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ステージ2

ステージ2


 石が積まれた井戸の底は暗く、じめじめと湿っていた。肌にまとわりつく空気は冷たい。辺りにはドブのような臭気も漂う。

 飲み水を汲むはずの場所が、排水路のようだ。ここから汲取る水を飲む気にはとてもなれない。それ以前に、水が溜まっている様子がない。空井戸を模した隠し通路だったのだろう。


 八人は井戸の底に降りた段階で、味も香りも無いリンゴを食べ腹を満たし、睡眠を取った。不潔で居心地の悪い場所で休むことに、女性陣からは不満も出たが、敵に襲われる雰囲気が無い現段階で休んでおかないと、今後どのような体調不良が現れるか判らないことを、栗田から説明された足助が説得し、渋々ながらも休むことになった。


 目が覚め、起きると挨拶もないまま無言で顔を見合わせる。時間の間隔はないが、眠ったことは感覚的に分かる。電脳世界で睡眠が必要になるとは思わなかったと内心思う者もいる。

 オタクのため現実世界でも不規則な時間で過ごす栗田としては、現実世界の身体が寝ているのだから、ここまで再現する必要は無いと苦々しく思っている。


「あれ、ライフポイント回復してね?」


 慧瓶の頭のハートマークが三つになっているのを見た華園が声を上げる。皆の視線が慧瓶の頭上に向く。前ステージで一つ減っていたライフポイントが確かに元に戻っている。


「マジで!? ヨッシ、助かったしょ!」


 慧瓶が軽くガッツポーズをする。足助や栗田はそんな様子には興味がない代わりに回復をした理由を考えている。


 真っ先にロストした開発担当者が、言っていたことを栗田は思い出し、内心で納得する。


(思ったよりゲームらしい設定は残されている。もしかすると、隠れフラグがあるかもしれないな……)


 心配なのは、そう言った隠れフラグを立てないとクリア出来ないステージの存在する可能性が高い――確実にあると思われる点だ。


(注意深くステージの様子を見る必要がある。出し抜くためには確実に必要だ)


 ライフ回復を喜び、はしゃぐ、慧瓶を冷めた目で見たまま、栗田は声に出さず密かに思った。




 暗く湿った井戸の底の排水路を進む。隙間なく積まれた石の表面は湿度が高いせいか、薄らと濡れている。汚い色をした苔が所々に生えている。

 暗闇に目は慣れてきているが、遠くの方までは見通せない。まごまごすると石畳の僅かな段差につまずき転びそうになる。

 床には薄らと水が溜まり、歩くたびにピチャピチャと音が鳴る。踵の底をはねた水がズボンの裾を濡らし鬱陶しい。

 

 しばらく歩いて進むと、道は二つに分かれる。足助はフウとため息をつく。


「まあ、一つの道を進み続けるような設定を、組むはずがないとは思っていたから、こうなるだろうことは判っていた」


 どちらに進むか。いずれにしても、いきなり行き止まりにならず延々と彷徨わせる様な造り――迷路のような構造になっているのだろうと足助は思っている。


 足助の考えは、間違ってはいない。選んだ道の先は十字路となり、その先はY字、三叉路、延々と様々な道を歩かされることになり、結局どこをどう進んだのか判らない状態に陥っていた。


 定期的に休憩を挟みながらも、冷たく硬い石畳の上を歩き続けるのは非常に疲れる。足から体温を奪われ、また気温の低い地下では身体も冷え、疲れが溜まる一方であった。八人は当てのない道を進むことで、精神的にも徐々に鬱憤が募っていく。


 亀頭の鬱憤が爆発しそうになる寸前で、進み続けた道に一つの変化が現れた。ちょっとした広間に出たのである。その広間には、松明が焚かれ、中年気味の男女十人程のノンプレイヤーキャラ(NPC)がいる。

 突然現れた八人の姿を見て驚き、全員が敵意ある目線を向けてくる。リーダー格と思しき、髭面で痩せてはいるものの、体格のいい中年男性が前に出て、棒の先端にナイフを紐で括り付けた粗末な槍を向けて威嚇をしてくる。


