生き物づかん
二度目の登場人物紹介です。ちょっと長い?気のせいよ。前回カバーしていなかった魔物についても書かれております。このすぐ前の話を読んだ後ならネタバレにはならないはず。
装備について
服装 魔法使いが見た目でわかりやすいように選ぶ
マント
魔法使いの定番装備。フード付きで雨天にも対応。白っぽいタイプと黒っぽいタイプがある。昔は安いものが帆布、強度の高いものは毛織物で値が張った。
今は化学繊維や羊毛、他にもいろいろ混ぜて作られているので安く、強度もなかなかのものになっている。……一枚着るだけで、職務質問を受けることができる。
頭から背中、裾から背中に正中線に沿ってジッパーがついていて、裏地の脇腹に当たる場所にひもが付いている。これを使うとコンパクトにまとめることができる。
上着
これも白っぽいタイプと黒っぽいタイプがある。長いのが特徴だが、機動性を重視して腰までのごく短いタイプも今ではある。
長いものはくるぶしを隠すほど長い。ある程度の防刃性・防弾性があるようだ。その辺の服屋で手に入るようだ。この上からさらにマントを着るためであろうか、背側がメッシュになった夏用モデルも存在する。
ブーツ
丈夫な革製。負傷しやすいつま先部分に金属板が入った安全仕様。国内製で安心。
色々なタイプがあるが膝下までの長さであることが多い。足が蒸れるので五本指靴下、ハイソックス、ニーソックスのヘビーユーザーが男女を問わず9割を超す。
インナー
普通の服。Tシャツジーパンもたまにいる。国家直属魔導師などの場合は制服がある。
帯
分厚い。下手な刃物くらいは防ぎ切って見せる。ここにカバンや剣を装着していることが多い。背中側には杖を背負えるようにストラップがついている。
手袋
杖のささくれから手をガードしてくれるなどの働きがある。皮革製か合皮製。魔物の革でできたものもたまにあるがそういったものは高価で貴重。
けっこう分厚い。ちゃちなナイフ程度なら刃の部分をぐっと握っても防ぎきることができる。廉価なものならホームセンターでも買える。長さは手首から肘のあたりまで幅がある。
腕輪
金属製のものが一般に出回っている。魔力を補う効果などない。手袋を手に固定し、手首を保護するためのもの。蝶番がついていてぱかぱかと開閉する。コルヌタでは鉱脈があるのでオリハルコン製が比較的廉価だったりする。
免許
不携帯で捕まる。紛失しても大魔導協会の本部にデータが保存されているので届け出すれば再発行してもらえる。顔写真は果てしなくまじめな顔をしている。
IDもあり、顔写真が消えていたり年を取って風貌が変わっていてもバーコードをピッてすると何の仕事をした誰なのかわかる。
道具 長く使えるタイプの道具
カバン (ブラックボックス)
魔物の研究から生まれた大容量のカバン。外側は20センチ×20センチくらいのごく普通の滑らかな革でできたカバン。コロンとしたデザインがかわいらしい。使い込むとあめ色になっていく。製造方法は明らかにされていない。
内部には六畳一間くらいの空間がある。何を入れても重量は常に1,2~1,5キログラムというトンデモ発明品。セキュリティも充実していて、持ち主以外には開けられない。にも拘らず魔導師になると無料で大魔導協会がくれる。
ビバ、ファンタジー。
剣
色々な種類がある。日本刀みたいなのもある。魔物に襲われてもこれがあれば一安心?なのだが、コルヌタには銃刀法があるので刃渡り13センチ以上の刃物は所持・携帯してはならない。
ただし、魔導師など一部の職業の人には許されている。これを売る店もあるが、軍の基地の中で一般人は立ち入りを許されない。
銃
大体剣の項目と同じ。一般市民は持っているだけで罪に問われる。コルヌタの警察官は魔物対策のためショットガンを携行している。魔導師の持つ銃は軍部からの支給品であることが多く、弾を調べると誰が撃ったか大体わかる。
杖
免許制。材料は様々、形態も様々。2メートル以上あるものが多い。
血染めの杖
かつてイルマの師が使っていたもの。過酷な使用環境のため木製の柄が血を吸って真っ赤に染まっている。
ヘッドの部分の血は拭こうとはしたようだが染みついている。呪われていそうな外見に反し、魔力の底上げとコントロール性が抜群。
持っても呪われたりはしない。形態はピンホール型。バトルアックスとしても使える(?)ヘッドは鉛を仕込んだ鋼鉄製で、重い。はまっているのはガラス玉。柄の部分はタガヤサンで、このことは国家直属の魔導師に共通する。
封珠の杖
イルマが使っているもの。使用者の魔力の三分の一を吸い取って封じてしまうため質屋に二束三文で売られていた。それをさらに師が値引き交渉の末にただ同然で手に入れた。
形態はつめ型。封珠は謎の材質。それを掴んでいるつめはどうやらステンレスである。銀色は塗装。柄の部分は樫の木のようだ。
古びたメイス
ユングが使っているもの。性能はピーキー。知らない人が使うと暴発して死ぬくらいひどい。
籠の部分はイリジウムを仕込んだ鋼鉄製。金メッキがされているが光沢は失せている。籠の腕は六本。中心の宝玉はガラス玉。柄の部分はタガヤサン。ぶっとい。経年劣化で先端が摩耗しちょっと短くなっている。
バイク
白い三角がついてないのは二人乗りをしてはいけない。杖を背負って乗ることができる。搭乗者の魔力で動くタイプ、石油で動くタイプ、両方のいいとこどりをしたハイブリッドもある。免許がないと乗れない。
自転車
無免でも乗れる。移動が速くなる。杖を背負って乗れる。電動アシストもある。
自動車
免許がない人は乗ってはいけない。ガソリンで動く。電気自動車は一部の地域で試験的に採用されているようだ。
電車
公共交通機関。無賃乗車は逮捕だぞ!
