一石二鳥
とりあえずまだ距離はある。
あの2頭はちょうど横2列に固まって突進して来ているから、受け止める事は出来ないが『あの部分』を狙うことが出来る。上手くいけば2頭仕留められて、上手く行かなければ一頭仕留められる又は俺が吹っ飛ばされるな。
俺は帯剣していた。大太刀を侍さながらに構える。
あと50m…!
20m…!
今だっ!
「グゲエェェェェ!!」
「ガアァァァ!!」
「…ふっ!」
俺は2頭が方向転換出来ない距離ギリギリで突進をかわし、足元に大太刀を振るった。
スパッ
そんな音が聞こえそうな位すんなりと切れた。
「グゲアァァァ!!」
「ブフウゥゥゥ!」
ニードルカウ2頭は吹っ飛んで、地面に勢い良く滑り転び、叫び声をあげながら無い足をばたつかせている。
俺は頭に回り込んで血抜きをする為、2頭の首を切断した。
血が出なくなると、俺はニードルカウをマジックポーチに収納した。
俺が、この血なまぐさい場所から帰ろうと歩を進めた時だった。
「キシャアァァァァ!」
そんな叫び声が響き、俺が振り返ると、一匹の4mを超える真紅のワイバーンが、森の方の上空からこちらに急降下している最中だった。
なぜこんな所にワイバーンがいるのか
俺の頭はその事で一杯となり、ワイバーンの突進を避ける事が出来なかった。
キィィィィィィン!
鎧とワイバーンの爪が当たると、甲高い音がして、俺は5mほど宙を飛んだ。
ドシャァァァ
「カハッ…」
肺から空気が押し出されたような感じがした。
「ゴホッ!ゴホッ!…くっそ…やりやがったな…!」
と言って俺は上昇を始めているワイバーンを睨みつけた。
ーーあの様子だともう一度やってくるな。ーー
俺はそう予想するとカウンターをする体勢をとった。
「ガアッ!」
ワイバーンは短く叫ぶと、大きくてダガーの様な歯を何十本も並べた口を開け、また俺に向かって急降下を始めた。
「俺が狙うのは首のみっ!」
俺はそう言うと、大太刀を首目掛けて思い切り振った。
その瞬間、ワイバーンは首を庇おうとしてなのか、体を少しひねり、俺の大太刀は左の翼の付け根を切断することになった。
「ギャァァァァァァ!!!」
ワイバーンはそう叫び、顔面から地面に激突した。
空高くから急降下する力は凄まじいらしく、地面にクレーターを作ったワイバーンの首は折れていて、虫の息だった。
俺はすぐに大太刀でワイバーンの首を切断した。
ワイバーンに奇襲をされ、ワイバーンを討伐し終えた時間は5分も経っていなかったが、俺にとってはとてつもなく長い時間のように思えた。
俺は鎧や全身に付いた汚れを払うと、血抜きし終えたワイバーンをマジックポーチに収納し、周りに気をつけながら足早に北東門へ向かった。
本当ならばワイバーンはほとんどロロドの森には来ません。本来ならばワイバーンはロロドの森よりずっと離れた山地に単体で巣を作っています。なので今回のワイバーンはそこの縄張り争いにでも負けた個体だったのでしょう。ちなみにワイバーンはそこら辺の剣や槍、もちろん矢では到底竜鱗を貫通する事が出来ません。




