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病み魔法使いの弟子  作者: ありんこ
散骨 弐
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思索から見えるもの

 よーし今度こそこの章で終わらせるぞー(白目)。

「話してないし斬ったよね」

「高尚な肉体言語です。僕らにとってはコミュニケーションです」

 動脈を貫いて引き抜いた剣を拭わない。汚れていないからだ。血液や脂肪も付着しないほど高速で振られた剣。それはレイピアに見える。ほっそりした諸刃の刀身。片手で握られる柄の短いこと。

 鍔が後ろに伸びて、こぶしを守っている。ステータスを見たラナは装備欄に「レイピア」が追加されたことに気づいた。

 まだカバンの中に何か持っているかもしれないから、気を付けよう。

「ちなみに何て言ったの?」

「ぶっ殺してやるよ!ですね」

 それコミュニケーションの意味なくない?苦笑するも響いた様子のないことにイルマは何かをあきらめた。代わりに悪霊についての考察を行う。

 まず、嫌がらせ爆弾への対処。何をしたかはわからないが、何かをして防御を試みたことはわかる。その何かが分からないのが問題なのだが、わからなくともその後の応酬から推定はできよう。

 とりあえず、未来予知の線だけはなくなった。それができていたら、ユングの肉体言語とへろへろな銃の魔法はともかく、嫌がらせ爆弾は回避したはずだ。

 というのは、せっかくのチート能力だ。切り札として取っておくために命にかかわらなければわざと攻撃を受ける手合いもある。失敗して見せることもある。

 イルマだって使える魔法を使えない振りしたことがある。まして悪霊である。他人またはかつて自分の物だった体を操っているだけで、この体が壊れても痛くもかゆくもない。魔力だって潤沢にある。

 だとすれば太ももの動脈を切り裂かれるくらい大したことではないし、魔法の一発や二発外したところで何に困るというのか。

 だがやはりその場合も、嫌がらせ爆弾だけは回避するはずだ。悪霊にだって感覚器官はある。

 どこでどう感じ取っているのかはよくわかっていないが、ともかく、体がない場合でも臭いや音、味にも映像にも敏感に反応している。感覚があるのだ。

 であるからして、嗅覚と触覚を総攻撃するあの嫌がらせ爆弾は相当嫌だったはずだ。あれはエメトにすら効いたのだ。物心ついて初めて嘔吐感というものを経験したとか言っていた。使った経緯については詳しく聞いてほしくない。

 彼女の経験からして、人が嫌がるのは肉体的な痛みより精神的な『不快さ』だ。悪霊だってそうだろうと予想はつくから最初の一撃にアレを選んだ。単なる嫌がらせだけではなかったのである。

 未来予知に限らず、飛来するものの正体が事前にわかるのであればどうにかしてあれを回避するだろう。そうしなかったなら、それは別系統の能力だ。

 最悪のパターンとしてはイルマがこう考えるところまですべて予知していたというものが考えられるが、どのみちそんなのを相手にしたら生き残れるはずもない。だからそれは考えない。

 では、何が考えられるだろう?なぜか悪霊がじりじりとその場で足踏みするだけで動かないのでたふたふと片手で杖をもてあそびつつ考える。

 バリアではあるまい。バリアとしても展開されるのは一瞬か、それと気づいてからだ。そんなことはありえないだろうが、できたらこれであってほしい。

 空間に作用する能力?こちらはありそうだ。異界に消し飛ばしたりはできないのかしないのか。これもまたそうだとすると気が楽だ。まだわかりやすい。

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