消耗品
手榴弾
パイプ爆弾やガチャガチャのカプセルなど手作りの場合もある。
コルヌタの場合は自営業も国から斡旋された仕事の時は届け出をすれば配給を受けることができる。無料で10個まで、人間を一人爆殺する程度のかわいい威力のものが手に入るようだ。もちろん一般人が所持すると罪に問われる。
呪符
制作の難易度が高いので一部の企業が市場を独占しているが、一つ一つ手続きを確認して、慌てず急がず時間さえかければ割と誰でも作れたりする。
魔力が籠っていて、魔法陣を描き込むことで使う魔法を決定でき、破くことで魔法が発動する。ただし、人間の魔力にはある程度相性や傾向があるため、自分で作ったものを自分で使うよりは他人が作ったものを自分で使う方がよいようだ。
作っている企業はウチワ、ハシラ、コチニールの三つが大手である。それぞれ微妙に紙の質や魔力の質が違う。
神聖護符
教会で売られているが、神聖術師なら作れる。不思議な模様に祈りが籠れば紙はコピー紙でもいい。結界を張ったりアンデッド系の魔物から身を守ったりするのに使う。釘で貫いても籠った祈りが放出されるまでは使える。
チョーク
魔法陣をアスファルトの路面に描くのに便利。ビニール袋に入れて粉々に砕けば、ちょっともったいないが煙幕としても使える。人によっては手が荒れる。
人骨
死霊術師や召喚術師が持っていることが多い。地上と冥界をつなぐ魔力を補ったり、契約している魔物におやつとして与えたり、いろいろな使い方がある。
登録コードが死霊術師か召喚術師なら政府から配給がある。人間を火葬にすると手に入る。政府配給の出どころは身元不明の、いわゆる無縁仏である。
糸
言わずと知れたブービートラップの材料。武器としても使える。
しかし、扱いが難しいので今のところイルマ言うところの「あやとりが得意」な人は彼女本人くらいしかいない。強度がほしい時はテグス、通常の利用ならミシン糸。使い慣れさえすればとっても便利。
盗聴機
たった三文字で使い道がすぐわかるスバラシイ代物。
盗聴機発見機
科学的な何かでできた盗聴機であればこれで発見できる。壊れることを予想していくつか持っていることが多い。
剣士について
資格
とくにない。届け出さえすれば君も今日から剣士だ。
古流武術 御神楽
剣士自体にはピンからキリまであるが、最良とされるのが御神楽。これを極めた剣士は軽くチートになる。
しかし一人の弟子にしか教えない、修行途中での死亡率が78パーセントを超えるなど難がある。古色蒼然としたイメージに反し、色々な国家にスポンサーがあり、ここに秘伝書などがデータ化されて保存されている。
セキショウ流
女人禁制の流派。「剣を交えても、刃は交えない」が基本。相手の剣は決して自分の剣で受けない。鍔や持ち手の部分も相手の剣と当たってはいけない。剣以外の武器もそうだ。
どんな攻撃もすべて躱さなければならない……というわけで御神楽最速を誇った。御神楽の流派は基本的に漢字で表記されるが、セキショウ流だけはカタカナで表記される。
代々伝えられる見えない剣が特徴だが、誰にも認識できないので傍目からはラリってるようにしか見えない。
剣が認識できない理由は見る側の脳にある。どうやら、脳が認識しないだけで目には映っているらしい。触った感触ももちろんある。脳に認識されないだけだ。
レーダーにも映るしカメラにも撮れるが、映像は観測者の脳が認識できない。もちろん使い手にも多少弱まるものの同様の現象が起きているので、鞘から抜いたと思ったら抜いていない・剣を手にしたと思ったらしていないといったうっかりミスが時々あるようだ。
実際、誰も存在に気付かないまま最後のセキショウとともに火葬にしてしまったようで、剣は紛失している。
免許皆伝者は伝統的にセキショウと名乗る。最後のセキショウに弟子がいないまま彼が死んだので事実上断絶し、似た武術が生まれることを願って世間に詳細な情報を公開した。
楼蘭流
身体が柔軟でないと身に着けられないので本来は女性にしか伝えられないが、最新の免許皆伝者は男性だったようだ。
優美な名前に反し御神楽最強を誇る流派。使用者の身の丈を三倍した程度の巨大な鉄塊に刃と柄、鍔が付いたような形状の刀を使う。
