小龍
俺たちの目の前に現れたのは、まさしくファンタジーで出てくるようなドラゴンだった。
ただ、小さい。体長は尻尾を含め約4m、右の翼の端から左の端までの翼長は10mちょっとといったところだろうか。ワイバーンと違って、翼がかなり大きめだ。鑑定によると「ミニドラゴン(B+級)」と出た。良かった幼龍とかじゃなくて。
というか「+」って事はB級以上A級未満的な感じなのか?
「ギュアァァ!」
ミニドラゴンが一吠えした。
するとリーシャはいきなり腰を下ろし俺の左足を抱きしめた。まさか会敵したのがミニとはいえドラゴンだとは思わなかったのだろう。腰が抜けているようだ。
「リーシャさん立って退避して下さい!此処だと危険ですよ!」
「む、無理だ!あああ足に力が入らない!レン殿だけでも逃げてくれ!ドラゴンには勝てない!」
PTSD的なものがあるのだろうか、リーシャがパニックを起こしている間にもミニドラゴンはジリジリと上空からゆっくりと間合いを詰めてきている。この状態でも魔法で倒せるが、リーシャの後学のため、とすぐには倒さない。アイスレインを少し弱めに打ち込んで間合いをとる。アイスレインを打ち込みながら俺は左手をリーシャの右頬にあて、目を合わせた。
「レ、レン殿...私はも、もう駄目だ...」
「リーシャ!! 密偵の意地を見せてみろ!...ほら、大丈夫だからゆっくり深呼吸して...それからゆっくり立つんだ...心配しなくていい、ドラゴンは俺が必ず倒して見せるから。」
リーシャはしばらく俺の目を見て、そのまま数回深呼吸をして、ゆっくりと立った。
「も、もう大丈夫だ、それでは退避する。ご武運を。」
リーシャはそう言うと、ドラゴンに背を向けずゆっくりと俺から離れて行った。途中でリーシャに目線が行きかけたが俺が再度アイスレインを顔面に食らわせてこっちに意識させた。
俺は肩に狙いをつけてアイアンニードルを時速700kmで発射する。本能なのか反射なのか、ミニドラゴンは発射の直前に回避行動を取っていてアイアンニードルは肩を掠めただけだった。しかし俺はまた四発ミニドラゴンの肩に向けて偏差射撃をする。するとミニドラゴンは避けきれず肩に2発当たり風穴を二つ開けた。片翼ではまともに飛ぶことが出来ないらしく、ミニドラゴンはフラフラと地面に不時着した。
すぐにもう片方の肩と両足にアイアンニードルを打ち込んで歩けないようにしてからリーシャを呼んだ。
「リーシャ、攻撃魔法は何か使える?」
そう俺が聞くとファイアボールが使えると言ったので一発ミニドラゴンに当てるように言った。
リーシャのファイアボールは中々威力が高そうでいい感じに当たったがミニドラゴンにはあまり効いていないようだった。
それでも俺は良くやったと頭を撫で、まだ暴れているミニドラゴンの首をはねた。これで多少は耐性が付いてくれるといいのだが...
ミニドラゴンをマジックポーチに仕舞った後、二人で今日の野営地に戻って早めの夕食をとった。その後もずっと口を開かず座っているリーシャに、紅茶を注いだマグカップを渡し、体に毛布を掛けて隣に座った。
「何から何まですまない...」
紅茶を一口飲んだ後、マグカップをテーブルに置くとリーシャはそう謝った。
「ほとんど役に立っていないばかりか、レン殿まで危険な目に合わせてしまった...ドラゴンの前で腰を抜かすとは…」
そう言うリーシャの声は少し震えている。俺は何も言わずリーシャの頭を優しく撫でた。
「今日はとても疲れた...」
そう言うと俺にやんわりと体重を預けるようにして抱きついてきて、毛布を俺もくるまれるように掛け直した。
「寝るまでこのままでいさせて欲しい...はしたない女だと思わないでく...れ...」
そう言うと俺が反応する前に寝息を立ててしまった。よほど肉体的にも精神的にも疲れていたのだろう。
俺はそのままリーシャと一緒に横になり、枕が俺から遠くて取れなかったのでリーシャに腕枕をして就寝した。
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2/15加筆・修正




