お互いの事を知ろう。
少年に果実水二つと火がついたロウソクを頼み、果実水とロウソクがテーブルに置かれると、少年に代金とチップを渡し、少しここから離れるよう頼んだ。幸いなことに他の客は部屋に行ったようだ。
「俺から話そうか…それじゃ今言える事だけ…」
と、年齢から始め、自分は田舎生まれだった事、田舎生まれゆえに常識があまり無いこと、詳しくは話せないが少し女性に苦手意識を持っていること等を話した。
俺の話を静かに聞き、俺が話し終えると、
「まだ…私に言えないことがあるのですね…早く聞く事が出来るように、信頼されるように全身全霊でレン様にお使えしていきますね…!」
と言った後、
「それでは私の番ですね…」
そう言うと、果実水を一口飲んでから、俺に身の上話を聞かせてくれた。
「まず私の年齢は22です。」
「え!?」「…何か?」
「いや、何でもないよ!続けて…」
まさか20代前半だとは…
「では、続けますね、私はこの大陸の中央付近にあるアシド山の中腹にある狐人の小さな集落で育ちました。父と母、私と妹と弟の5人家族でした。
その集落に住んでいる人は主に農作物や狐人だけが作れる工芸品を作り、麓に来た行商人に売って生計を立てていました。
ですが、3年前からなぜが農作物が枯れ始め、その後、集落の人がちらほらと原因不明の病気にかかっていき、農作物は最終的に全滅してしまいました。
村長が、
「ここは呪われている」
そう言って集落の人全員を麓に退避させました。私の家は農家で、いきなり収入がゼロになり、他の仕事を見つけるまで家族全員にご飯を用意出来る蓄えはありませんでした…
それで親が仕事を見つけるそれまでの間の食費を、私自らを売ることで補おうとしたのです。親は反対したのですが、説得の結果、最終的に折れてくれました。
…ですがこういう話は少なくありません…それからは比較的モンスターが少なく、私のような獣人族が高く売れる南に連れていく、と北の方からやって来たバルドさんに買ってもらい、レン様に貰っていただいて今に至ります…」
そう言うと果実水を一気に飲み干した。
「そうか…」
そう俺は言うと、柑橘系の果実水を一口飲んだ。
「でも…そのお陰でレン様に会えましたし…」
と言って下を向いた。
「…よ、よし!この話はもう止め!話を聞かせてくれてありがとう!もう今日は寝よう!そうしよう!」
俺はそう強引に話を終わらせ、、少年を呼んで部屋を案内してくれるよう言った。正直なんと声を掛けたらいいか全く分からなかった。安易に「大変だったな」というのは何か違う気がしたのだ。
ウィーネリアは体を綺麗にする魔法「クリーン」を使うことが出来たのでやってもらい、おやすみを言って少年に案内された部屋に入った。
ベッドはなかなか清潔感があって、いい意味で予想外だった。
「明日は冒険者ギルド行って冒険者登録したらウィーネリアの服買んなきゃ…よし、ウィーリ…おやすみ…」
そう言うと、ベッドに横になり、そのまますぐに寝てしまった。
連が熟睡するベッドの横、そこにウィーリは現れた。
ウィーリは微笑み、
「おやすみ連君…そういえば…女の子をゲットしたら…一週間後にその娘に夢で連君の前の姿見せるって言ったよね…?
でも…どうせ見せるなら…今日でもいいよね…? あの娘が連君の外側だけを見て連君の繊細で優しい内面を見てないか…そして…連君を支えられる娘かどうか…試してみるね…? 一週間の猶予なんて必要ないんだよ…?」
そう言うと、連の頬にキスをした後、姿を消した。
ウィーリたんが主人公に近寄る悪い虫(女の子)を殺っつけようとするヤンデレみたいになってる…でもウィーリたんはヤンデレではありません。主人公にベタ惚れしているだけです…と、思いたい今日この頃です。