無駄な動きが異常に多い。日常の動作も、武術を極めた人間のそれとは思えない。しかし記録によれば神すら斬って見せた。
3歳以下の子供しか弟子にとらず、他の流派のセオリーと異なり何人でも弟子に取るのが特徴。弟子に取られたものは深い山の中へ連れて行かれ剣の他にはほとんど何も教えられない。
さらに免許皆伝をしない限りその山の中から出ることはない。「剣の上に貴賎なし」が基本で、免許皆伝を成し遂げた証に自分以外の弟子と師匠を斬殺し、その首を手に山を下りる。代々ロランと名乗っている。
最新のロランが断絶を表明したため詳細な情報が世間に公開された。
水仙流
刃のない細長い針のような刀身と傘のように大きく広がった鍔のある剣を使う。基本女子のみを弟子に取る。免許皆伝者はシセンと名乗るようだ。現在も存続しているため情報は公開されていない。
竜胆流
何本かのやたら刀身が太った形の鏢を使う。一応剣士に分類されている。御神楽最器用貧乏と言われる。後継は女子のみ。免許皆伝者はリンドと名乗る。現在も存続しているため情報は公開されていない。
コルヌタ王宮剣術
王家にのみ口述で伝えられるレイピアを用いた秘伝。変則的な動作と偏執的な合理性が特徴。時々剣を剣として扱わない。
もちろん伝える王家がおらず、書物にも残っていないので消えている。口伝であり、その時代ごとに対・騎兵、対・魔術、対・銃など型が大幅に変形しているため御神楽のような古流武術と並べて語るのは不穏当。
もどきを使う剣士はたまにいる。
地名
サイバハラ
第三次世界戦でコルヌタと隣国であるチュニ公国との主戦場となった場所。コルヌタの領土の最西端。土地が痩せた荒地で、魔物すらあまりいない。古くから戦場としてはうってつけだったため、荒地に有刺鉄線などがまだ落ちている。
サガミル湾
コルヌタの領海。魔界側にあり、帝都からも近い。
イルマ以外にも、ガラの悪い連中でなくても、何かあった時の売り言葉に買い言葉で「サガミル湾に沈める」「ドラム缶の潜水艦でサガミルに行ってもらう」などの言葉が使われる。
水深は一番深いところで5000メートルと記録されている。貴重な深海魚や海棲の魔物が生息する世界有数の場所。
アサギ村
田舎。都市部へ若い人が流出して年寄りだらけになっている。かつては優秀な民兵団がいて、サラマンダーが三頭くらい来たとしても仕留めて見せたが今や皆老人、ハネツキトカゲの三倍体ですら撃退できなかったようだ。
帝都
コルヌタの首都。正式名称が帝都。「京都」みたいな感じで。
ユカカ市
帝都の中心部たる政令指定都市。自営業な魔導師たちの激戦区。心臓部に向かうにつれビル街が多くなり、緑が減り、空気がよどむ。……あれーどっかで見たようなー……。
トトナ区
ユカカ市の一部。南東部の一部。山だらけでユカカ市53区のうち利用可能な土地が最小面積を誇る。中心部とはかなりさまが違い、一戸建てが多い。駅周辺には小さめのビルがある。
ハクトウ町
トトナ区西南部。イルマのシマ。おかげで周囲に魔術師はほとんどいない。実存とその弟子に駆逐されてしまったようだ。
朝顔ビルヂング
事務所。元は23年前雑居ビルとして建てられた四階建てのビル。現在はイルマが住居兼事務所としている。
一階部分はガレージ、地下には倉庫がある。二階部分が事務所、3・4階は住居として使用。鉄筋コンクリート製の、外側がちょっと黒ずんだ薄汚れた建物で玄関前には「朝顔ビルヂング」の文字が入ったプレートがかかっている。
魔物図鑑
ウンディーネ(旧)
言わずと知れた水の乙女。メスの個体しかいない。美女ぞろいな上にそこそこ強力だったが、ヤンデレというよりメンヘラの気があった。
その上人間に惚れっぽく、人間の男と恋に落ちる、男が浮気する(したと彼女が思い込んでいるだけで実はちょっと話しただけという悲しいパターンも存在)、男を殺して自分も死ぬ、のサイクルを繰り返して滅んだ。
最後の個体が死んだのが1000年前で、混血人類の中にもほとんどその残滓は見られない。
ウンディーネ(新)
言わずと知れた水の乙女と同じ名を与えられた、一種一体の魔物。(旧)とは完全に別物。
魔物としては初となる人間の遺伝子を抑える遺伝子が入ったタイプ。当初は人間を減らす目的で作られたため、伴侶が人間なら次に生まれてくるのはウンディーネのはずだった。
