リヴァイアサン
俺は港へ向かって走り出すとすぐにあの防災塔にいた人が冒険者ギルドに行けといっていたのを思い出し、ケイトの安全確認を兼ねて行く事にした。
人混みをかき分け、ギルドの中に入ると、ケイトはいつもどおり受け付けカウンターにいた。俺の存在に気づいたケイトにアイコンタクトを取る。ギルドの奥には所狭しとペルミアの私兵が綺麗に並び、冒険者がその隙間にバラバラに立っている。前にはアーマープレートを着込んだペルミアさんとギルド幹部や王国軍らしき人が立ち、指示を出していた。おそらく有事の際は指示を出しやすいギルドが臨時の司令部になるのだろう。ペルミアさんの隣にはカーラさんが待機している。一通り指示が終わると冒険者は飛び出し、兵士達はペルミアの護衛を残し隊列を組んで港へ向かった。俺はペルミアさんの元へ向かう。
「被害状況はどの程度なんですか?」
「おおレン殿! 今はA級モンスター『リヴァイアサン』のみの襲撃で、主に王国軍の駐留部隊とマーメイド海賊団と冒険者、ペルミア様の私兵で撃退に当たっているのだが、この街には高ランクの冒険者がいないことからあまり戦況は良くない。それを見越しての襲撃だろう。それに低ランク冒険者から段々に負傷者が出てきている。まだ死者は出ていないが、リヴァイアサンが襲撃してきたということ、それはすなわち魔族軍が来るかもしれないという事だ。リヴァイアサンは魔族軍が使役する軍獣で有名だからな。それにもし野生のリヴァイアサンでなければ、いつ本隊が来るか分からん。時間が経てば経つほど死者が出てもおかしくない状況にある。」
とカーラが応える。
「ワイバーンを単騎で倒す実力のあるレンさんが協力してくれたら被害を最小限に抑えられます。すみませんが今回も協力のほどよろしくお願いします。」
そう言ってペルミアさんは頭を下げる。
「もちろんですよ、家族も守らなければいけないので。それでは行ってきます。」
そう言うと俺は港へ向かう。
港へ着くと一匹の水竜、リヴァイアサンが見えた。魔法が使える様で、ウォーターボールを結構な早さで打ち出している。それを大盾を持っている人が受け止め、その盾の後ろから弓矢、魔法で隙を見て攻撃しているというのを繰り返している。殆どの弓矢が届かない、又は弾かれるうえ、大半の魔法は見るからにそこまで威力がなさそうな火、氷魔法で当たってもまともなダメージを与えているとは思えない。リヴァイアサンの攻撃を分析していると、俺を見た冒険者が近寄ってきて、
「なあ、『緑騎士』さんよ!あんたならあいつを倒せるはずだ! このままじゃ被害だけが酷くなる一方だ、魔族軍が来たらかなり不利になっちまう!俺達もやるだけやってるが、決め手に欠けてるのが現状だ...頼んだぞ!」
そう言うとまた走って行ってしまった。というか『緑騎士』って…カッコイイな!
俺は改めてリヴァイアサンを見る。体長は100mあるかもしれないな。俺は冒険者達がいるところと反対に走り出す。他の冒険者やペルミア私兵が俺を呼び戻そうとする声が聞こえるが無視する。誰も近くにいない事を確認すると戦車の砲弾の1種であるAPCRに形を似せたアイスニードルを5つ造る。形はほとんど意味が無いとは思うが気の持ちようだ。そして、
(時速700kmで…行けっ!)
俺はアイスニードルを扇状に打ち出す。確か第二次世界大戦時の潜水艦は当たる確率を上げるためにこんな感じで魚雷を発射していた気がする。とにかく俺にターゲットを移せば何だっていい。打ち出したアイスニードルの一本がリヴァイアサンに当たる。
ズガアァァァンッ!
形状のお陰かは分からないが、難なくリヴァイアサンの鱗を貫通…いや、吹き飛ばした。
「ギャァァァァァ!!」
リヴァイアサンは叫び声を上げると優先対象が俺に移って俺の方を向き、じっと俺の方を睨む。自分の身長の50倍はある相手に睨まれると流石に恐怖感が…しかし先手を打たねば。動物ならば頭を叩けば殺せるはずだ。
俺はアイスニードルを20個展開する。アイスレインだ。
(衝撃波が怖いから…時速800kmで…行けっ!)
俺が放つと同時にリヴァイアサンが大口を開けて迫ってきた…だが遅い。噛み付くならスピーディーにな。
放ったアイスニードルの半分近くは吸い込まれる様にリヴァイアサンの口に直撃。
刹那、リヴァイアサンの頭部から下約10mが氷と共に爆散し、歓声が上がった。
ちなみに魔法で作られる氷などは普通のと違って硬さを調節出来ます。火もナパーム剤並にえげつない粘着性のにも出来ます。まあ主人公以外はナパーム剤知りませんし、使っても主人公のみになるかと。それらは魔力で操作します。
2/8修正・加筆




