剣山牛
朝、俺は二人より先に起きた。ゆっくりと足の方から器用にベッドから降り、着替えを済ませると、朝食を作りにいった。
朝はフレンチトーストと目玉焼き、買ってきた紅茶に昨日作ったプリンだ。少し甘味が多いが朝からオロイ肉もな…ウインナーがあれば良かったのだが、店には売っていなかった。
俺はボウルに卵と牛乳、砂糖を入れかき混ぜた。
言い忘れていたが、この世界にも確かに牛はいる。のだが、肉としての需要はオロイの方が高いらしく、牛は専ら乳牛として育てられているそうだ。もちろん牛肉もたまに売られるらしいが。
そうしてバケットをボウルの中の液体に浸し、浸しているあいだに目玉焼きとサラダを作った。
フライパンの隣にサモワール(ロシアの伝統的なお湯を沸かす道具。日本で言うやかん的な?)の様なものでお湯を沸かした。
するとようやく2人がダイニングルームに来た。
「レン君おはよ~」
と、メアリーはまだ眠たそうだ。ウィーネリアは俺に近づいてきて、
「おはようございます、レン様…」
そう言うと目を閉じた。
ウィーネリアとキスをするとメアリーもねだってきて、メアリーともキスをした。
隣で見ている二人に、
「もうちょいだからな~」
俺はそう言うとバケットを、バターをフライパンの上にひいた後、柔らかさが残る位に焼き、皿の上に載せた。
「チキュウにはそんな料理があるんだね~」
「とても興味深いです。」
と、フレンチトーストに二人は興味津々だった。
「よし食うぞー、運ぶの手伝ってくれ」
二人に運ぶのを手伝ってもらい、俺達はテーブルに座った。
「頂きやーす。」
「…レン様、『いただきやーす』とは何でしょう」
「なんかお祈りの言葉?」
何気なく俺が言った言葉を二人は不思議そうに聞いてきた。そう言えばこっちの世界に来て喋ったの初めてかもしれない。
「本当は『頂きます。』ね。食べ物に感謝して『あなたたちを頂きます、食べます。』って意味だよ。………確か(ボソッ)」
「そうだったのですか!では私も…頂きます。」
「へ~じゃあ私も私も!頂きやーす!」
俺が粗方の説明をすると二人は早速行動に移した。メアリーの『頂きやーす!』も年相応な感じがして良いな…!
食べ終えると、後片付けをさせて下さいと言ってきたウィーネリアに皿洗いをさせ、メアリーを皿拭き係に任命すると、俺は自室に戻った。昨日ウィーリからもらった防具を確認するためだ。
マジックポーチから取り出すと、その防具はガーディアンヘルム等、一式揃っていて、『深緑』と名のつくとおり深緑色をしている。迷彩柄の様に薄い茶色の斑点が塗装されている。
ただ、俺は防具を着た事なんて無いからどうやって着るのか分からず、じっと見つめていると、頭の中で
「着るときは『着』、脱ぐときは『脱』だよ。意識しながら言わないと作動しないから安心して。」
と、ウィーリの声が響いた。
「ありがとウィーリ。」
俺はウィーリに感謝を述べると、
「着」
そう言った。
すると防具が浮き、俺にまとわりついてきて、いつの間にか最終的に防具をフル装備していた。重さも、ほとんどないと言っても過言ではない。
「かっけえ…!」
俺はそう言うと、元気良く玄関へ向かった。
俺は、テーブルに200アットを置き、
「冒険者ギルドに行ってくるー。遅くなるかもしれないから、冷蔵庫に入ってるもので作るか、テーブルの上に置いてあるお金で外食でもしてくれ。残った金は何かに使っても良いぞー。」
俺は二人にそう言うと、あの事件から初めてのギルドへむかった。
俺がヘルムを取ってからギルドに入ると、あの事件を知っている人からよく戻ってきたな、と褒められた。
冒険者達からの賛辞を貰いながら犬人受付嬢の元へ向かった。
「先日はどうもご迷惑をおかけしました。」
「良いんです、元気になって何よりです。依頼を受けに来たんですか?」
「はい、そうです。」
「分かりました。それではE級とD級の依頼書です。」
受け付け嬢はそう言うと俺にファイルを手渡してきた。
稼げる依頼を探していると、見つけた。
「これでお願いします。」
「…D級討伐依頼『ニードルカウ』の討伐ですね。………はい、依頼を受注しました。ニードルカウの生息地はロロドの森の手前の草原にいると思われます。ニードルカウは牛型のモンスターで、肉はそこそこの値段で売ることが出来ます。もし良かったらギルドに持ってきて下さいね。また、その近辺には様々なモンスターがいるので頑張ってくださいね!」
「はい、ありがとうございます。」
「それとすいません、各モンスターのはぎ取り部位図鑑を渡すのを忘れていました。この図鑑に載ってある部位を切り取ってギルドへ持ち帰ると、依頼を受けていなくても、ギルド依頼が発注されていれば、依頼をその場で受注し依頼を達成する事が出来ます。依頼がなくても必ず何かしら報酬は出ますので。」
そう言って図鑑をくれた受け付け嬢に俺は礼を言って、ヘルムを被ると早速草原へと向かった。
草原に来たのはいいものの、やはり簡単には見つからない。ひたすら2時間程歩いていると、前の方から頭に剣山が付いた、そんな牛が歩いてきた。
一頭では無い、2頭だった。
「グギエェェェ!」
「グガアアァァァァ!!」
と、何とも牛とは似つかない叫び声を上げると、俺めがけ突進してきた。
なろうコンの一次予選が決まったと今知って見てみたら本営が、いくつかの作品が「説明が多い、盛り上がりまでに時間かかりすぎる作品が多い」等と言っていましたね。私はもちろん応募してませんでしたが、正に図星でした。3話ェ…でも、いいんです!失敗は成功へのプロセスですから(目逸らし)