身体が水でできているため物理攻撃が無効、光合成をするので食事不要など特性が多く、めちゃくちゃ強い。
浮気を嫌うところは(旧)を踏襲しているが、男は殺しても自分は死なない。
サラマンダー
炎を操る魔物。しかしおつむが残念なため、多くは火を口から吹くことしか知らない。知性はあって中型犬、一般的にはネズミと同格。
前足が変化して蝙蝠の翼のような器官になっており、これで空を飛ぶ。頭には角が10本前後生えている。長い尾がある。体長は25メートル前後。馬と同じかそれ以上の速度で走る。上空から獲物をめがけて舞い降りるときの速度が時速250キロを超える。
神聖大陸のものはそんな感じだが、コルヌタと魔界のサラマンダーはさらに尾の先に毒のあるとげが生えた瘤のようなものを持つ上まともに聞くとしばらく動けなくなるくらいのものすごい咆哮を放つ。
体長も二倍あり、凶暴性はおろか俊敏性も増すのでもはや別の種類なのではないかとさえ言われている。通常種は赤い体色。
縄張りを張る習性があり、巣に近づきすぎると尻尾を地面に打ち付けてタンタンタンと音を出し、警告を発する。
これが飛ぶためには翼の筋肉が弱すぎる上に翼の面積が異様に広く、長いことどうやって飛んでいるのか不思議だった。しかし最近になって飛ぶ前に火を吹いて地面を熱することがわかった。
熱した地面からの上昇気流に乗って高度を取り、そこからはたまに火を吹いて、ほとんど羽ばたかずに滑空しているようだ。
翼を切ると飛べなくなるため、広めの地下室でもあれば飼育可能。飛空に多くのエネルギーを使っているので、室温を下げて冬眠に近い状態にしておけばエサ代もかからずお手頃。
神聖大陸ではたまに現れて災厄とすら言われる脅威だが、コルヌタには常時生息している。
他の国ではまず食べないが、コルヌタでは食べる。味は鶏と豚を足して二で割った感じ。翼の皮膜は細切りにして刺身や焼き肉にし、肉は様々な料理に利用、目玉や内臓もホルモン焼きにする。残った骨もコトコト煮て出汁を取るので捨てるところがない。
シルフ(旧)
風の妖精。警戒心が非常に少なく脆弱だったため他の魔物の絶好のカモになったうえ美しい羽根を目当てに人類にも乱獲されて滅ぶ。疫病を媒介したなどの伝承もあるようだが詳しいことはよくわからない。
シルフ(新)
魔神が新たに作った一種一体の魔物。天候を支配する、真空を作り出すなど本物のチートだがなぜか極度のビビりに育ち、現在魔王マクベスとして魔王城に引きこもって生活している。なので城の中にしか彼の領土はない。干渉もしていない。
やってきた勇者を姿も見せず一撃で屠るなど恐ろしい実力の持ち主だが、あまりに引きこもり生活が長すぎて人類は存在を疑いだした。でも、いる。いるのはいる。
ノーム
かつて滅びた魔物。人類と混血が進みすぎて純血のノームがいなくなったことと、人間のある遺伝子が魔物の遺伝子を抑え込んでしまったことが絶滅の原因。まれにノームの半人が生まれるが、背が低めなこと以外普通の人と何も変わらない。
ドワーフ
ノームと大体同じ理由で滅ぶ。
鍛冶製鉄に秀でていたとの伝承はあるが、これまたたまに生まれる半人は根暗の気こそあれ、これといって手先が器用などの特徴はない。このことを参考に考えてみると、種族そのものが鍛冶製鉄に秀でていたわけではなく、本人の努力及び技術が代々伝えられていたということらしい。
エルフ
前述の二種と同様の理由で滅ぶ。森の中に住んでいて耳が尖っている以外普通の人。魔法が得意と言えば得意だが、魔神信仰のおかげであって向いているというわけではなかった。
美男美女ぞろいだったりしない。ただ外交の場には必ず美男美女を選ぶ習慣があったようだ。肌の色で大雑把にダークエルフと通常のエルフに分けられる。ゆえに半人も耳が尖っているだけ。
森の中に住んでいる分ゲリラ戦法が得意だったようだ。ブービートラップを配置したり、抜け穴を大量に作ったり、竹やりの先に犬の糞を塗って傷が化膿するようにしたり、まさに異世界版のベトコンである。枯葉剤なんかがあったらまずかったかもしれない。
オーク
くっころ女騎士のおかげで滅びた。野蛮で下卑な豚に似た種族。混血人類の多くはこの遺伝子をどこかに持っている。オークだけに。ごくまれにこれの半人が生まれるが普通の人。案外、人間に近い魔物だったのかもしれない。
