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病み魔法使いの弟子  作者: ありんこ
守ることとは
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同音異義

 お久しぶりです。新生活が意外に難敵で更新が遅れております。正直今までの見積もりが甘かったのかなーと、自分をセメタリーしております。

 しかし先日二枚目の挿絵を貼りました!『いんくるーでっど!』にいんくるーどしております。まだまだ拙いところもありますが頑張りました。お時間など差支えなければぜひ見て行ってください。

 今回はなんと、ありんこ初のカラーイラストであります。

 背後から足音が近づいてきた。おっ、腹痛王子のお成りだ。のっそりイルマの隣に腰を下ろす。いつも通りだが彼女ができたと言われて見ると心なしか以前より距離があるのかも?

「先生、晩御飯はおなかに優しいやつがいいです。あったかいやつをぅう……」

 眉をハの字にして泣きついてきた。いつも通りだった。いやいつもより情けなくなっている。ため息しか出ない。先が思いやられる。

 もっとこうあるだろう、ユングよ。大人の階段上ったんじゃないのかお前は。いや、まだなのか?その段階には到達していないのか?しかしだとするとあの日の肉まんは――。

「おぅおぅおぅ……」

「ちょっ、重いよ」イルマの答えが返ってこないのをどうとったのか、ユングがこっちへ倒れてきた。ちっ鬱陶しい。私は今肉まんと肉マンの関係について考えたいんだ。うりうりと向こうへ押しやる。

「どうせ君の不摂生が原因なんだろ、知らないよ!」

「先生冷たいですぅ……僕のお尻の穴の命運は先生にかかってるのにぃ!」

「何それ汚い!ヤダ!」

 そんなものを託されたつもりはない。そういうセリフはおホモだちに吐いてくれ。そしてこっちへ体重をかけないでくれ。

「何でそんなこと言うんですかっ!僕は真面目に言ってるんですよッ」

「真面目なのかよ!?もっと別のものに使えよ!重い!どきな!」

 ちらっと見るとカミュは顔を真っ赤にして腹を抱えて悶絶していた。笑いが止まらないらしい。ユングめ、私にだって羞恥心はあるんだぞ。

「だっておじいちゃんが!『お尻は一生ものだから大事にしなさい』って!言ってたんですよ!指示としてはいのちだいじにならぬおけつだいじにですよ!?」

「それ絶対違う意味で言ってる!下痢で痛めるとかそういう生ぬるい意味で言ってないよあの人は!」


「え?ちょ、フロスト、お尻って」

「私が馬鹿だった」

「えっ」

「察して……深く聞かないで」

「……泣いていいよ」


 遥か天上から夫婦漫才ならぬ兄弟漫才が聞こえたような気がしたが耳を傾ける余裕はなかった。ユング重い。つぶれる!かくなる上は実力行使で吹っ飛ばすか。格闘ゲームのコマンドで言うと『溜』の姿勢に入った、その瞬間だった。

「うっ」

 突然ユングがそんなうめき声を発した。急降下が起こったようだ。見守っているとよろめくような足取りで、しかし急いでトイレへ去っていった。

 男の人ってお腹壊したりしにくいイメージがあるのだが、どうもヤツには当てはまらないらしい。やれやれ一件落着か。ついでながら、かわいそうになってきたので夕飯のリクエストは採用することにする。

 カミュはまだ笑い転げていた。咳払いをして話に戻る意思を示す。

「お、おうすまねぇな。何の話してたっけ?」

「お猿さんは何で木から落ちたのかなって話だよ」

 嫌なことは引きずらない質だが、さっきの今である。目つきがいつもより冷たくなっていたかもしれない。カミュはまぜっかえしたりはせずすぐに本題へ入った。

「猿か……ホモサピエンスだな。別に条件が悪いわけじゃあねえんだよ。いや、ある意味悪いんだが」

「どっちだい」

「一般的な意味で条件はいいんだ。ある一点を除いて異常にいい。休憩もとれるようになってるし、飯は出るし旨いし、アレルギー持ちは申告すれば対策してくれる。俺も覗いてきたが素晴らしかったぜ。公務員やってる自分が空しくなったぜ」

 ほうほう。そばアレルギーを上司に覚えてもらえなくて死にかけたとはいえ天下の公務員様にそこまで言わせるとはなかなかではないか。つくづくと頷いて、水道水を一口飲む。

「で、唯一の欠点とは何かね?」

「出るんだってよ。お・ば・け」

 ニヤリと胡散臭い笑みでそう言った。

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