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病み魔法使いの弟子  作者: ありんこ
快楽の泉
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またの名を陸サーファー

 本編です。はんぺんではありません。

 最後の一日は海水浴に戻った。ただし海には入っていない。海水に浸ると人間をやめてしまう助手のせいだ。

 せいぜい水着に着替えて砂浜に行き、ユングを自力で脱出できないくらい砂に埋めてテレビの取材を受けざるを得ない状態にして遊んだだけだ。魔王さんは相変わらず焼きそばを作っていた。お昼に一つ買ったが、地味に腕を上げていた。

 カツオノエボシでキャッチボールしているバカップルを横目に一人食べる焼きそばは最高である。カリカリモチモチの中華麺に甘辛いソースがよく絡んで、キャベツの甘みが引き出されていた。厚めに切ったサラマンダー肉の脂が旨い。肉偏に旨いと書くだけのことはある。

「うーん、最高」

「はい最高ですね。僕の分も買ってきてくれてたらもっとよかったんですけどね」

 お尻の斜め下から恨み言が聞こえた。現在、ユングを埋めて作った砂山に腰かけて焼きそばを食べている。今いるのは胸の上あたりだ。

「大体のことはプレイとして喜びに変える僕ですが、食べ物だけは駄目です。食べ物の恨みは恐ろしいですよう」

 のーろーうー。脅迫を鼻で笑い、黒いオーラを出している顔をマリンシューズの鼻先でつついた。

「砂に埋まりながら凄んでも全然迫力ないよ。ねえ今どんな気持ち?砂浜に埋められてさらにその上に座られて焼きそばをおいしく食べられてるよ?ねえ今どんな気持ちだい?」

「めっちゃお腹空きます」

「だよねー。あーおいしい。すっごいおいしい。なに?悔しいのかい?自分で買ってこれば?あははっ」

 イルマ流、海水浴の楽しみ方。マネしない方がいいかもしれない。

 焼きそばを食べ終えたところで仕方ないから解放してやると、ユングは脱兎のごとく海の家へ走っていった。焼きそばの入っていた空のパックを受け取ってからである。ゴミはゴミ箱へ。

 しかし足場のよくない砂浜であんなスピードで走れるとは、まったく半人の身体能力には恐れ入る。おかげでつい最近まで貿易大陸の国の選手は世界的なスポーツの祭典には出られなかった。

 人類より強い魔族の血を継ぐ者は遺伝子レベルのドーピングというわけだ。純粋人類が勝てないのでフェアではないとおっしゃる。

 そんな中研究者たちにより半人や半魔でない限り混血人類と純粋人類で身体能力に差がないということが証明される。こうして近世が現代に変わる過程で貿易大陸でもほとんどの国が参加できるようになっていった。

 そう、ほとんどの国である。

 コルヌタのみ実に長いこと出場が許されていなかった。位置的に魔界か人間界かジャッジしづらかったと公式にはあるが、その割にコルヌタで大会を開催していた。

 たぶん野蛮人の扱いだったのだ。人種も文化もまったく違うから仕方ないと言えば仕方ないが、差別だと言わざるを得ない。

 しかもただの気まぐれで出てみたら世界記録を軽く越した混血人類もいるから、本当に難しい。委員会が招集された。また魔界認定されるところだった。人類の敵として正義の味方に攻撃されるところだった。その原因になったのは、そうだエメト、お前のことだ。

 海水浴と言えばヤキソゥヴァですね。

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