ゴブリン
今でもいる戦闘的な種族。知性は小学生レベルなので魔族には入らない。くっころ女騎士のおかげで混血人類にちょこちょこ遺伝子が入っている。
純粋人類は敵とみなし襲い掛かってくるが、混血人類を前にするとちょっと悩む。悩むが、すぐ襲い掛かってくるのでイーブン。またごくまれにこれの半人も生まれてくるが頭髪が薄くて背が低いこと以外ゴブリン要素がない。
ドラゴン
言わずと知れた最強の魔物。知性が高いため魔族のカテゴリ。今でもあちこちで目にすることができる。その背に英雄や魔王を乗せることが多いが、どうもこれはもともと魔神の乗り物として創造されたためらしい。
乗り心地は、慣れれば悪くない。慣れていない人やガラスの三半規管を持つ人は嘔吐必至。
ツンドラなどに住むホワイトドラゴン、熱帯の常緑樹林に住むグリーンドラゴン、火山地帯に住むレッドドラゴンetc、パッと思いつくような感じの奴らがいる。宝を守っていることもある。たまに。
ドラゴンの半人は多い。おそらく人間の持つ魔物抑制遺伝子の影響を比較的受けにくいのだろう。コルヌタの王家はゴールドドラゴンの血を引いていたという。初代の王は龍鱗を必要に応じて生やせたという。
しかし近代になるにつれ血は薄まり、その性質の発現する場所、発現する性質はどんどん狭まっていった。50年前にもなると発現部分はプラチナブロンドだけである。
さすがに全身を仕留めた記録はないが、尻尾を切り落とした者はいたらしい。食レポがコルヌタに残っている。「美味だが肉質が硬い。高齢者や小さなお子様は絶対に食べないように」などと書かれている。
おすすめの調理法は薄切りにしてからのしゃぶしゃぶ。ポン酢が合う。
ゲラダ
姿と言い角と言い大きさと言い、サイに似た魔物。どこにでもいる。相手が何であれとりあえず突進してくるうっとうしい生き物。角は美術品として古くからボルキイで人気がある。
オオツノゲラダ
サイに似た魔物、ゲラダの亜種。小型の象くらいの大きさになる。角も当然、大きくなる。さらにゲラダにはなかった骨の鎧をまとう。肉は臭くて食えない。
角や骨の鎧はボルキイなどの国で美術品として人気だが、両方コルヌタではおいしく食べられる。角はコトコト煮込むと牛筋に似た味と食感になる。骨の部分は軽く焙って塩を振り、お父さんのおつまみにどうぞ。
もちろんそんなことを神聖大陸でやると見ている人が発狂する。
なお、コルヌタで魔物をよく食べているのは何も悪食趣味があるからではない。国土が狭くて魔物だらけで牧畜に向かないため肉類を輸入に頼るしかない。それで家畜の肉より安いからである。
ハネツキトカゲ
言葉通り羽がついて飛ぶトカゲ。魔物であり、トビトカゲという実在の爬虫類とは異なる。人間が発する魔力などを感知していっぱい集まってくる。弱いけど、めちゃくちゃ数が多いのでうっとうしい。やっぱりコルヌタでは食用。
ワイバーン
飛龍。前足が翼になっていて、これで空を飛ぶ。初歩の風魔法なら使ってくることがある。ただし、おつむが残念。
先述のサラマンダーよりスリムな体形をしていて、翼も筋骨隆々。羽ばたいて長距離の移動が可能。大体どこにでもいる。魔界に近づくほど大型種や突然変異種が多くなる。毒を吐くくらいのことは想定される。
コルヌタでは食用として多くの家庭に饗される。味はサラマンダーと似ているが鶏より。動くものを見ると追わずにはいられないッ。
ホビット
足裏に毛が生えている以外普通の人。早期から混血が進んだためとっくに滅んでいるが、その残滓は人類に残っている。たまにこの遺伝子を発現させて生まれつきのニートが生まれる。足裏に毛は生えていない。
アラクネ
今でもいる魔族。でかい蜘蛛から人間の上半身が生えたような見た目。オスよりメスのほうが数が多いが、何かあってオスがいなくなると何体かのメスがオスに性転換をすることが知られている。
洞窟の奥などに巣を張り、獲物を待ち構える。一部混血しているが、人間も彼らの獲物なので、出会ったら人間に似た姿かたちに惑わされず回避行動か殺虫剤でもまくのがよろしい。
肉に毒が含まれているため、ぐずぐずに煮溶かしてからでないと食えない。もちろんこんな状態のものを食べようって人もいない。
