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長いです。
俺は洗い物を終えると、二人が座っているソファーの反対側のソファーに座った。
「ウィーネリア、どうだ…?気持ちは収まった?」
「はい…御迷惑をおかけしました…」
ウィーネリアは力無く応えた。
「まず確認したいんだが…俺がお菓子を作ったことがマズかった訳ではないんだよな?」
ウィーネリアはこくんと首を縦に振った。
「…出来ればこれからも、レン様の作った甘味を食べてみたいです…」
「良かった~!俺まだバリエーションあるからさ!暇な時に作ってみるよ!」
そう言うと俺は、風呂を沸かしてくると言って、風呂場へ向かった。
我が家の風呂の髪や体を洗うスペースは浴槽の幅を除いてもかなり広く、風呂場全体でちょっとした温泉位の広さであり、さながら金持ちになったような気分だった。
俺は久々の風呂とあって、ワクワクしながら魔法道具を操作してお湯を沸かした。
すると5分足らずで浴槽一杯になった。そしてお湯が溢れるとそのまま排水口に流れていく。
なので温泉と同じでお湯が流れている限りはお湯は暖かいままだ。
「マイ温泉とか…!感動だわ~…」
俺が感動していると、
「どれどれ~? おー! スゴーい!貴族様になった気分だよ~!」
とメアリーが賞賛しながら風呂場に入ってきた。ウィーネリアもその後ろからついて来て、
「本当に…貴族になった様です…!」
と感動していた。その様子を見た俺は、
「それじゃあ二人共先に入ってもいいよ。」
と、二人に一番風呂を譲ろうとした。しかしウィーネリアは、
「ダ、ダメですっ! レン様が一番目に入るべきですっ!」
「私も同感かな~」
と、二人は俺が最初に入るべきだと言った。しかし俺は拒否した。
「気持ちは嬉しいけども、俺もゆっくり入りたいしさ、俺に構わずお先にどうぞ。」
俺がそう言うとウィーネリアは目を細めて、
「レン様…何か隠し事をしていらっしゃいますね?」
「え!? そうなの?なになに~?」
と、ウィーネリアは問い詰めてきて、メアリーは興味津々の眼差しでこちらを見ている。俺は観念して、
「…まー…コンプレックスだよ。二人は完璧な顔と体を持ってるから無いだろうが、俺にはある。
夜は明かりが少ないしマシだけど、風呂は明かりの道具があるからな…すまん、やっぱ無理だわ。」
俺が正直に言うとウィーネリアとメアリーは間を置いて、
「……分かりました。それでは私達がお先に入らせて頂きますね。」
「そか…分かった!じゃあ一番風呂もらうね!」
と言ってタオルと着替えを取りに各々の部屋に戻った。
俺も明日は依頼を受ける予定だったので、その準備をしに自室へ戻った。
【ウィーネリア視点】
ーーまた見つけました…レン様の心の闇を…ーー
私は自室に置いてあるタオルと着替えを掴むと、部屋を出てきたメアリーと一緒にお風呂へ行きました。
服を脱ぎ、扉を開けると、むあっとした熱気が全身を撫でました。
実はお風呂も初体験だったのでメアリーに作法を教えて貰おうと思いましたが、なんとメアリーも初めてだそうです。
とりあえず湯船に浸かりました。
その瞬間、言葉に表現出来ない幸福感に包まれました。
メアリーもそのようで、とても幸せそうな顔をしていました。
「ふあ~! ウィーネリア! 良い気持ちだね~!」
「そうですね、メアリー…」
私はメアリーに同意すると、目を閉じました。
私はメアリーに『ある提案』をする事しました。
「メアリー…?」
「なあ~に?ウィーネリア?」
「レン様がお風呂に入ったら…私と一緒に突撃しない…?」
「…やっぱりウィーネリアもそう考えてたか~! うん、良いよ! やろうやろう♪」
なんとメアリーも私と同じ事を考えていました。それなら話は早い、
私はメアリーと作戦会議をしました。
体と髪を洗い、お風呂から上がり、タオルで全身を拭き、着替えを済ませると、私はメアリーを私の部屋に行かせ、レン様に、お風呂のご用意が出来ましたと伝えました。
するとレン様はすぐに部屋から出てきて、
「お風呂上がりのウィーネリアも綺麗だな!」
そう私を褒めると、レン様はお風呂に行ってしまいました。
作戦決行ですっ!
私とメアリーは足音を立てないようにして脱衣所に向かい、服を脱ぎました。
「~♪」
内容はよく分かりませんが、レン様は気持ち良さそうに歌を歌っています。
せっかくのお風呂を妨害するのは心が痛みますが、これもレン様の為…!
メアリーと目配せをし、私は風呂場の照明のスイッチを切りました。
「うわっ! なんぞ!? 故障か!? 」
突入しますっ!
ガラッ!
「誰だっ!!!」
「っ…! ウィ、ウィーネリアとメアリーですっ!」
「レン君のお背中を流しに来たよっ!」
レン様があまりにも凄い剣幕で仰ったので少したじろいでしまいました。
「…はぁ~良かった…強盗かと思ったよ……ってか、おいおい! なんで入ってきたの!? つーかよく見えん!」
今のうちです!
チャプ…
「おっ!? うわっ!」
私はすぐにレン様の近くに腰を下ろしました。
「これなら暗いので大丈夫でしょう?」
「え? ま、まあそうだけどさ…」
レン様はそう言うと私の隣に腰を下ろしました。
チャンスです!
さわさわ…
「おいウィーネリア、なんで足触ってんの? てか、あんまり触らないでくれ、コンプレックスなんだよ足…」
コンプレックスは足でしたか…
「レン様…素敵ですよ…」
「っ…!嘘だ、こんな足…」
「嘘ではありません…他の男性は分かりませんが、男らしくて…私は好きですよ…?」
私がそう言った瞬間、照明が付き、メアリーがトタトタと入って来て、湯船にドボン!と入るとメアリーは人魚の姿になってしまいました! こんなの打ち合わせ通りではありません!
「うわっ! 二人ともこっち見るなよ!」
レン様が慌てていると、メアリーはスイーっとレン様に近づいて、
「足に対してのコンプレックスは私も同じだよ…」
メアリーはそう言うと、レン様の足を愛おしそうに撫でました。
「…そうか…メアリーは…」
レン様はそう言うとメアリーの下半身、魚になっている所を見つめました。
「そう…私もレン君に出会う前まではこの魚のヒレが、尾がキライで仕方なかった…でも…!でもね…?レン君が言ってくれた、
『大好物です。』の一言で、その一言で私はこの足に自身を持てるようになって、誇りを持てるようになったの!『ああ、レン君はこの足が好きなんだ、受け入れてくれるんだ』って! だから…自信をくれたレン君がそんなんじゃヤだよ…!
私はレン君の全部が好きなのっ! ほかの誰がなんと言おうたって! ウィーネリアもっ!」
メアリーの言葉は、重みが違いました。
これは、共感出来るからこそ言える言葉であって、私には到底言える資格なんてありません、そう思わせるものでした。
レン様はお顔をくしゃくしゃにして、「メアリー…ありがとう…!」
そう言うとメアリーを抱きしめました。
「ウィーネリアもありがとうな…ウィーネリアも…」
レン様はそう言うと、手を広げてくださいました。
私はレン様の胸に抱きつきました。
タイトルは『誰しも短所を持っている。』です。
個人的に一番苦労した話でした。これからは、ほのぼの&戦闘シーン的なのが出てくると思います。