「な、なんだ、お前らは! ここは俺達が占拠している広間だ!」


「おい、とりあえず殺っておくか?」


「NPCとはいえ、何か情報を持っているかもしれない。直ぐに手を掛けることは止したまえ」


 斧を肩に担ぎ、凄みのある笑みで、相手を逆に威嚇し始めた亀頭を足助は宥める。その様子を見て、髭面の男性は腰が引けている。

 玉雄以外の者達はNPCをヒトとして認識はしていない。あくまで、ゲームの中で作られた『キャラ』としか見ていない。

 現実世界と違い、法の及ぶ範囲ではなく、NPCの生殺与奪は好きに出来ると思っている。


「私達はこの地下排水路を抜け出たい。出口を知っているか。但し、城下町へと戻る気はない」


 足助の問いかけを聞き、一拍の間をおいてから男性は、ハンと鼻で笑い答える。


「知らないな。俺達もリンゴ兵がうろつく城下町からここへ逃げ込んだ。ここで暮らしているんだ。ここにいれば、最低限の食い物にありつけるからな」


 出口は知らないという答えに少しイラっとしたが、聞いてもいない「食べ物がある」という情報は有効だと足助は思う。

 休憩の合間に手持ちのリンゴを食べている。排水路を徘徊している間に、食べられそうな物を見つけることは出来なかった。

 空腹で動けなくなる事態は避けたいので、食べられる物を分けて貰う必要がある。


「食べ物を分けてはくれないか。手持ちが心許ないのでね」


「馬鹿を言うな。貴重な食料を分ける訳がない……グギャ」


 男が足助達を馬鹿にしたような言葉を続ける前に、亀頭が今まで迷い歩いてきた鬱憤を晴らすように、手にした棍棒を男の顎に叩きつけ砕く。

 続けざまに、もう片方の手に持つ斧を頭に叩きつけ絶命させてしまう。NPC達は悲鳴を上げ、散り散りに逃げだす。

 栗田が逃げ出した一人の若い男性キャラの足元にドライバーを投げつけ、逃げるのを食い止める。男は転び、それでもなお這う這うの体で逃げようとするが、ケラケラと笑う慧瓶が背中から馬乗りし、逃げるのを妨げる。

 足助は男の前に廻り、腰を屈め静かに問いかける。


「ゲームの中のキャラクターなのだから、素直にただ、答えればいい。食べ物はどこにある。食べられる物はなんだ。言え」


「まどろっこしいことをしねえで、身体に聞けばいいじゃねえか」


 暴力的な笑みを浮かべた亀頭が足助の横に並び、男によく聞こえるように大きい声で脅しを掛ける。慧瓶は背中に馬乗りのまま、ニヤニヤとその様子を見てから、男の頭を小突く。


「早く言わないと、さっきの髭面のオヤジみたいになるんじゃね」


「でもさあ、風が吹けば又、蘇らない? ゾンビみたいにさ」


「こ、ここでは風は吹かないから、蘇りはない。た、頼むから殺さないでくれ! 死ねば排水路に住む怪物の餌になるだけだ!」


「怪物とは、何だ。やはり、敵キャラもいるのか。詳しく教えろ」


 うつ伏せで顔だけを上げたままの状態で、男は半べそのまま地下排水路の事を知っている限り教える。




 コクレア城下町がヤイコに支配され、無言のリンゴ兵達が徘徊するようになって暫くすると、各所に見た事の無い井戸が現れた。

 井戸の周囲には城を追い出された王族や大臣、貴族達がみすぼらしい姿で、掘っ立て小屋の中に住まわされることになった。

 城下町の住人は井戸の周囲のスラムを『貧民長屋』と呼び、そこに住む無能な統治者達を嘲笑し、今の状況を招いたことに恨みを募らせ、相手にすることはなかった。

 貧民長屋に住む者達もまた、長屋の住人以外の人間が近寄ると、凄まじい形相で追い払おうとする。時折、鬱憤の溜まった城下町の住民達がそんな様子に怒りを爆発させ、こんなことになった責任を取らせるべく貧民長屋に住む者達に襲い掛かった。

 貧民長屋に住む連中は何故か、手に武器を持つことはない。もしかするとヤイコに禁じられているのかも知れない。住人はリンゴ兵が来るまでの間、長屋の住人を痛めつけ鬱憤を晴らす。たとえ死んでも風が吹き蘇る。中には王侯貴族の血肉を好んで啜る者もいたのだと言う。


「それほど、上の城下町は狂っていた。外出すればリンゴ兵に襲われる恐怖、外に出れず鬱憤の溜まる日々、そんなとき、ある噂が流れたんだ。『貧民長屋の連中が守る井戸の底から城下町を抜け出せる』って」


「何故、素直に門からでない」


「あの門は外敵を街に入れないために絶対に開かない作りになっているって聞いた。皆『役に立たない開かずの門』って揶揄していた」


「そんなことより、食い物! 教えろよ! 早く!」


 長い前置きに焦れた慧瓶が男の髪の毛を引き揺さぶり、食料の情報を引き出そうとする。我儘で傍若無人な子供そのものだ。若い男は髪を引かれる痛みでヒイヒイ言いながら、言いますから止めてと懇願する。


「排水路の苔やキノコが食べられるんだ! ただ、七色の苔は毒を持ち、食べられないから。あと、薄く赤い粘菌や大蛆虫も食べられる。どれも火を通した方が良い。生食は危険だ」