アラクネの半人は尻から糸を出す。以上。
ツチノコ
UMA。存在はまことしやかにささやかれるものの、実際に捕らえられたことはない。
トロール
網ではない。2~3メートルの巨体。人語を介さず、凶暴だが愚鈍なのでコツさえ覚えれば誰にでも倒せる。肉は臭みがあり、食用には向かない。
ワーム
手足のない長い蛇のような大型の魔物。森の中・洞窟の奥などに生息し口から毒を吐く。ちょっと見るとドラゴンにも似ているが、知性はない。
身体が極めて柔軟で、尻尾を刺激すると体を反転してとびかかってくることもあるという。神聖大陸では珍しい魔物。コルヌタにはいっぱいいる。毒袋と鱗さえ除けば食べることができる。すき焼きにすると旨い。
ハチェットビー
蜂に似た魔物。洞窟など暗いところに生息するが、生態系で占める位置は完全に蜂。見た目もでかい蜂。小型犬ぐらいの大きさ。
幼虫の眉間のあたりに巨大な隆起があり、成体になるとこの隆起が斧の刃のようになる。これを使っての集団通り魔戦法が厄介だが、どこぞの弟子には一瞬で焼き払われた。
全長20メートルを超える巨大な巣を作ることがある。この場合の巣の中には上位個体がいっぱいいる。
蜂の子がおいしい。肉食なので蜜は期待しないほうが良い。
サキメウオ
魔物だが、普通の魚に近い。味はまさに脂ののった魚。おいしいが、餌によっては人間に消化できない脂を含むことがあり、この場合食べたものの意志に関わらず尻の穴から脂を垂れ流す羽目になる。見た目がキモイ。
大蜘蛛
蜘蛛っぽい形の下級魔物の総称。大きさは中型犬から三階建てのビルまで。総じて炎に弱い。硬い殻をもつが、装甲の隙間を狙えば柔らかい。巣を張っている場合ちょっと厄介。
仲間を呼ぶものや特殊な糸を出すものなど、色々な種類があるが、模様や肢の形状といった細かな特徴で分けられているため実際に遭遇した場合、見分けはほとんどつかない。見分ける必要もあまりない。魔物には感覚で何という種類かわかるらしいのだが……。
肉には毒がないので問題なく食用にされる。カニに似た味がする。
吸血鬼
血を吸う魔物。人間を仲間に引き入れて吸血鬼にしてしまうこともある。基本的にはあまり増えず、古城などに引きこもるように生活している。寿命がないうえ人間より身体能力が高いが、異様に弱点が多いのでハンデになるほどではない。
まず日光、特に紫外線に弱いので日中外を歩くことができない。灰になる。日焼け止めと長袖でいくらかは軽減されたそうだがやはり長時間外を歩くと肌が侵されてしまう。
次に、中にいる誰かに招き入れられないと部屋に入れない。中の人が寝ていたり、入れてくれなかったりすると中に入れない。中に誰もいませんよの時は大丈夫。
さらに、豆をばらまかれると数えずにはいられない。朝まで数え続けて消し炭になってしまった不幸な事故が報告されている。結び目も見かけると解きたくなってそわそわし始める。
四つ目に、流れる水を渡ることができない。飛行機など、水にさえ触れなければ渡れるようだが、流れる水に触れると力が抜けてしまうらしい。だから手を洗う時は水を洗面器に溜めてから洗っている。とっさに洗えないためだろうか、アルコール系の消毒剤を持ち歩くことも多い。
五つ目に、一定時間以上人間の血を吸わないと重度の貧血を起こして倒れる。通常の食事は必要ないが、それは栄養分を得られる道が一つしかないということなのかもしれない。飲んだ血によっては体調を崩すこともあるという。
六つ目にニンニクやニラ、ショウガ、ネギ、セロリなどの臭いに弱い。嗅覚が鋭いせい。油性ペンを密閉した部屋で使っても酔うという。
現在は博学であることを利用して大学や研究室にいる。しかし教授だった場合、餃子やラーメンを前日に食べた学生を教室に入れないなど困った側面も多い。
第二次登場人物紹介
オフィーリア
魔神コールによって作られた一種一体の魔物。ウンディーネという種名を与えられてはいるが、その名にイメージするような弱弱しさや幽玄さはまったくない。
一体しかいないのは彼女が選んだ伴侶が(本人と周囲はそう認識していなかったが)人間ではなかったことによる。人間の少女を模した姿を取ることもできるが、伴侶の死を境にぽっきりやめた。
