン》が出現した!
『ブモォォォ!』
ヘッドホンからイノシシのような声が響く。私のキャラの後ろから突如として現れたイノシシのようなモンスターが、こちらに突進してきた。
(えっ……ボスが出てくるとか聞いてない……!)
死んでしまうとデスペナルティで、持っているものをランダムで落としてしまう。私はマウスを操作して必死で逃げる――けれど、キャラの足が遅すぎて、イノシシがすぐ後ろまで迫ってきていた。
◆ログ◆
・《ダブルホーン》の攻撃! あなたは28のダメージを受けた。
二発で死んでしまう威力の攻撃。逃げきれない――私は諦めそうになる。
しかしその時、画面外からすごいスピードで走ってきたキャラが、私のキャラクターに向けてアイテムを使った。
◆ログ◆
・《ミコト》は「ミドルポーション」をあなたに使用した。
・あなたのライフが回復を始めた!
・《ミコト》の攻撃! 《ダブルホーン》に132ダメージ!
(助けてくれた……このキャラ、アサシン……違う、シノビ……!)
◆ログ◆
・《ミコト》は「当て身」を放った! 《ダブルホーン》に54ダメージ!
・《ダブルホーン》は怯んだ。
・ミコト:魔術師さん、今ですわ!
(っ……!)
くノ一の姿をした女性キャラクターの動きに見とれていた私は、ハッと我に返って、ファイアボールを敵に向かって撃った。
◆ログ◆
・あなたは「ファイアボール」を詠唱した!
・《ダブルホーン》に18ダメージ! 《ダブルホーン》を倒した。
・あなたのレベルが上がった! ボーナスポイントを3手に入れた。
短い断末魔と共に、イノシシのモンスターが消滅する。
ゲームの中のことだけど、あまりに急な展開で、心臓がドキドキしていた。少し落ち着いてから改めて画面を見ると、くノ一の『ミコト』さんが話しかけてきている。
◆ログ◆
・ミコト:危ないところでしたわね
・ミコト:これは罠クエストですから、イノシシにシビレ花を食べさせて
・ミコト:動きが止まっているところを逃げるのが正攻法ですわ
・ミコト:通りがかりで倒してしまいましたけれど、アイテムは差し上げます
私は薬草の近くに咲いていた黄色い花を無視して、薬草だけ集めていた。なるほど、と思いながら返事を打つ。
◆ログ◆
・マロン☆まゆ:ありがとうございます!
・マロン☆まゆ:でも、私は
・マロン☆まゆ:キャラを作り直すので、アイテムは
・マロン☆まゆ:良かったら持っていってください
・ミコト:黒魔術師から、別のジョブに変えるのですか?
ミコトさんは見たところ、私より全然レベルが高い。それなら、甘えることにはなるけれど、新キャラクターの職業について相談してみたいと思った。
男性キャラに作り直して、名前も変える。それは、気兼ねなくほかの人とパーティを組みたいから――私はもっと、このゲームを楽しみたいと思い始めていた。
◆ログ◆
・マロン☆まゆ:すみません、一つ教えてもらってもいいですか
・ミコト:はい、何でも聞いてくださいませ
・マロン☆まゆ:パーティの助けになる魔術系の職業って、何がいいですか?
・ミコト:白も黒も、精霊魔術師も育てれば強いですけれど
・ミコト:補助系が充実しているのは、法術士ですわね
・マロン☆まゆ:ありがとうございます
――法術士。序盤で使える魔術は黒魔術と共通のものもあるけれど、レベル2から大きく変化して、補助系魔法を覚えていく職業。
あまり前に出たくない私には、そういう職が向いているかもしれない。さっきの戦いでも、イノシシが近くに来た時、冷静さを失ってしまった。
◆ログ◆
・ミコト:では、このアイテムは預かっておきますから
・ミコト:新キャラを作って戻ってきてくださいませ
・マロン☆まゆ:いいんですか?
・ミコト:ええ、実は私、仲間を探していましたの
・ミコト:補助系職の方が入ってくれると、前衛、中衛、後衛で
・ミコト:最低限のパーティメンバーが揃いますわ
――もうひとり、ほかのメンバーがいる。
私は友達に誘われたときのことを思い出したけれど、もう同じことを繰り返すつもりはなかった。
次に作られるキャラクターは、私であって、私でない。ミコトさんのように、私もゲームの中では、キャラクターに個性を――命ともいえるものを、吹き込んでみたいと思った。
◆ログ◆
・マロン☆まゆ:ありがとうございます、ぜひお願いします!