「う、蛆虫なんて食べられないっしょ! こいつおかしいんじゃね」


「まあ、苔やキノコで当面は凌ぐとしよう。粘菌と言うものがどんなものかは判らないがそちらは実物を見て判断しよう」


 足助は粘菌の姿形について再度問い詰める。半透明で丸みを帯び、形の無い生き物だと言う。栗田や玉雄はスライム見たいなものかなと、聞いた段階で認識をした。ゲームやファンタジーに興味のない他の者達はあまり実感がわかないが、女性陣はなんとなく気持ちの悪い生き物と思い、口にすることはないと言い放っている。


 話黙って聞いていた亀頭が、突如、斧の石突を床に突く。


「情報はそこまでか。じゃあ、もう用済みだな」


 男を殺したくてウズウズしている様子の亀頭を見て、小さく悲鳴を上げる。そこに、栗田が待ったをかける。


「まだ、役に立つから殺さない方が良い」


「あん、栗田。これが何の役に立つ? 道案内を指せるのか? 殺したオッサンは出口は知らねえとほざいていた」


「み、道案内以外でも役には立ちますから。頼みます、亀頭さん」


 自分の意見に口を挟む栗田に不満の眼を向ける亀頭。それを見て、若干怯え、懇願をする栗田。ペコペコと頭を下げる栗田を見て、亀頭は鼻息を一つしてから、仕方がない様子で斧を引っ込める。


「役に立たなかったら承知しねえぞ」


 男に向けたのか、栗田に向けたのか判らない言葉を放ち、亀頭は先に進むことを全員に促す。男から情報を聞いている間に、休憩はできたと判断をしたのだろう。身勝手な判断だが、この中で一番強いと思われる亀頭に逆らえず、渋々ながらも動き始める。

 

 玉雄は後を追う前に松明に手を掛けアイテムボックスへ収納できるかを試す。目論見は見事に成功し、ホッと胸をなでおろす。

 そして、皆の後を一人追いながら、亀頭に怯える理由を考えてしまう。顔立ちの怖さ、乱暴な性格、キャラを嬉々として殺してしまう残忍さ。

 

(だけど、同士討ち設定は無いって開発担当の人は言っていた。その設定も狂わされているのかな?)


 そうであれば、何も亀頭の暴力性に恐怖を抱く必要は無い。プレイヤー同士であれば傷つくことは皆無なのだ。

 しかし、それを試すためだけに、誰かに向けてドライバーを投げる訳にはいかない。玉雄は一人、悶々とし乍ら皆の後を追って行った。




「ま、待ってくれ、ここから先に進んだことはないんだ!」


「なら、なおさら進む必要があるでしょう。あれが見えたからアンタは怖いんだろう」


 NPCキャラの癖によくできていると、栗田は感心する。普通であれば一定のセリフをしゃべるだけの動く人形を作る程度に留める筈だ。モブキャラ程度に、ここまで人格を作り込む必要は無いだろう。おかげで作られた電脳世界において現実感がひしひしと伝わって来る。

 道の途中には、身体を二つに裂かれた、どことなく見覚えのある遺体が二つほど転がっている。

 先ほど、亀頭に襲われたはずみで逃げだした他のキャラだ。遺体は消えることなく、石畳の排水路に血を流している。

 何かに襲われたのであれば、先程この男が発したように食い散らかされているはずだが、遺体の状態は素人目から見ても、そうには見えない。


「まあ、通路に罠が仕掛けられているのだろうね」


「その為に、この男を使うのか。これから行く先々でこの手の捨て駒を拾う必要があるな」


 栗田は眼鏡を指で押上げ、亀頭は男の使い道に納得し、今後の事も視野に入れた発言をしている。

 通常では考え難い発想だ。しかし、電脳世界と言うゲームの中においてこそできる、キャラを人とは思わない残酷なやり方でもある。

 栗田はある意味ゲーム慣れをしている人間だともいえる。所詮はゲームであり、NPCキャラへの感情などないに等しい。女性キャラに粘着的な感情を持つことはあるかも知れないが、どこかで現実と空想の線引きが出来ている。

 出来ない奴が、馬鹿げた事件を起こしているおかげでオタクと言う存在は未だに不遇な扱いを受けているに等しい。


(別にオタクだけがイカレタ感情を持っているわけではないのに)


 先に進めと嬉しそうに脅しを掛ける亀頭、背中を小突いて囃し立てる慧瓶と華園。その様子を黙って見ている足助の家族達。唯一、玉雄だけが地面を見つめて、我慢をしているようにも見受けられる。


(やっぱりガキだね。何も言えない時点でお前も同じだよ。そのうち判ることだけどね)