喜ぶと全身に生えている荊に青いバラの花が咲く。実年齢87歳のボクっ子。身長は160センチメートル前後、体重は同じ体積の水と同じ(重い)。
髪の色・灰褐色(人に擬態していないときは髪などない)
肌の色・平均的(本来は皮膚もない)
目の色・群青(本来は目は暗い穴)
好きなもの・チーズケーキ、トマトジュース(味覚がないから味はわからない)
嫌いなもの・浮気(なお、伴侶に浮気するほどの甲斐性はなかった模様)
主な悩み・父親が引きこもりネトゲ廃人、娘の婿の父親が変態、娘夫婦は不注意で死亡、夫は見え見えの死亡フラグを立てて死亡。
夫の遺産が広大なトマト畑と農業用地と前科者だらけの領地、孫は変態を受け継ぎ、振り返るとろくな人格の者が自分の縁者にいないことなど。
セキショウ(故人)
珍しく純粋人類だった。出身はボルキイ。
どこにも剣はないのだが、なぜか物が切れる。体内に魔力が一かけらもない特異な存在。御神楽という神聖大陸の古流武術の流派の一つ、セキショウ流の最後の免許皆伝者。と言っても免許皆伝者は皆こう名乗っている。辮髪っぽい髪型。
その昔、仲間だった某トマト農家に首飾りにしていたオオツノゲラダの角の細工をコトコト煮込まれて夕食にされ、泣く。その後すぐ本人に同じ素材で食事のついでに細工を作って渡され、泣く。好きだった女性を同じトマト農家にかっさらわれ、一度は祝福したものの家に帰ったのち号泣する。
こうしてトマト農家最強説が生まれた。
身長は155センチメートル(ただし、靴を履いた状態)で体重が60キログラム前後。享年57。
髪の色・黒
肌の色・若干色白気味
目の色・灰色
好きなもの・ぶり大根、ビーフストロガノフ。両方ボルキイ発祥の郷土料理。煮込みたいらしい。
嫌いなもの・牡蠣。当たったから。死因でもある。
主な悩み・ラリってる人の扱いをされる。背が低いから子供と思われる。……魔法使いじゃないけど、魔法使いになってしまったこと、一生独身など。
ヒア
女神。他にも女性の神はいるが、女神という名で呼ばれるのはこの存在だけ。
かつて人間や、その他の生物に進化するであろう有機物を原初の地球に蒔いた。そのあとは自由意思を尊重して放置。
上品で柔和で奥ゆかしく、理想的な女性像そのものだったはずだが現在は発狂していて、女の形をした肉塊とまで言われる。こんな状態ではもちろん人間界を管理などできないので人間界は放棄したことになった。
しかし、発狂の事実は下界に伝えられていないので、人間はいまだに彼女が人間界を放棄しただけだと思っている。
身長・体重などは本人が随意に変えられるらしい。他に、勇者などの伝説に関与しているようだが、本人の言動にはこれといって意味がないし、神々はとち狂ったお姉さんのすることなので一切認知していない。
その性格上、まともに話したことがあるのが創世三神のメンバーだけなので発狂した理由など、不明なままだ。
髪の色・白
肌の色・色白
目の色・黒
好きなもの・わからない
嫌いなもの・わからない
主な悩み・何かに悩んでいた様子はあったようだが、不明
アクト(故神)
天帝。天界を作り、死後の世界、天使、鬼などを作り出した。
女神の恋人で、神々を統率する役目だったはずだが親友のはずの魔神に殺されたようだ。天使たちにより蘇生に成功するも、意識が戻らず脳死の判定が出ている。
しかし天使たちには寿命がある上に男性か無性しかいないため、常に新しい個体を供給されなければやがて絶滅する(鬼には寿命が設定されていない上に男女両方がいるので勝手に増える)。
これを危惧した天使たちにより生命維持装置につながれ、頭を開かれて天使製造機と化している。
魔神のようなストイックなタイプではなく、むしろ若干チャラい。
髪の色・黒
肌の色・色黒寄り
目の色・青
好きなもの・酒と女
嫌いなもの・不潔な野郎
主な悩み・統率なんて向いていないこと。
ニーチェ
天帝だった物体を使って新たに作られた新鬼。やたら態度がでかいが座右の銘は「有言実行、むしろその斜め上」。鬼としては初となる魔法主体の個体だが、まだ本編では一度も魔法を使っていない。
青年のような姿かたちをしている上に家事をこなすが、免疫が弱かったり主食が人口乳だったり昼寝が必要だったり実質零歳児。