・マロン☆まゆ:私、男性キャラに作り直します
・マロン☆まゆ:名前も変な感じになりますけど、お察しいただければ
・ミコト:はい、わかりましたわ
・ミコト:たくさん話しかけられて大変そうでしたものね
そのあたりから見られていたと思うと、思わず笑ってしまう。ミコトさんもきっと大変だろうけど、彼女は割り切ってプレイしているのだろう。私より、全然メンタルが強い大人の女性なんだろうと思った。
私はミコトさんのIDを教えてもらったあと、いったんログアウトして、新しいキャラクターを作成する。男性の強面のキャラクターというだけではなく、眉の形を、いわゆる『麻呂』っぽくしてみた。白塗りの顔だったりはしないけれど。
そして、つけた名前は……「麻呂眉」。マロン☆まゆと根本的に由来が変わっていないけれど、キャラクターの容姿にあっているので良しとする。これが「栗田繭希」からきているキャラ名なんて、友達でも気づかないだろう。
本当は女性キャラを選びたいけど、『萌え美少女好きの男子プレイヤー』としてキャラづくりをしてみようと思った。べたべただとは思うけど、自分のことを『小生』なんて言ってみたりして。萌え美少女が好きなのは、本当のことだけど。
法術士のジョブを選んで、私は再度ログインする――オープニングイベントのあとで、皇都のポータル広場からスタートする。
ミコトさんのIDを入力して、フレンド登録を申請する。すると彼女は今もログインしていて、すぐに許可してくれた。
そして、待っていると――くノ一のキャラクターと。
『村人』のジョブの、強そうな装備をした栗色の髪を持つ男性キャラクターが、私のところに近づいてきた。
私はあらかじめ考えていた『麻呂眉』のキャラクターで、挨拶をする。
◆ログ◆
・ミコト:麻呂眉さん、よろしくお願いしますわ
・麻呂眉:よろしく
・麻呂眉:小生は始めたばかりだけど、できるだけログインして
・麻呂眉:ふたりに追いつけるように頑張るよ
・ミコト:ええ、私たちも協力しますわ
彼はしばらく私たちのやりとりを見ていた。そして話が一段落するのを待って、私のキャラクターの方に自分のキャラを向けると、『お辞儀』をする。
私は今まで一度もそういった『感情表現』をしたことがなかったので、画面を見て同じことをする方法を探し、少し遅れてお辞儀をした。
ログウィンドウを見つめて、少し待つ。
そこに映し出された彼の第一声の印象は――自分を取り繕うことのない、素直な人のようだ、という勝手なイメージだった。
◆ログ◆
・ジークリッド:初めまして、ジークリッドと言います
・ジークリッド:食事以外はログインしてますけど、引かないでくれると嬉しいです
・ジークリッド:麻呂眉さん、よろしくお願いします
・麻呂眉:ああ、よろしく頼むよ
・麻呂眉:ジークリッド君、でいいのかな?
・ジークリッド:好きな感じで呼んでくれていいですよ
・ジークリッド:俺は麻呂眉さんって呼びます
・ミコト:麻呂眉さん、改めてよろしくですわ
ジークリッドは、パーティのリーダーだった。ミコトさんほど強いプレイヤーが下についているということは、村人なのにくノ一より強いということだろうか。
食事以外はログインしている、ガチ勢。私の強さでは彼――彼女かもしれない――に貢献することはまだできないけれど、パーティに加えてもらった恩をいずれ返すつもりで頑張らなければと、マウスを握る手に力が入る。
◆ログ◆
・ジークリッド:このゲーム、パーティ組むと経験値が増えるので
・ジークリッド:ほんとは6人パが最高効率なんですけど
・ジークリッド:3人でも1・5倍になるので、すぐレベル上がりますよ
・麻呂眉:二人が良ければ、小生も入らせてもらっていいかな
・ミコト:もちろん私はおkですわ
・ジークリッド:俺もOKというか、むしろこっちからお願いしに来ました
・ジークリッド:それじゃ、招待しますね
私のRPを当たり前のように受け入れて、ジークリッド君は即レスと言えるスピードで返事を打つと、すぐにパーティの招待を出してくれた。
◆ログ◆
・《ジークリッド》のパーティに招待されています。承諾しますか? YES/NO
・あなたは《ジークリッド》のパーティの一員となった!
フレンドリストに『パーティ』の項目が追加される。そこにジーク君と、ミコトさんの名前が並んでいる。
二人はまず私のレベルを上げようと、法術士の初級クエストをこなすために、二人にとっては簡単すぎるだろう東の森へと一緒についていってくれた。
それから半日、私は飲まず食わずでゲームを続けて、深夜になってようやく時間を確かめ、いったん離席して遅めの夕食を取ることになるのだった。
エターナル・マギアに最後にログインする日まで、私はジークリッドのパーティから抜けることはなかった。
人は私の選択を、間違っているというかもしれない。
だけど私は自分で生き方を選んだのだから、後悔することは絶対にない。
私は三人でパーティを組んだあの日、一日の冒険を終える頃には、ジークリッドとミコトと一緒にこれからも冒険し続けたいと思っていた。
――それは憧れ続けた異世界に生まれ変わってからも、ずっと変わっていない。