 栗田は内心そう毒づく。足助の家族についても同じ事だ。玉雄よりもなお悪いと感じている。


 この家族は、男が受けている行為について何も感情が動いているようには見えない。自分達が安全圏にいることが当然だと思っているのだろう。


「歩いて進んで無事に済めば、逃げることも出来るでしょ。悪いことばかりではないと思うよ」


 心にもないことを男に向けて語る。モタモタしていればいずれは亀頭が殺すであろう。恐怖で判断を誤った男は、ならば逃げる可能性に賭け一歩、又、一歩と通路を歩んでいく。


「遺体の傍は慎重に。罠のスイッチがあるかもしれない」


 栗田はそう助言をする。慧瓶が栗田の肩を小突く。


「おい、そんな助言をすれば逃げちまうだろう」


「す、直ぐに死なれても困るんですよ。つ、通路の罠は一つとは限らないから」


 若干おどおどした調子で慧瓶の問いに栗田は答える。一つ目の遺体の傍を抜ける時に男はゆっくりと歩を進めるが、何も起こりはしなかった。慧瓶がまた、栗田を小突く。


「おい、罠なんて無いんじゃねえの」


「いえ、あの男の歩んだ位置をよく覚えて下さい。罠は必ずあるから……」


 内心、いちいち話しかけるなと言ってやりたいが、強気に出ることは出来ない。もしかすると、ランダム配置の罠の可能性も捨てきれないからだ。男は二つ目の遺体がある通路も通り抜ける。

 そして、抜けきった瞬間、押えていた恐怖の感情から解放されたのか一気に駆け出していく。慧瓶がその様子を見て騒ぎ始める。


「ほら、見ろ! 罠なんて無いんだよ! デブオタの自意識過剰なムダ知識の見栄のために亀頭さんのお楽しみを奪っちまった!」


 栗田を貶める発言と、亀頭に対して媚びるような発言を慧瓶は嬉しそうにする。だが、男があと一歩で通路の先に見える分かれ道に差し掛かる時、壁から横振りの大きな刃物が飛び出て男の胴と脚を二つに分けてしまう。


「足元の位置をよく覚えて! 石畳が沈んでいる場所が罠の起動装置ですよ、亀頭さん!」


 栗田はそう宣言する。亀頭は軽く頷き、その言葉を聞き流す。覚える役目はお前の仕事だと言う雰囲気だ。

 男の遺体は刃物の勢いに巻き込まれたまま、壁に打ち付けられてズルズルと床へと落ちていく。ピクリとも動くことはない。


「よし、栗田、通路の罠の位置は覚えているな。先に進め。俺は最後尾を守るから他の奴は先に進め。列は乱すなよ」


 亀頭はそう言うと栗田に先導役を任せる。男を生かしておいた理由に納得してくれた様子で栗田はホッとしている。

 いずれは現実世界の救助部隊が助けてくれる。今いる電脳世界より、帰った後の方が重要だと栗田は考えている。

 どれほどのハッカーだろうとも、人質を取り、人命を盾にして、世界を敵に回せば、時間は稼げてもいずれは詰んでしまうだろう。


(今しばらくの辛抱で、元に戻れるはずだ)


 ランダム配置の罠ではありませんようにと願いながら男の歩んだ道筋をゆっくりと慎重に栗田は進む。そして、無事に罠のある通路を一行は抜けることに成功し、振り返ることなく前へと進む。


 通路を抜けた後、遺体が消えていく光景を見ることはないままに。




「こ、殺さねえでくれ、いいいい、好い物やるから」


 何回かの小休止を繰り返し、その間に幾つかの広間に造られている城下町から逃げだした住民の一団と遭遇を繰り返した一行は、今までにない反応をする男に興味を魅かれた。

 今まで出会った者達は一様にこちらを訝しみ、邪険に扱い、時に襲い掛かり、こちらの荷物を奪い取ろうとする。

 いずれも、亀頭にまず叩きのめされ、すぐさま慧瓶達に捕えられる。幾ばくかの食料を持ち合わせている者達もいたが、女性陣が気味悪がって捨ててくれと言うので、アイテムとして取得はしていない。捕えたNPCは男女問わず罠のある通路の捨て駒代わりにさせられる。この繰り返しであった。


「なんだよ、好いものって。見せてみろよ」


 亀頭を後ろに控えた慧瓶が、男の胸倉を掴んで脅しを掛ける。無精髭を生やし、鼻毛が伸びた胡散臭そうな男は慌てて、ボロジャケットのポケットから皮製の小袋を取り出し中身を見せる。小袋の中には七色の怪しい粉が仕込まれている。