唐突に焼酎の良さについて語りだしたりスルメを焙るのがやたらとうまかったり、ところどころおっさんくさい。面倒見がいいが毒舌で残虐性がある。性格も極めて悪い。
角抜きで身長180センチメートル、角ありで体重92キログラムくらい。
髪の色・濃い金
肌の色・きわめて色白
目の色・藤色
角・長い、太い角が額の左端から一本だけ生えている。
好きなもの・コーヒー、焼酎(米)、酒盗、ミネストローネ。
嫌いなもの・とくにはない
主な悩み・夢見が悪い、まだ今の体に慣れていない
ラッセル
最後に実存の魔導師を暗殺しに来た情弱暗殺者。ドジっ子属性と天然を併せ持つ。性格は悪くないのだが、いかんせんタイミングが悪かった。正義で突っ走る猪突猛進タイプ。
その後政治家を志し、現在はボルキイの大統領となっている。愛称は「絹ごシデント」。大丈夫なのかボルキイ。美人の奥さんがいて、全く彼に似ていない息子が三人いる。大丈夫なのかラッセル家。
髪の色・灰色
肌の色・色黒
目の色・緑
好きなもの・絹ごし豆腐、プリン
嫌いなもの・高野豆腐。あの硬い食感が無理。
主な悩み・今はない。充実している。
グラバー
オニビの血のつながった父親であり祖父であり祖先のサラマンダー。知性はないが1000年以上は生きており、800年くらい前までは近隣の村人たちを恐怖に陥れていた大物。
ある時捕えられ薄い本的なシナリオに従って半魔の制作に用いられる。オニビが生まれてからはコントロールが可能になったため農作業に駆り出される。その後オニビに魔界へ連れて行かれた。
翼の皮膜が切られているため空は飛べない。尾の先端のスパイクも切り落とされている。しかしまだ生きている。
オニビの領地で農作業に駆り出されたり、領地近辺の魔物の頂点に君臨したりしている。なお知性がないためオニビの死は理解できていない模様。
実はこの話に出てくる誰よりも充実した時間を過ごしているのかも?
体色・鉛色(変異個体)
目の色・黒
好物・トマト
何回も言われているけど意味がまだ分かっていない言葉・バケモノ
相馬 剛志
異世界トリップしてきた日本の高校生。成績、まあまあ。運動神経、まあまあ。家族構成、普通。義理の妹とか幼馴染の女子なんかいない。教室では空気と同化している。担任はおっさん。
異世界トリップからの俺TUEEEE、ハーレムといったお約束の流れに否定的な向き。しかしトリップしてきてしまった。自家撞着だ。
髪の色・こげ茶
肌の色・色黒寄り
目の色・こげ茶
好きなもの・肉
嫌いなもの・あまりない
主な悩み・影が薄いこと、お腹が弱いこと
メンゲレ
公務員。甲種の魔導師。通称脂肪の塊。子供がいっぱいいるが、実子は三割くらいであとは皆、養子。なぜか双子ばかり集まる。
風の魔法を得意とし、オゾン層に一時的に穴をあけて敵に致死量の紫外線を浴びせる必殺技を持つ。その間、自分はオゾンのバリアを張って身を守る。長いこと彼だけの魔法だったが、実存にコピーされる。
身長と体重は言いたくない。
髪の色・茶(つるつるに禿げている)
肌の色・色白なほう
目の色・黒
好きなもの・双子、海水浴
嫌いなもの・実存の魔導師
主な悩み・メタボ、ハゲ、おっさんの三拍子が揃ってしまったこと。きっと何か起きる。
ロラン
楼蘭流の最後の免許皆伝者。百歳を超えているはずだが見た目は50歳程度と若い。純粋人類。
住所不定無職、コルヌタをうろついている。高架下や公園にいるのを探し出して料金さえ払えば剣士として働いてくれる。また、甲種の魔導師や各国の権力者に人脈があり困ったことがあると気軽に電話をかけてくる。
妙に若いのは50年前、革命の英雄の一人だった幼女の呼び出した死の神を一刀両断したため、死に嫌われたのだとまことしやかに囁かれる。さらに裏付けとして、風呂に入ると若返り、入浴時間にもよるが20歳前後の姿まで若返る。水分のせいだと本人は言う。
母親が先代のロランで、流派のセオリーに反し子供を産んでしまったから子供に後を継がせたということは知られていない。身長184センチメートル、体重89キログラム前後。
髪の色・ピンク
肌の色・色白
目の色・紫
好きなもの・盆踊り
嫌いなもの・地道な努力
主な悩み・風呂に入ると確かに若返るけど、体力まで若返るわけじゃないから毎日筋トレをしなくてはならないこと。