増築の相談と夜襲
「左右に空き地がありますよね? とりあえずその土地を購入します。」
この俺の言葉を皮切りに、店員と俺との相談が始まった。身振り手振り、簡単な絵などを用いて店員に説明していく。店員も、俺の言葉を聞き逃すまいと聞き耳を立て、メモをとっている。
二時間ほど掛けて大体の構想は練る事が出来た。
まずは今ある家の両端に、そのままくっ付けたように増築することにした。増築分には各5部屋を設けるつもりだ。そして家の裏にある畑の隣に、小さめながら二階建ての普通の一軒家を建てるようにお願いした。もちろん最低限の家具付きで、だ。ケイトが不思議がっていたが、その理由は追々知らせるとして...掛かる費用が中々のものだ。総額100万アット。色々とオマケしてもらい、その上端数は切り捨てて貰ったが、それでもやはり莫大なものだ。我ながら金使いが粗いとは分かってはいるが、リヴィアサンの素材のお金も入ってくるし、せっかくの異世界ライフだ。あまり生活面で妥協したくない。
店員に増築の金を払うと店員は、
「一週間後に工事を開始しますので、工事の間の3ヶ月は、私共に言って頂ければ、質素ではありますが系列の宿に無償で宿泊する事が可能ですので、その際はお気軽に訪ねて頂ければ!」
と言われて、その時はよろしくお願い致しますと言ってケイトと店を出て帰りの道を歩いていると、ふとある事を思いついて足を止めた。
「レンさん? どうしましたか?」
ケイトは俺の正面に回り込むと、のぞき込むようにして俺の様子を伺った。
「ウェルシー大陸だ...」
「え?」
「工事の間、ウェルシー大陸に行こう。」
夕食の時に増築の件と一緒に皆に言って、いきなり過ぎだとお小言を貰ったのは言うまでもない。まあ俺が夜にサービスをすれば済むらしいので良かった良かった。
海風が当たって気持ちいい...俺は今海の上にいる。勿論、足場は氷魔法で作ってある。時間は夜の3時ちょっと前。夜襲にはピッタリの時間帯だ。ついさっきまでウィーネリアやメアリー、ケイトたちとイチャイチャしてきたから若干眠たいが、これもウェルシー大陸の人たちの為だ。
船内には人は殆どおらず、見張りが一隻につき10人ほどいる。その見張りも首を上下に揺らしている者も多く、その他の真面目な見張りは近くの仲間と会話をして眠気を紛らわせている。
夜襲の前に一通り事前チェックをする。
それを終えると、心の中で見張りの人と近隣住民に詫びながら一隻あたり5発を目処に、数十個のアイスニードルを形成する。
(時速600kmで、行けっ!)
その瞬間アイスニードルは一瞬で戦艦の側面に到達し...
ズガアァァァァン!!!
派手な音を立てて、木製はもちろん、側面に鉄板が貼ってある戦艦までも難なくアイスニードルは貫通したようだ。やはり普通の氷と俺が作り出したような魔法の氷では硬さが違うらしい。
たくさんの戦艦が傾いて沈んでいくのを確認すると、俺は念の為ぐるっと湾内に円を書くようにして家に帰った。