「なにが、好い物なんだよ。ただの、色粉じゃねえの」


「ちち、違うんでさあ。これは虹苔を乾燥させた粉体でさあ。鼻から吸えばいい気分になるんですよ」


 男は媚びた声で慧瓶に囁く。その言葉を聞き慧瓶は若干嬉しそうになる。男のもっている虹色の粉はいわゆる麻薬の類の様だ。


「それって、毒がある七色の苔じゃないのですか?」


 一番初めに捨て駒にした男が言っていたことを覚えていた百姫が不審げな声で胡散臭い親父の言葉を疑う。慧瓶がピクリと反応をして男の胸倉を更に締めあげる。


「おい、毒だったら承知しないよ!」


「だだ、大丈夫! 絶対に毒じゃあ、ありやせんって」


 ほら、吸ってみて下さいと袋を慧瓶に差しだす。亀頭はそんな男の差し出した物に興味を示すことはない。足助達家族や、玉雄は論外だ。栗田は粉自体に疑念を抱いている。興味を持ったのは慧瓶と華園だ。


「ま、まあくれるものは貰っておくよ。亀頭さんこいつは……」


「先導役だ。慧瓶ラリッても助けはねえぞ。足引っ張るなよ」


 亀頭は冷めた目で慧瓶にそう言い放つ。大した役に立っていない癖に足を引っ張るなと目で語っている。慧瓶は気付く様子もなく、男から袋を奪い盗り、先導をさせる。


 男は立派に先導の役目を果たした。通路の途中で天井から落ちてきた大きな刃物に縦半分に裂かれて死んだ。


 男から袋を奪った後から慧瓶は、罠で死んだと思われるキャラの遺体をまさぐり始める。幾つかの遺体から同じような粉が入った袋を見つけることが出来た。


 慧瓶は現実世界でも麻薬を利用している。中毒にまではなっていないと思っている。ファッション程度だと自覚している。売人からはいいカモだと思われていることは知らない。

 そもそも親が大企業の社長の為、小遣いに困ることはない。親からせびればいくらでも金は出来る。企業の跡目は長男である出来のよい兄貴が継ぐ。自分は甘やかされている次男坊。

 

 但し、そんな自覚はどこにもない。親も兄貴も大した人物ではないと周囲には吹聴している。自分の出来が一番悪いことにも気付いていない。

 そのうえで、親の経済力を盾にして、立場の弱い人を苛めることに何ら躊躇もない。虎の威を借る狐を地で行く男である。


(電脳世界でヤクがあるとは思わないっしょ。遺体漁りも万引きに比べればラクショー)


 内心、虹苔の粉が入った袋を手に入れるたびに気分が高揚していく。ここに来て、栗田や玉雄と言った自分より格下のような存在が役に立つのを見て内心イライラとしていた。


 次の広間の小休止で試して、嫌な気分をリフレッシュさせようと考えている。


 広間には珍しく誰もいない状態であった。足助が小休止を宣言すると各自が残り僅かなリンゴを齧り、寝転び仮眠を取り始める。そんな中で慧瓶は袋から虹の苔の粉をわずかに取り出し、手慣れた様子で鼻から吸い込む。気付いた華園が背後から囁くように声を掛ける。


「ねえ、どう、どう。良い感じ?」


「待って、待って……お、お、意外にいいんじゃね、これ」


 脳の中に高揚感が溢れだす。嫌な気分が晴れ、疲れが飛んでいく感じだ。――そして、自我が囁き始める。


『あなたは今、無敵、傷つくことはない。進め、進め、進め……』


 目の前にはヤイコがいる。流し目でこちらを見て、挑発している。気に入らない女。けど、若干好み。あの強気な顔を歪ませてやりたい。


 あの時、襲った、生意気な女のように。


「オラオラ、やってやんよーー!!」


 慧瓶は急に叫び飛び上がると、一人広間の奥の通路へと駆けだす。その声に、華園以外の全員がビクリとし慧瓶の異常な状態を目の当たりにする。全身を七色に輝かせ、股間を盛大に膨らませたまま目を血走らせ、口から涎を流している。


「か、彼は一体どうしたんだ」


 足助が茫然と座り込む華園に慌てて駆け寄り、問いかける。


「虹の粉を吸ったと思ったら、突然叫んだっしょ……」


 意味が分からないと言った様子で、足助の問いに華園は答える。亀頭が盛大に舌打ちをする。栗田も片手で頭を押さえている。


「馬鹿が。役に立たねえ癖に面倒を掛けやがって」


「これはもしかすると、一人ロストしますかね」


 栗田の言葉に、亀頭は賛同をする。足助としては余計な犠牲者を出してテストタイプ・イチの商品価値を下げたくはない。内心、慧瓶の軽率な行為に苦々しい思いを持ちながらも皆に、後を追うように説得を試みる。


