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病み魔法使いの弟子  作者: ありんこ
持ち込まれた大釜
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冥界ガイドブック 2

 はい。地獄本編です。ありんここないだ寝込みました。皆さんも気を付けてくださいね。

 開いたページにはざっくりと、天使と鬼の違いが載っている。天国にいるのが天使。地獄にいるのが鬼。手描きと思しきヘタウマなイラストで体の各部の違いなどが解説されている。

 しかし、この章に書いてあることはニーチェだっておおむね知っている。今思うと盆に行ったっきり帰ってこない亡者を回収するためだったのだろう、天使は時々雲の上や宇宙空間を飛んでいたりするし、鬼も10月には現れる。これらを人間の方でも長く観察してきたからだ。

 まず、天使は速いときはマッハで飛ぶ。遅いときは時速約24キロメートル、自転車で追いつけるくらいのスピードだ。

 大気中だろうが宇宙空間だろうがお構いなしである。月面でも何度か観測されている。羽ばたいているようにも見えるし、たまに羽毛を落としていくが、体形に対して翼が小さいので本当にこの翼で飛んでいるのかは大いなる謎だ。

 頭上の輪は何なのかわかっていない。

 翼についてはガイドにも「飛びます」としか書いていないが、この輪については「アンテナです。テレパシーをします」と書いてあった。アンテナだったのか。あれ、アンテナだったのか。

 鬼の方が、人類が知っていることは多いかもしれない。10月にのみ、此岸に現れる。生者を選び、冥界へ連れて行くのだ。

 どのような基準かはわからないが、選んだ生者を携えた錫杖で打ち殺したり、太刀で斬り殺したりする。手口は様々だが、ひとまず相手を冥界に連れて行けさえすればいいらしく、ひどい例としては人体に損傷がまったくないまま魂だけが持っていかれていたというものがある。

 選ばれた生者は必ず殺される。それだけではなく、選ばれなかった者も鬼の顔を見ると問答無用で連れていかれる。

 ただし、顔については、横顔を一瞬見ただけの人が連れていかれたり、ライフルのスコープなどで遠くから正面の顔をじっと見ていた人が見逃されたり、またその逆も然りなので、鬼本人が「見られた」と思うかどうかが判断基準らしい。

 なお、鬼の顔を見て、相手も見られたと自覚したとき、仮にその場を逃げ切ったとしても生き残ることはまず不可能だ。いや、そもそもその場を逃げ切る、ただそれだけのことがまず無理なのではある、ができたとしての話をしたい。

 彼らはこの世界と『角度』に満ちた異次元の間を行き来する能力を持っていて、90度以下の鋭角を出入り口として使う。要は瞬間移動である。家にこもったとしても室内にある何らかの『角度』から現れるのだ。

 過去に、球形の部屋にこもって難を逃れようとした人もいたが、鬼は人間より力が強い。外からえいやっ!で部屋が破壊されてしまった。

 さらに、鬼が現れた周囲では魔法が使えなくなる。というより、魔力が働きを失う。魔導師の天敵である。もちろん、鬼に攻撃を加えると普通に怒る。やっぱりどこまでも追いかけてくる。

 さて、手元のガイドを見ると、絵の方には角にすら特に何も説明がない。ただ脇に米印がつけてあって、「死すべき生者を匂いで追いかけます。飛びません」と書かれていた。

 確かに鬼になってからこっち飛べたことがない。階段から飛び降りても単に着地するだけだ。さらにどうやら、基準は匂いだったらしい。

「匂いってどんな?」

 やっと上官がこちらへ向いた。恥ずかしがっているのがバカバカしく思えてきたのだ。

「うーん、何とも言い難いな。まっ、お前も娑婆に出ればわかるさ」鼻にしわを寄せてちょっと嫌そうな顔をしたニーチェに苦笑いを浮かべる。「今日の本命の用事、ちゃんと覚えてるよな?」

 ニーチェは頷いて、ガイドブックを肩掛けカバンに突っ込んだ。

「工場見学、だったな」

「そんな言い方すんなよ。ふるさとって言えよ。あそこお前の生まれ故郷だぞ」

「フルサート、ナッツカシネー」

 なぜか片言だった。言わされていますということらしい。だが、ジールが地雷を踏み抜いた直後である。少々生意気な方が安心できるというものだ。

 なぜ……なぜ、このような(ざわ……)設定がある、か……(ざわ……)。

 それはありんこがハロウィンパーティーをしそびれたからです。創作の中でくらい「お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞ!」ってバカ騒ぎしたい。

 リアルだと顔的にただ相手を不快にするだけだし。


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