 通路の奥からは慧瓶の呆れるほどの騒ぎ声が聞こえてくる。まだ、そう遠くには向かっていないようだ。今からでも連れ戻すことは可能だと判断した亀頭は行動に移る。


「あの馬鹿、ぶん殴って目を覚まさせてやる」


 そう言って声のする方に向かい出す。足助達もその後に続く。声の元に駆け寄ると、通路で慧瓶が一人嬉々とした様子で踊っている。


 罠の発動装置を手当たり次第に踏み続けながらも傷つくこともなく踊り続ける。床から槍が飛び出し脚を刺し貫いても、電動ノコギリのような回転する刃が、通路の半分を占領しても気にする様子もなく踊るようにステップを踏みゆっくりと通路を進む。


「見て見て凄いっしょ。俺、俺、ムテムテ無敵の慧瓶です! 股間も素敵な慧瓶です! 華園チャンも奥様も、お嬢さんはもう少したってから、この華麗な腰さばきで喜ばせちゃうよ!」


 慧瓶はクイクイと素早く腰を振り、矢が飛び出てきた壁の穴に股間を差し込み続け、卑猥な発言と動きを続ける。


「馬鹿が、完全にキマッてやがる」


「放っておきましょう」


 亀頭と栗田は完全に呆れている。足助としては救助に行きたいが、慧瓶が適当に動き続け罠を発動させているので、近付くことが出来ない。そんな中、玉雄が一人慧瓶に向かい叫ぶ。


「慧瓶さん! レインボー状態は長い時間継続しません! 直ぐに罠の通路から離れて下さい!」


 玉雄は慧瓶の今ある状況がヤイコシリーズの『虹色マリモ』を取得した無敵状態であることに気付く。

 その手のアイテムは、確実に時間制限がある。ゲームの中では長くても一分程度だ。現状はもう少し長い時間が経過しているが、ずっとあのままだとはとても思えない。もし、あの状態が長時間続くのであれば、確実にゲームバランスが崩れてしまう。


 しかし、慧瓶は聞く耳を持つ様子はない。ケラケラと笑い、玉雄の助言を鼻で笑い馬鹿にした様子で叫び始める。


「うるさい子供でしゅねえ。無敵の慧瓶様に意見を言ってはいけません。今なら亀頭にも勝てちゃうかも。おっと失礼、本人がいた」


 亀頭はイラッとするが、玉雄の助言は正しいと直ぐに感じた。慧瓶の無敵状態は続いているようだが、先程よりも明らかに身体の光が弱まってきている。当の本人はトリップ状態の為に気付いてはいない様子だ。


「自業自得だ。助けねえぞ慧瓶」


「何を言っているのん、亀頭ちゃん。ムテムテ無敵の慧瓶様に向かって……い、痛ええ!!」


 遂に光が止まり、卑猥に腰を振り続けていた穴から再び飛び出した矢が、膨らんだ股間に突き刺さっている。その瞬間、頭のハートが一つ砕け散る。


「ひ、ひぐう。た、助けて。痛い」


「手前でどうにかしろよ。俺が行けば残りのハートが全て砕けるぜ」


 慧瓶が辿った罠の発動部を躱しながら亀頭はゆっくりと慧瓶に近づく。亀頭の本気の様子を見て慧瓶は恐怖するが、直ぐにあることに気付く。


「そ、そうだ。こいつを吸えばまたあの状態に……」


 股間の痛みで手が震えるため、袋に鼻を突っ込み直に虹色の苔を勢いよく吸い込む。そして、訪れる高揚感を待つ。あの状態であれば亀頭を相手にしても問題は無い。幸いに回収した袋は全て自分が所持している。罠の通路で翻弄してやれば、亀頭だって倒せるに違いない。


 しかし、一向に高揚感は現れない。


 亀頭の姿は昔襲ったあの女の姿になる。


 恨めし気な顔つきで慧瓶を睨んでいる。生きているはずはない。


 ナンパを断られた腹いせに、後ろから殴り飛ばして路地裏に無理やり連れ込んで襲った女。

 

 訴訟は親が潰した。女は勝手に自殺したはずだ。

 

 股間から生えている矢は、前に別れた女に見える。金だけ出させて捨てた女。顔はそこそこ、だけどつまらない女。


 奥では栗田と玉雄が腹を抱えて笑っている。口ばっかりで活躍できない慧瓶をせせら笑っている。格下の奴らは使い捨て。万引きの囮にしか、役に立たない癖して笑うなと叫ぶ。


 完全なバットトリップ。慧瓶は訳の分からない奇声を上げて通路の奥へと駆けだす。全ての嫌なことから、無責任に逃げだすために。


 運が良いのか、それとも罠がなかったのか慧瓶の駆けた後に罠が作動することはなかった。玉雄以外の者は呆れながらも慧瓶の後を追う。


 慧瓶のバットトリップは止むことはない。先ほどよりも長いようだ。栗田はいわゆるアイテムのクーリングタイムを無視した行為に対する、状態異常の罰ではないかと推測している。


 慧瓶が時折あげる奇声を頼りに後を追う。通路を幾つか曲がると、今までよりもはるかに異臭が漂う、薄汚れた広間に辿りつく。広間の中央で、無数の巨大な蠅が集った慧瓶が狂ったように踊っている。

 玉雄が腕を振り上げ、工具投げで蠅を撃ち落す。亀頭と栗田は内心驚く。結構な距離があるにも関わらず的確に蠅を撃ち落した玉雄の腕前と、人がいるにもかかわらず投げられる度胸に珍しく感心をしたのだ。


「ガキ一人、良い格好させる訳にはいかねえな」


 そう言って亀頭は斧と棍棒を手にして慧瓶に駆け寄り、蠅を叩き落としていく。動きは早いが的が大きいので、当てるのは容易だ。栗田もまた、玉雄と同じ距離から蠅を工具投げで次々と撃ち落していく。幾らもしないうちに蠅はすべて叩き落とされる。


 慧瓶のライフを示す三つのハートマークは残り一つになっている。手を床に突き、鼻水と涎を垂らして、メソメソと涙を流している。本来は整った顔立ちであるが、その面影は崩れている。股間の矢はいつの間にか消えている。傷口から血が出ている様子もない。


「イキがった行動をするからそうなるんだよ」


 斧を肩に担いだまま慧瓶に亀頭は近寄る。慧瓶は後ずさりをして亀頭から遠ざかろうとしている。亀頭としては、いまさらどうこうするつもりはないが、慧瓶は今までの発言を許してもらえるとは思っていない。


(こ、殺される)


 口には出さず心で叫ぶ。電脳世界で死ぬことはないが、ライフは残り一つ。亀頭は慈悲もなく当たり前のように斧を自身の身体に打ち込んでくる。そう思えてならないから、後ずさりを続ける。


 亀頭は呆れて追うのを止める。若干の静寂が訪れる。亀頭は気付く。広間の奥の暗がりに潜む何かが、慧瓶に襲い掛かろうとしている。声を掛けるよりも早く、何かは慧瓶の身体に圧し掛かる。


「おい、一体こいつはなんだ!」


 亀頭が叫んだ先、慧瓶に圧し掛かる者の姿を皆が見る。長い耳に、赤く光る目。白いはずの毛並は汚く汚れている。腕は六本、顔は三つ。三面六臂のウサギのような巨大な生き物が一瞬たじろぐも直ぐに慧瓶の頭に噛り付く。丸かじりできずに頭に歯を立てて噛み続けている。


「いいいい、痛いいいいい! ややや、止めてええええ!!」


 慧瓶が叫ぶ毎に、歯を立てるのを止める生き物。そのせいで、痛みが中途半端に続く。慧瓶が盾の様になっているために、手の出しようがないと足助は状況に焦る。


 しかし、そんな中玉雄が一人恐れずに工具投げを実践する。


「き、キミ! 当たったら慧瓶君が巻き添えを食うのだよ」


「だ、大丈夫なはずです! 同士討ちの設定はないと開発担当の人は言っていました」


 玉雄がそう言うと、栗田はあえて慧瓶に向けて工具投げを行う。工具は慧瓶の身体をすり抜けて生き物の身体にあたる。


「本当だ。じゃあ、慧瓶に喰らいついている今がチャンスかな」


「ハハーそうか、じゃあ遠慮なくやらせてもらうぜ」


 亀頭は斧を片手に兎モドキとの距離を縮める。気付いた兎は慧瓶の頭を咥えたまま横っ飛びで逃げる。結構な素早さだ。

 玉雄も栗田も、工具を投げ続ける。足助は家族を背に守りながら、工具を投げ兎の動きをけん制している。華園は一人広間の隅に逃げ、やり過ごそうとしている。

 亀頭は追い続けるがなかなか兎の素早い動きをとらえることは出来ない。慧瓶は噛まれ続け痛みに疲れたのか声を上げることはなくなりつつある。

 栗田と玉雄の工具もなかなか当たらない。相手の動きが止められない状況にいら立ちを募らせた亀頭が怒声を上げる。


「おう、逃げ回っていねえで、ちゃんと戦えや!」


 その怒声に驚いた兎は一瞬立ち止まり、遂に慧瓶の頭を噛み砕く。アッという小さい声を上げて慧瓶は床に落ち、最後のハートも砕け散る。目は虚ろのまま床に転がり、若干の間を置いて姿は消えてなくなる。突如、間抜けな音が鳴り響き、中空に文字が浮かぶ。


『プレイヤー ケビン ロスト!』


 足助は畏れていた事態が起こったことに内心の焦りを隠せない。慌てた様子で兎に向かって意味のないクレームを言い放つ。


「おい、キャラクターの癖にプレイヤーを傷つけるんじゃない!」


 その声に兎はまた、一瞬立ち止まるが今度は足助達に向けて狙いを定める。しまったと思うが、兎はすぐ様に足助達家族へと襲い掛かろうとする。


「待てええ、こっちだ、こっちいい」


 玉雄が信じられないような大声を上げる。兎は吃驚とした様子でまたも動きを止める。その様子を見て直ぐに亀頭と栗田が気付く。


「おい、おい、こっちに来いやあ! ブサイク兎!」


「そうだ、そうだ、化け物兎!」


 亀頭と栗田が大声で罵詈雑言を発するたびに動きを止める。亀頭は威嚇の声を上げたまま兎に近寄り斧の一撃を浴びせる。今まで、素早い動きで翻弄していたのが嘘のように動作が鈍くなっている。

 

 ステージ2のボスである『アスラパメン』はヤイコワールドに出てくるキャラの一つ兎の姿をした敵キャラであるラパラパの変異体だ。

 だが、このラパラパは元はコクレア皇子のペットである。森で傷ついた子ラパラパをヤイコが救助し、コクレア皇子に預けた設定だ。

 しかし、ヤイコが狂い、コクレア城が異常な状態になった時にラパラパは城から抜け出し、井戸に飛び込み、この地下通路まで迷い込んだ。

 そして、地下の汚水に侵されて変異体となり、迷い込んだ住人を襲い、貪り食う真の敵キャラへと変貌してしまった。


 素早い動きで相手を翻弄し、襲い掛かることを得意とするが、長い耳を持つことで聴力が鋭くなっている。

 実際は暗がりの中で襲われることになるため、素早い動きは有利になるはずだが、汚れても白い体毛が目立ち、大きく成り過ぎた体は良い的になってしまう。

 そして、長い耳が持つ聴力の良さが仇となり、大きな音に敏感に反応し、身体を一瞬だが止めてしまう。


 その事を見抜かれてからは戦いは一方的な展開になる。威嚇の叫びを続ける亀頭が斧を散々に浴びせ、同じように叫ぶ栗田や、玉雄、足助の工具投げでヂリヂリと体力を減らされる。

 最後は「ギュウウウ」と醜い叫び声を上げ、呆気なく討取られてしまった。姿は消え去り、後には幾つかの尖った白い骨のようなものが残される。


「ドロップアイテムかなこれは」


 栗田は骨を手に取りジッと眺める。骨から文字が薄らと浮かび上がる。「ラパの牙」とだけ読み取ることが可能だ。栗田はポイと投げ捨てる。


「おい、貴重なアイテムじゃあないのか」


「違いますね亀頭さん。ヤイコシリーズのザコキャラであるラパラパの牙なんて価値はないはずです」


 そうかと亀頭は一言言うと出口を探し始める。巨大キャラ、多分ボスキャラを倒したのだから出口があるはずだと信じて疑わない。栗田は、中ボスの可能性を捨てきれていないので探すふりをしている様子だ。足助の家族や華園は恐怖で疲れて座り込んでしまっている。

 そんな中、玉雄は一人ラパの牙をアイテムボックスに入れる。例え、ザコキャラのアイテムでも価値がないわけがないと捨てきれない気持ちから所得をした。


「おい、こっちに来い。出口を見つけたぞ」


 亀頭の叫び声が聞こえる。散々威嚇の声を出していたにもかかわらず、下品な胴間声は枯れる様子はない。電脳世界で声枯れという状態異常はないのかもと栗田は内心思っている。


 アスラパメンが現れた暗がりの奥に小部屋があり、部屋の天井は吹き抜けになっており、黒縄で編まれた一本の縄梯子が上から垂れ下がっている。


「どうやら、これが出口の様だ。犠牲者が出てしまったが、無事であることを祈るしかないな」


 支離滅裂なことを口にする足助の言葉に対して誰も疑問を抱かない。電脳世界で犠牲になっても、現実世界で無事でいられれば問題はないと思っているからだ。


「直ぐに行くか」


「いや、ここで休んでから進もう。扉もある部屋だ。今までの場所よりかは、若干でも安全だろう」


 足助はそう言うと、部屋の隅に座り込む。背を壁にもたらせ、目を閉じる。見張りは誰かがやるだろう。今は、少しだけ眠らせてほしい。そう願い、電脳世界で睡眠を取り始めた。


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